ごっとさんのブログ

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近視大国日本の新たな問題「スマホ内斜視」

2022-12-22 10:35:05 | 健康・医療
最近はほとんどの人がスマホを持っており、かみさんも新しく買い替えました。私は未だに「こだわりのガラケー」を通しているのですが、特に不便は感じていません。

かみさんからスマホの色々な機能を聞いてみると、電話やメール、ラインをするための道具ではなく、すでに携帯型パソコンと呼ぶべき状況になっているようです。

さて日本人の6〜8%が強度近視を持っており、世界でも有数の近視大国となっているようです。強度近視は通常の近視と違い、20歳を過ぎても眼球が拡大(眼軸延長)して近視の程度が進行します。

家庭にテレビが普及したのは私が中学生のころで、子供たちがテレビにくぎ付けになると親たちは「目が悪くなる」と心配していました。さらにここ10年でスマホが広く普及したことで「スマホ依存」という新しい問題が持ち上がりました。

精神活動における問題や睡眠障害などのほかに、近視化や「スマホ内斜視」「スマホ老眼」が指摘されています。スマホを見る状況は従来のVDT(パソコンやゲーム機画面)よりはるかに眼に近く、眼球(角膜頂点)から画面までの距離はほぼ20センチ以下になります。

眼科医が問題意識を持ったのは、小中学生のスマホの普及が日本よりも著しいとされる韓国からの2016年の報告です。7〜16歳までの過度なスマホ使用者(1日4時間以上の使用)の12例が内斜視になったのです。

スマホから眼を離して両眼で遠方を見たときに、一時的または継続的に対象物が二つに見える複視を自覚し、複視のある眼の位置は内向き(内斜視)であったという報告です。

近くの視標を見る場合には、両眼を寄せながらピントを合わせる「輻湊」機能を作動させます。大脳から脳幹にある輻湊中枢に指令が出て、そこから両眼を寄せるための外眼筋とピントを合わせるための内眼筋に強いインパルスが伝わります。

また両眼の位置を遠方の視標に合わせるためには、寄せていた眼を外に開く「開散」機能を働かせます。しかし脳には「開散中枢」はなく、単に輻湊に関わるスイッチをオフにして微調整します。

輻湊のインパルスが強すぎるとオフができないばかりか、逆にインパルスが強く走ってしまうことがあり、これがスマホ内斜視のメカニズムです。その他近見に合ってしまったピントが緩まなくなり、遠方がぼやける現象がスマホ老眼と呼ばれています。

こういった近視化予防や治療は眼科の国際的な研究テーマになっていますが、近視関連遺伝子を制御するのは技術的、倫理的に複雑な問題を含むようです。

当たり前ですがやはり過度なスマホ利用を控えることが、こういった近視予防には重要と思われます。