ごっとさんのブログ

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インフルエンザで脳梗塞、認知症など

2020-01-14 10:22:59 | 健康・医療
インフルエンザの合併症といえば肺炎をイメージしがちですが、血液の病気もあるようです。

ここではインフルエンザと書きますが、一般の風邪も同様で特にインフルエンザだけではありません。

昔からインフルエンザに感染すると、脳梗塞や脳出血になりやすいとされていましたが、今年の国際脳卒中学会では関連した発表がありました。

ひとつはコロンビア大学の研究グループで、脳梗塞になった男女約3万人を調査したところ、インフルエンザになって15日間にわたり、脳梗塞のリスクが約40%も上昇し、その影響は最大で1年間続いたそうです。

もうひとつは同じ大学の別の研究グループのもので、外傷がなくても自然に起こる頸動脈解離は、インフルエンザ発症から30日以内に起こりやすいと報告しています。頸動脈解離とは、頸の動脈壁が避けて壁内出血し頸動脈の中が狭くなる病気ですが、若年層の脳卒中の主な原因のひとつとされています。

過去にはインフルエンザ感染により認知症を発症した91歳の日本人女性の症例も報告されています。もともと軽い脳梗塞は有ったのですが、特に症状はありませんでした。インフルエンザ発症後歩行困難となり、自分の名前も忘れ、看護師を家族と間違えるなど認知症が進行したようです。

脳梗塞や脳出血による脳血管性認知症がありますが、脳MRI検査では変化は見られず、インフルエンザ脳炎、高熱と脱水が認知症発症に影響した可能性が高かったようです。

急性心筋梗塞にも注意が必要で、インフルエンザと診断されて1週間以内で心筋梗塞になるリスクが6倍に跳ね上がるとの論文が発表されています。興味深いのはインフルエンザの型によってそのリスクが変わることで、A型では5倍でしたが、B型では10倍と報告されました。

インフルエンザ感染では、呼吸器以外に血管にも免役が関係する炎症が起こることが考えられます。そのため血管の内皮が傷つき動脈硬化層の破裂が起こることがあり、そこに血栓ができるのです。

高熱と脱水による血圧低下や血液が固まりやすくなることも、血栓ができるのを助長します。また感染のストレスによって冠血管が痙攣し、血管内腔が詰まったりすることも原因ではないかと考えられています。

インフルエンザで心筋の炎症が生じ、心機能が落ちて不整脈が出ることもあるようです。私はインフルエンザは治りやすいとしていますが、毎年1万人以上が亡くなる恐ろしい病気とも言えます。

これは免疫機能が衰えた人達とはいえ、自分がそうなる可能性もありますが、こういった血管への影響は予防することなどできませんので、知識として知っておく程度のものかもしれません。