五輪エンブレム白紙に戻る

先月からいろいろ話題になっていた、五輪のエンブレムがついに白紙に戻りました。これが模倣したものかどうかは別にしても、これだけ原作者に批判が集まってしまうと辞退せざるを得ないのかもしれません。

今回はあまり良いことではないのですが、オリンピックを盛り上げるうえではかなり効果が高かったと思います。もともとベルギーのデザイナーが自分のデザインと似ていると言い出したことは、単なる売名行為であり、使用差し止めを要求したり、提訴したりするというのは無視してもよさそうなことです。私はデザインに関しては全くの素人であり、良い悪いもあまりよくわかりませんが、今回のエンブレムはそれなりにすっきりして良かったと思います。また素人視点からいえば、ベルギーのロゴとは全く違ったものであり、盗作などの可能性は全くないでしょう。

今回の問題は、現在のネット社会の恐ろしさを表しているような気がします。原作者のデザイナーにコピー疑惑が出ると、すべての作品の可能性を調べる人が出てきます。これはマスコミやデザイン関係者というよりは、非常に多くのネットユーザーが一斉に調べるようですので、少しでも可能性がありそうなものが、あっという間に見つかってしまいます。今回の原作者は、多くの作品に明らかにコピーしたと思われるものが、続々と出てきました。こういうデザインの世界につてはよくわかりませんが、他人の作品をコピーして使うということは、それほど珍しいことではないのかもしれません。それでもこれだけはっきりと指摘されたら、言い訳の方法もなく、辞退せざるを得なくなるのでしょう。

しかし私はこういった風潮にやや疑問を持っています。もう過去の事件となりましたが、STAP細胞の小保方さんを思い出します。どうやって論文の類似性やコピーを見つけるのかわかりませんが、今回も同様で徹底的に追及するという点で同じ行動と思われます。こういったコピーが非常に簡単にできるようになり、そのこと自体を擁護するわけではありません。しかしそういった若干疑惑があっても、うやむやのまま受け入れるというのが、極端に言えば日本の文化だったような気がします。

これ自体良いことかどうかは分かりませんが、少々なことは大目に見ようという社会から、少しでもおかしいとすべてのことを白日の下にさらす社会というのは、やや寂しいような気がします。まあ私は性善説を取っていますので、こういった感じが出てくるのかもしれませんが、今回のこともデザイン自体は素晴らしいと思いますので、全国的に認知されたエンブレムを使ったほうが、オリンピックに向けて盛り上がったような気がします。