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昭和43年3月、大山にはまだ雪が残っているだろう…
そんな淡い思いを抱きながら
学生時代最後のきままな一人旅に出た。
その年の2月、礼ちゃんと神戸港を散策したあと
コンコードで熱いコーヒを飲んだ時、春休みに訪れる約束をしていた。
貧乏旅行だったから、夜は車中泊、均一周遊券一枚の旅。
米子から広島行きの夜行急行「ちどり」に乗車して
木次線・芸備線分岐の備後落合駅で乗り換えて、今度は米子行き「ちどり」乗り継ぎの予定だった。
その日の夕方、米子駅前の風呂で温まったせいで
「ちどり」ではすっかり熟睡、広島まで乗り過ごしてしまった。
だから、円錐形の頂がまだまだ真っ白だった大山の秀麗な山容を眺めたのは
翌日の午後伯備線の車中からだった。
夕食を、礼ちゃんの実家でご馳走になるべく歩いた道すがら
道から一段高くなった大谷地区の集会場の土手に咲いていた
ワスレナグサに似た花がこれ。
花の名前がキュウリグサだと知ったのはその時だった。
葉を揉んで嗅ぐときゅうりの匂いがするんですよ…
へぇ~そうなんだ、と摘んでみたけれど
そう言われると、きゅうり カナ?…程度で、やはり草の匂いだった。
それでも、おかげでキュウリグサは今でも覚えているし
ハナイバナも覚えた。
---------- 2005.03.08 ----------
☆
震災の年、記憶だけを頼りに幾つかのエッセイを書き綴った。
上の「コンコード」の話もその時に書き綴ったもの。
同じ頃、礼ちゃんの記憶を 「邂逅」と題した章 として書いた。
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