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けい先生のつぼにくる話

はりきゅう漢方の先生が教えてくれる健康に関する話
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元気に走り去った神経痛の患者さん

2007-07-28 17:21:26 | 雑記
先日、自称アジア文化スペシャリスト30余年だという米人のご夫人が来院いたしました。
曰く、重症の神経痛とのことで、足を引きずりながらの来院です。見るも痛々しい感じでした。
しかしアジアスペシャリストなのに中国語も日本語もご理解されていないのでちょっと気になっていました。
Gパンに白い靴下(足袋ではない)に日本風なゾウリをはいています。鼻緒が靴下にめり込んでいる。 へんなの、、、、

一通りの治療をして、痛みを和らげる漢方薬も渡しておきました。
そして翌日の朝です。急に激怒した声での電話があり、「あなたは何の治療もしていない!あなたの治療はぜんぜん痛くなかった!(ほほう、、鍼灸治療が痛くなくて文句を言われたのは久しぶりだ!たまに強い鍼刺激をしてもらわないとだめだというマゾさんがいる、、、、もちろん私はそんな危険な要望には答えない)」と、本当にキーキーと音がする声で大騒ぎです。

私が「ひょっとして痛みを悪化させてしまいましたか?」というと。「いや。ぜんぜん変っていないんだ!」という。「????」
彼女は続けざまに「わたしのアジアのマスターに聞いたら、あなたの治療はひどいもので、まったくの間違いだといっていた!とにかく金を返せ!でなければあなたを訴える!」
「その方はどなたですか?同じ鍼灸師の方ですか?日本人ですか?」と敢えて穏やかにお聞きすると、

「ちがう!彼はサムライなの!日本人みたいな人なの!ケンドーも日本も知っていて、薬も持っているニンジャなんです!He is Samurai! 」
「。。。。。。」 (これは「キの字」だ。。。吉外だ。。。。そしてアジアのマスターってなに?先日引退したソニー千葉かい?)

私はいっそどんな家にすんでいるか見てみようかと思って、「じゃあいただいた小切手をお返しに上がりましょうか」というと、急に(こちらから聞いてもいないのに)15歳年下だというご主人が電話に出てきて、「うちのハニーがこれからそちらに、小切手を取りに行く!薄汚い漢方薬もかえしてやる!」といっていました。

はたして2時間後、ご本人がいらっしゃいました。土気色の怒気を含んだお顔で、当診療院にやってきて、お出ししていた漢方薬と小切手を交換すると口元をゆるませて、シャキシャキと走り去ってゆきました。
たまたまいらっしゃっていた、お医者さんの家系で、義侠心と好奇心のある懇意にさせていただいている患者さんが、この一部始終を観ていてくれたのですが「あの患者さん、小走りにやってきて、また早足で戻っていきよったで!いい動きしとるなあ」とのことでした。

「何だ治ってたのか?それとも昨日の引きずった足が嘘だったのかな?」漢方薬も袋を開けた形跡がありませんが、気持ち悪いので、もちろん即廃棄処分にしました。
しかしなんだったんだろう???

アメリカではごくたまにこのような患者さんが現れて、日々の生活に彩を添えてくれます。でも本人はとても辛いか不幸な方なのだなと単純に笑って入られない気持ちでした。
(プライバシー保護のため、この患者さん本人だとわかってしまうようなことがないように、個人的な内容や数字は極力変えてあります。)

今回はアメリカの愛すべき患者さんのエピソードとして書きましたが、
次回からは文章中に出てきた「痛みや症状がぜんぜん変らない」ということと、「鍼麻酔のこと」「治療にはどれくらいの時間がかかるのか?」ということなどについてお話をしたいと思います。




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