米中関係を分析した論文「パワートランジッション理論と米中関係」を国際安全保障学会の学会誌『国際安全保障』第39巻第4号(2012年3月)に発表しました。拙稿の掲載にあたりましては、編集担当の泉川泰博先生(中央大学)にたいへんお世話になりました。泉川先生には、拙い原稿を何度も読んでいただくとともに、的確なアドヴァイスをいただきました。ありがとうございました。また、草稿にコメントを寄せて下さった川剛先生(サイモン・フレイザー大学)、海上自衛隊幹部学校の教官および幹部高級課程の皆さまにも、この場を借りて、御礼申し上げます。
本稿では、今後の米中関係を左右する重要な1つの要因は、たんに米中のパワー・バランスの変化ではなく、両国関係における攻撃・防御のバランスであることを主張しました。すなわち、米中間で生じるパワートランジッション(中国がパワーで米国に追いつき追い越すプロセス)の構造作用は、軍事技術が攻撃の優越に傾けば強くなり、防御の優越に傾けば弱くなるということです。残念ながら、中国の空母打撃群の構築や対艦ミサイル、潜水艦戦力の増強、米国の軍事革命の推進や軍の統合運用などは、防御を難しくする一方で攻撃を有利にする恐れがあるでしょう。
国際関係を理論的に予測することは高いリスクを伴う作業です。米中関係の将来を知っているのは、もちろん未来の歴史だけです。他方、米中関係のダイナミズムに影響している要因を特定して、その趨勢を分析することも、あながち無駄なことではないと思います。そうした考えにもとづき、拙稿を執筆した次第です。さて、今後の米中関係は、どうなることでしょうか?
本稿では、今後の米中関係を左右する重要な1つの要因は、たんに米中のパワー・バランスの変化ではなく、両国関係における攻撃・防御のバランスであることを主張しました。すなわち、米中間で生じるパワートランジッション(中国がパワーで米国に追いつき追い越すプロセス)の構造作用は、軍事技術が攻撃の優越に傾けば強くなり、防御の優越に傾けば弱くなるということです。残念ながら、中国の空母打撃群の構築や対艦ミサイル、潜水艦戦力の増強、米国の軍事革命の推進や軍の統合運用などは、防御を難しくする一方で攻撃を有利にする恐れがあるでしょう。
国際関係を理論的に予測することは高いリスクを伴う作業です。米中関係の将来を知っているのは、もちろん未来の歴史だけです。他方、米中関係のダイナミズムに影響している要因を特定して、その趨勢を分析することも、あながち無駄なことではないと思います。そうした考えにもとづき、拙稿を執筆した次第です。さて、今後の米中関係は、どうなることでしょうか?