Kazuko MISAWA World

三沢かずこの青の世界 ー 作品の周辺

白花

2015-05-12 19:46:15 | アトリエから

石段を上がった先に白い固まりがゆれる。近づくとそれは西洋ツツジの純白の花の群れ。混じりけのない白。傍らにあるマーガレットの

かすかに黄味を帯びた白ともちがう。その横のコデマリの白ともまたちがう。きぜんとした白だ。前を通ると香り立つ。この花は

いっせいに咲いて花首からポトンと落ちる。厚みがあって湿り気のある花弁は、しばらくの間、道を純白に彩って茶褐色に枯れていく。

何日もこの白に迎えられた。

なぜか、蕪村の『愁いつつ岡にのぼれば花いばら』を思い出す。ツツジの白が、瞬間目に飛び込んで、仕事中に心のなかにたまったものを

吹き飛ばしてくれる。心が晴れるのだ。

蕪村の句は、花いばらから、憂愁がより深まったと解釈するのが一般的のようだが、一瞬の視覚が放つエネルギーを信じたい。

目に飛び込んでくる白はいのちの一杯詰まった白であり、瞬間、いばらから解放されることもある。

 

 WORKS   20×20cm     OIL    2015

      

 


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