アトリエから帰るとキッチンに野菜が山盛りに洗ってある。冷蔵庫にある野菜を片っ端から。野菜料理は体にいいのは分かっているが、この
洗うという動作に時間がかかる。つい、トマトを切って終わりにしたいところだが、この見事な洗い野菜、疲れた体を調理へと押してくれる。
野菜洗って応援するというのが、今年95になる母親の口癖で、娘の私は、たいして進まない画業の落ち込み感を引きずりながらスープや、炒め
物などを作る。母親の元気さにとても助けられている。ふと、いつまで洗ってもらえるのかと不安がよぎるが、目の前の元気な姿を見て、ま、
いいかと思い直す。つい最近まで、母親の手に深いひび割れが一杯だった。野菜洗いが影響している。香りのよいハンドクリームを何本かあげ
ると、いそいそと自分の部屋に保管に行った。こころが痛む。洗わなくてもいいよ!という私の言葉に、うなづきながら、毎日洗っている。多分
野菜洗い、やめないと思う。応援してくれているのだ。
こうして日々、暮れていく。
WORKS (草原) 53.0×53.0cm 油彩 2014