かわティブログ 「発達と教育」と「生徒指導概論」

  平成24年度後期のシラバスは10月3日にあります。

質問と回答(1027) 「①学校って何だろう―教育の社会学入門 」 後半

2007年10月27日 | Weblog
1.三項随伴性について「先行要因」と「繰り返されるある振る舞い」そして「その直後に起こる環境の変化」の互いの関係性があまり理解できていません。具体的な事例のこの部分はこれというところがあまりわからなかったので教えてください。
 答:これは、授業でもう一度説明したいと思いますが、「先行要因」とはその行動が起こるきっかけ、「繰り返されるある振る舞い」とは、その対象となる行動、そして「その直後に起こる環境の変化」とは、行動が起きた後の、教師や友達の対応などのことです。環境という言葉は心理学では、物理的心理的な事象すべてを指します。ポイントは、「対象となる行動がそのきっかけによっての次に起きる確立が増える」ということです。

2.生徒は生徒としての演技をしているだけだと考えると、生徒が何かよいことをしてもそれは演技に過ぎないから本当は教師によく見られたいだけなのかもしれない、と生徒を疑ってしまうことも起きるのではないかと思うのですが、それは生徒が演技しているなどと思わずに素直に褒めるべきなのでしょうか。
 答:生徒としての役割という考え方は、社会学的に状態を説明しているにすぎません。実際の行動では演技をしていると考える必要もないし、状況から判断して、いわゆる演技(ウソ:心や気持ちと違う)とは違うかどうかが判ると思います。そして、人間はほんの微妙な表情などから読み取れる能力があります。でも、よく間違えることがありますがね。

3.年上の人に敬語を使うようになったのはいつ頃からですか、またいつからそうあるべきだと考えますか?学校での人間関係に悩んだことはありますか?またそれはいつ頃ですか?
 答:自分ではよく憶えていないのですが、敬語の使用は一般的には小学校の高学年くらいでしょう。私は学校の人間関係にはあまり悩みませんでした。人間関係の悩みというのは、一言で言うと、「他の人を信じられなくなる」あるいは「自分が信頼されていないと感じる」ことです。ですから、少なくとも自分からは相手を信じることができれば、ずいぶん楽になるはずですが・・・でも、何も考えずに、犬や猫などの動物のように生きるのが一番楽かもしれません。というより、今日の食べ物をどうやって手に入れようと思っている人は人間関係では悩んでいる暇はありません。人間関係で悩める人は幸せな人ですね。いわゆるテンネンは、うらやましい。

4.作者は少年犯罪が増えているとはいえないと言っていましたが、ではどうしてマスコミなどで、少年犯罪はまるで増えているかのように大きく取り上げられているのですか?
 答:マスコミはそう言わないと、ニュースにならないからでしょうね。

46.教師の多忙化の問題の解決方法はあるのでしょうか?
5.最近の学校の先生は周りからの期待が大きく、仕事量が増え、とても忙しくなっています。最近では自殺者も出ました。このような自殺者を出さないためにも、先生の忙しさを緩和するにはどうすればいいのですか?
 答:学校が、個人のもの、生徒はお客様という意識でなく、社会全体のものなのだから、親やマスコミも協力して子どもを育てようと言う意識にならない限り無理でしょうね。


40.なぜ学歴は実力とは違ったものとして定義されているのでしょうか。実力ではない学歴とは何なのでしょうか。
12.学歴社会は無くなると思いますか?
6.これからの日本では「学歴」は重視されていくのか、それとも学歴は関係なくなっていくのか。少子化が進み、誰もが(お金さえあれば)大学に入れるような時代になってきたこの世の中では、学歴はほとんど関係なくなっていくような気もするが・・・?
 答:社会の中で、その人の実力というものが要因が多すぎて数字では言いあらわせないものなので、会社や社会全体が何を基にして、採用して良いかわからないので、大学の善し悪しや、学歴を手がかりにするのだと思います。私たちも、あの人は灯台出ているんだって・・などと言いますよね。

7.「なかまはずれの恐怖」から抜け出せるような、何かいい方法はありますか。
 答:仲間はずれになっても、自分には、○○(親や恋人、親友)が居ると考えれば仲間はずれになっても怖くないですよね。それに仲間という意識の範囲が狭くて、その人間関係しか自分は生活できないと考えてしまうからです。いじめは、そのような閉じた人間関係を持ったグループで起きるものです。宗教団体などの暴力行為なども閉じた社会で起きるのです。もっと、広い視野を持って、世界中には友達になれる人はたくさん居ると考えると、他の人とも仲良くなれると思うのですが・・

28.川島先生は、中学生のこどもたちは、どのように「ひとりひとり」の原則と「みんないっしょ」の原則を両立していけると思いますか?
8.「ひとりひとり」の原則と「みんないっしょ」の原則、しかも個性も重視していくことをうまく学校に機能させるにはどうしていく必要がありますか。
 答:学校についての意見と同じで、社会の中の一員なのだから守らなければならないことがある、みんなの社会という意識と、個人の欲求や希望のバランスの問題だと思います。私は、現在の状態は、個人の欲求が重視されすぎていると思います。逆に、軍国主義や独裁国家では、個人の欲求や希望が最小限になりますよね。

9.かくれたカリキュラムの章では、忍耐力社会性を養い、ルールの知識を習得するなど、教師が教えようとしていないことまで自ずと身につく無作為のカリキュラムが紹介されていました。隠れたカリキュラムではいいことばかりが身につくのでしょうか?
 答:いいことかどのようなことかわかりませんが、その社会が作ってきた習慣や慣習が身につくと思います。

10.最近急に寒くなってきましたが、炬燵を出すタイミングがよくわかりません。先生の家ではもう炬燵を出しましたか?
 答:もちろん、こたつです。研究室もこたつになりました。遊びに来てください。

11.川島先生は、前期、教師になるつもりはなくても免許は取っておいたほうがいい、とおっしゃっていましたね。でも、教員免許が更新制になると意味がなくなってしまうのではないでしょうか。それなら、教採のために勉強するより自分の関心のあることをしたいとも思うのですが・・・。
 答:そうですね。ここは教育学部なのでそう言いました。それに、学校や教師について知ることのできるいいチャンスだと思うのですが、こんな場面は一生のうち滅多にあることではありません。自分の関心のあることは後でも学べる可能性があります。

13.先生は教員の質が低下していると思いますか?また、低下しているのであればどのような点が顕著であると思いますか?
 答:確かに、10年単位でみると変化はしていると思います。でも、いま就職している学生たちは、40年前に先生になっていった学生より優秀であるような気がしているのですが・・・周りが認めなくなったと言うことはあるかもしれませんが、先生の質は上がっていると思っています。

22.川島先生は校則についてどのような考えをお持ちですか?もしよろしかったら聞かせてください。
14.前半に関わる質問なのですが、先生は校則についてどう思いますか?
 答:あってもいいと思います。公立と私立は違うと思いますが、その地域社会や父兄が認めているのであれば、それを子どもたちに教えたいと考えているのであればいいと思います。ただ、学校が自分たちの都合いいように校則を作るのはおかしいと思いますが・・

15.今テレビ等で何かあれば学校がたたかれたり、現在の教育に対して様々な人が意見しますが、私は教育というものは全員が納得できるような明確な方法やシステムというものは存在せずに、永遠に論じられていくものだと思うのですが、先生はどう思われますか?
 答:確かにそうですね。スパルタ教育も立派な教育の方法ですからね。教育を論じると言うことは、未来の自分たちの社会を考えると言う作業だと思っています。

16.最近日本酒が美味しいと思えるようになりました。先生はどんなお酒が好きですか?教えていただけると嬉しいです。
 答:うれしい質問ですね。お酒は大好きです。日本酒は、その時の食事によって、純米酒で甘口、辛口、中間、それに吟醸系、芳香系と選んで飲みます。ものによっては、混ぜで楽しんだりもします。ですので、あまり外で飲むことはありません。というのは、外で飲むと限られた種類のお酒しかないからです。自分で食事(つまみ?)を作って楽しみます。これからは、日本酒にナベですね。

17.先生に質問です。本の中では、近年に、劇的に少年犯罪が増えたわけではない、とかいてありましたが、最近のテレビの中ではたびたび少年犯罪のニュースを耳にします。コメンテーターの人たちも、「また少年か」といった反応をしています。このような事件はここ最近増えたものなのでしょうか?また、少年犯罪について、先生はどう考えるのですか?
 答:私の若い頃の方が少年犯罪は多かったような気がします。やはり、マスコミの取り上げ方だと思います。

18.先生は学校では性別役割分担をどう教えるべきだと思いますか?
 答:役割ではなくて、得意な部分を協力するという方法が必要だと思います。

19.いじめは原因をいつか掴む日がやってきていつかなくなるのでしょうか。私はなくならないように思えてしまい、最近はこのような議論を聞くと気が滅入ってしまいます。先生はどうお考えですか?
 答:確かに、無くならないでしょう。

20.教科書28、29ページについてですが、フェインディングも対人スキルの変容を支えるための基本技術のひとつとなるのですか?それとも社会的スキル訓練としてのもので基本技術とは違うのですか?
 答:基本と言えば基本です。それは、強化が無くても行動が生ずるようにするためには必要な技術です。

21.先生は、「ニート」や「フリーター」を減らすためにはどのような改善策があると思いますか。
 答:これは2つの側面があると思います。一つは個人の意識で、それでも食べていけると考えているからなのか、失業率というかそれぞれの会社が安く人を使うために本採用を控えているのか。うーん。浪人は武士の時代から居たのだろうし。難しいね。


23.今さらですが、レポートはですます調ではないほうがいいですか?
 答:いや、どちらでもいいよ。ですます調の方が柔らかくはなるけど、文章の言葉遣いが難しくなると言われているよ。

24.炊飯器が友人宅に拉致・監禁されました。どうやって生きていったらよいでしょう?ちなみに新しい炊飯器を買うお金はありません・・・
 答:私は、鍋やフライパンでお米を炊きます。こんど、研究室でパエリアを作るので参考に見に来てもいいですよ。

25.第5章において、社会の授業を学ぶことで、私達は、「日本人としての自分」を意識していくと、ここでも隠れたカリキュラムについて言及されている。けれども、生徒に「日本人としての自分」を意識させるために、学習指導要領にも、「国を愛する・・・」と元から書かれているので、教師側から見れば、隠されたものではなく、意図されたものであると考えます。よくわからないので教えてください。
 答:両方あると思います。政府や政治家からすると「国を愛する・・」といって自分たちが作ったものと考えて、統治に利用したいと考えるのでしょう。一方、個人としては「日本人として、うまく生きて行くために必要な要素としての自分・・・」ということになるのだと思います。

26.「隠れたカリキュラム」呼ばれているものは、すべて意図されずにできたものなのですか?特に男女の区別や上下関係の場合について知りたいです。
 答:歴史的な流れの中では、両方があると思います。

27.受験によって今の中学生はストレスが溜まっているということが書いてありましたが、私はその受験のプレッシャーも1つの隠されたカリキュラムではないかと思います。どうでしょうか?
 答:そうですね。ただ、ネガティブな方向で隠れたカリキュラムという言葉は使わないと思います。結果としてマイナスの方向にになることはあったとしても・・

29.博士課程を卒業しても研究者としての道が開けていない現状を如何お考えでしょうか。
 答:そうですね。教育学部を卒業しても教師になれない人がいるのも問題かもしれませんが・・・

30.生徒のわがままや自分勝手を個性とみなすのは正しい考えか。
 答:正しいかどうかわかりませんが、教師や親は、自分の都合の悪い生徒の欲求は、わがままとしてきました。わがままを個性であるといういう以上は、それを認めるのでしょうね。しかし、表向きは個性と言いながら結局、都合が悪くなると抑えるしかなくなると思いますが・・逆に個性として受け入れられる範囲であれば、かまわないと思いますが・・

31.教育の民主化による体罰の禁止は教師の権威の失堕と関係があるのではないか。
 答:そうですね。私は、一人の教師が5年に一度くらいは体罰をしてもしょうがないし、子どもが襲ってきたら戦うしかないでしょうしね。ただし、ケガをさせたり殺したりしないで欲しいと思います。

32.第2章第5項を書いていて疑問に思いました。教師は学校からお金をもらうのですよね? では学校はどこからお金をもらっているんですか?
 答:国が半分、県が半分、あるいは町や村が半分

34.私はレポートを書く前に、軽く一杯やると捗ります。先生もイケるクチですか?
 答:いけるクチですが、仕事をするときは飲みません。

35.教師と生徒。双方がわかりあう方法は何だと思いますか?
 答:お互いに知る、コミュニケーションをたくさんとる。偏見をなくす方法と同じですね。

36.先生は社会人になってから何冊くらい本を読みましたか?
 答:そんなのわからん。一冊の本を一ヶ月かかって読むこともあるし、2時間で読むこともあります。何度も読むこともあるし、途中でやめてしまうこともあります。特に内容が無くて、著者の自慢で終わっているようなばかばかしい本は途中で、ゴミ箱に捨てることもありました。

37.本の中に教師と言う職業は130人に1人がなる一般的な職業であると書いてあった。質問です。川島先生は気楽にできる職業はある、と思いますか。
 答:そりゃ、最高なのは芸術家ですよ。好きなことをやって生きて行けるんですから。この学部にも、そういう先生がいらっしゃいますよ。美術や音楽や・・・僕も、芸術家になりたかった(とうてい無理だったけれどね)。

39.「アメリカの学校にはカウンセラーのような生徒の相談相手を専門にする人が必ずいま  す。」(第7章p196)とありますが、日本の学校にも「相談室」と言う教室とそこの先生がその役割にあたると思っていたのですが、スクールカウンセラーとは違うのでしょうか?
 答:スクールカウンセラーと学校の先生とは違います。先生の方は教師との兼任です。スクールカウンセラーは客観性を保つため(利害関係を生じさせないため)に、外部からくるのが基本です。


41.私が受けてきた教育は、間違ってもいい、試行錯誤することはよいことだと言うことを知らず知らずのうちに教え込んでくれるような教育だったと書きました。私たちが受けてきた教育とは教科の学力のほかにどのようなことを身につけさせてくれたのでしょうか。
 答:それは人間関係の持ち方が中心です。それに、趣味の領域もあります。それ以外にもたくさんあると思います・・・

42.p108に「議論はされたけれど、導入はしなかったアメリカのような例もあります」とありますが、アメリカは州ごとにカリキュラムが違うと言うことですか?アメリカのそれぞれのカリキュラムに不平等な内容はないのですか?
 答:アメリカは州によって学校のカリキュラムが違います。宗教も違う州(ユタ)もあるのですから当然でしょうが。また、州によって人種意識も違うし、歴史も違います。イギリス系の州もあるしスペイン系の州もあるし、フランス系の州もあるし・・

43.勉強したくない子どもがいたときどう対応すればよいのですか?
 答:しなくていいんじゃないでしょうか。他になにかおもしろいことがあればね。何も興味がないというのが一番困るけど。

44.音楽を聞きながら勉強していたり、隠れてテレビゲームをしたりする子どもにどう対応しますか?
 答:なぜ、そう考えるのに、それを取り上げてしまうことができないのでしょうか。わからんなあ。約束をして、守らなければ取り上げるのは当然だと思います。教育は約束が基本です。

45.うちの弟は勉強が大嫌いで、母がとても困っています。暗記が得意なので、教科書などほとんど覚えているので勉強をしたことがなく、今大学受験のため生まれて始めて勉強しているので、気違いです。もしこんな生徒がいたらどう対応すればよいですか?
 答:子どもによって、それぞれ勉強の仕方が違うのでしょうね。私も、授業中にはノートをとるような普通の勉強はできませんでした。

質問と回答(1017) 「①学校って何だろう―教育の社会学入門 」 前半

2007年10月21日 | Weblog
生徒指導概論B質問集 ~学校って何だろう~

1. 10歳からの教育というお話がありましたが、具体的に子どもがどうなったときに教え方を変えればよいのでしょうか。
 これは、教科書にも書いてありますが、10歳位の前後2年間くらいには、教える場合と考えさせる場合との両方の場面が出てきます。それぞれの場面で、「これは自分で考えてできるだろう」と大人が判断したときには、自分で考えるように指導すればいいのです。ところが、現実には、ついつい「○○しなさい」と言うように指示を出すことが多いように見えます。

2. 自分を高めるために旅をするのは具体的に何をするのでしょうか?
 答:旅に行くとわかります。私自身も、旅に行くと、いろいろな今まで考えることの無かった経験や苦労に出会います。例えば、今年行ったルーマニアでも、道を聞くときには人を選ばないとウソを教えられることを経験しました(そんなこと、考えたこともなかった)。

3. 川島教官は「学校って何だろう」の前半を読んで教育に関することで何か考え方が変わったことはありますか。 あれば聞かせてください。また、逆に変わらない点についてもあれば聞きたいです。
 答:考え方が変わったというよりも、考えさせられた所はあります。

4. 川島教官はこの「学校って何だろう」を何回読みましたか。
 答:2回。

5. 教育学部生でも勉強嫌いな人って多いんですかね??というか勉強の意味ってトレーニング的(自分いじめ的)なものなんで、マゾヒスト以外は嫌いなはずですよね?むしろ、学者とか学問が好きな人がやってることは勉強って言うのかどうかが謎です。
 答:勉強と学問は違うけれど、研究は①好奇心(これは人間が誰でも持っていると言われている)、②向上心(自己実現)、③名誉を求めること(社会の中で良い立場になりたい)の3つがあると思います。これらは一つだけでは上手く行きません。例えば、名誉欲だけでは中身がついて来ないと思いますが・・どうでしょうか。

6. 教科書の11ページについてなのですが、図2の問3で大学で何を学ぶべきかについて自己についてや対応策について多くの教師が挙げられていますが、それは自分が大学時代に自分でやっておくべきということだと思いますか。それとも、学校で行われる授業に問題があるのだと思いますか。
 答:たぶん、教師になっっていろいろな場面に出会わないと理解できないような気がします。いろいろな困った場面に出会って始めてその対応を真剣に考え、自分なりの解決策が身について行くのだと思います。ですので、教師は学生時代にはそのための判断材料を仕入れておくことがいいと期待しているのだと思います。

7. 本の68項で、試験の答案用紙に名前を書くことは、あなた自身が間違えられた、という記述がありますが、私はそのことが、なぜカルテと同じなのかよく理解できません。
 答:試験の意味を考えると、その場限りの点数が重要なのではなく、カルテと同じように、その子どもの勉強の状態を継続的に確認、記録して行く部分を持っているからだと思います。

8. 「なぜ勉強するのか?」先生がもしこう尋ねられたらどうお答えになりますか?ぜひ伺ってみたいです。
 答:うーん。勉強と研究は違うし、私も中学生の時は気がつかなかったけど、今なら、個人の範囲では「社会に出てから、その子の持っている力を十分に生かして生きるために、いろいろ出会う場面での判断の基礎として応用力のある基礎知識を持っている方が可能性が広がる」・・という一般的なことしか言えないかもしれません。しかし、勉強の意味は、個人だけでなく、その社会にとって重要なことなので・・・
 
 もし、個人の利益を考えるのであれば、大卒の平均的な生涯所得の推計値は3億1600万円、高卒の22歳以降の生涯所得は2億4500万円であると言われています。しかし、授業料とその期間の所得合計が1600万円位という話もいいかもしれないけど、あまりしたくはないな。

9. 先生はよく授業中、旅に出ろとおっしゃります。そこで質問です。先生のオススメ旅行スポットを教えてください。 国内、国外両方お願いします。あと、女子が一人旅するにはどこがよいでしょうか?これも教えてください。また、何か旅の面白い話があったら授業のたびに教えて下さい。人の旅行話を聞くのが大好きなので。
 答:どこでも、良いと思うけど、どんな意味でオススメということでかわります。国外は、多くの人が英語を学んでいるので、英語の国が行きやすいでしょう。でも、危険じゃないところということだけは考えた方が良いかもしれません。また、車で旅をするならイギリスなどの日本と同じ左側通行・右ハンドルの国がいい(オートマは少ないけど)と思います。日本なら、どこでも楽しいな。安全だし。

10. 生徒が何らかのサインを出しているのだと察知できた場合に、そのことを聞きたい場合にはどのように生徒に聞くのがよいのかな?と疑問に思いました。
 答:子どもによる(年齢も含めて)のだろうが、とりあえず、近づいて見守る態度をとる・・かな。

11. 校則は各学校によって違っていると思うのですが、どのような基準で設けているのでしょうか。中学生に対して、校則はとても厳しく施行されると思うのですが、それはなぜでしょうか。例えば自転車に乗る時は必ずヘルメットを着用し、着用していないのが見つかると部活ができなくなったり、無地の白い靴下、という決まりがあり、ほとんど無地だけれどもワンポイントのある靴下を履いていったときに怒る先生と怒らない先生がいたのですが、中学生に対して、きびしく言うべきなのでしょうか。
 答:10歳からの考えさせる教育・・

12. 内容と全く関係ないのですが、そろそろ鍋物が恋しくなる季節です。先生お勧めの鍋物は何かありますか。
 答:アンコウ鍋、常夜なべ(豚肉とほうれん草のしゃぶしゃぶ:豚肉の薄切りが安かった時に)、西洋ナベ(トマト味で鶏肉とやさいのシチューのようなナベ)・・

13. 先生は前回の授業で、今小学校で行われている中学校で考える学習を中学校で行うほうが良いとおっしゃいましたが、 そのように変わっていくと思いますか。
 答:変わらないだろうなあ。小学生を自由にさせるのは簡単だし、中学生以上を信頼するのも難しいからね。それに、教師は生徒に指示を出すのが役割だと思っている教師が多いし・・

14. 子どもに「なんて勉強しなければいけないの?」という問いに対してなんて指導するか、その一例を知りたいです。
 答:年齢によって違うと思います。小学生なら「生活習慣になるように指導する」し、中学生には「自分の持っている力を十分に発揮して生きて行くため(自己実現?)」

15. テストの学校での順位は、生徒(中学生)において開示すべきかどうか考え方を知りたいです。私が中学生のときは、教えないというスタンスを持った先生でした。
 答:テストはカルテと考えると、基本として、テストは、個人の継時的な変化(個人内)を考えるための材料として相対評価の成績だと思っています。ですので、子どもがには、個々のテストの相対評価による位置を教える前に、過去のその子どもの成績との比較を意識させるべきだと思います。それも、点数ではなく「以前よりも○○ができるようになったね」・・というように

16. もし、小学生が「どうして勉強しなければいけないの?」と聞いてきたら、中学生と同じように答えるべきでしょうか。
 答:低学年では、勉強の理由よりも、生活習慣として勉強をするように指導したいと思います。

17. 現在の教育は画一的なものからオリジナリティ、個性を求め、伸ばすための方向に向かっているのは本にも載っているし自分としてもそう思います。けれども本当に個性、才能を持つ人はこれまでの画一的なシステムの中でも輝けるというか現れてきたと思うのですがそのあたりどう思いますか?自分はあまり個性個性と変に押し付けていくのは嫌です。
 答:目立つ人だけが個性を持っているとは思いません。特別に個性を伸ばそうとしなくても、誰でもが個性を持っています。そう考えると、小学生に個性はいらない??かも

18. 前回の授業で、子どもの発達のお話が出てきましたが、子どもの発達段階を表したものには、どんなものがありますか。(乳幼児の発達段階表は、園城寺式(?)をみたことがあるのですが、児童についてもあるのでしょうか。)
 答:いわゆるハヴィガーストなどの発達課題が、それに当たります。何人もの人がいろいろ主張しています。

19. 不登校になってしまった子どもを立ち直らせるためには、教師はどのように対応すべきか。
 答:子どもによって異なるので、どのように対応すべきかは決まっていないと考えています。

20. 前回の授業で10歳までの教える生徒指導と10歳からの考えさせる生徒指導について学び実際は小学校と中学校での生徒指導が逆転しているというお話がありましたが、これは校則などと関わりがあるのでしょうか?私の母校は中学がとても細かく厳しくて、高校ではほとんど規定されていない変わりにそれがいいことかどうかは自分で判断するというきまりでした。
 答:中学校でもその高校と同じように考えればいいと思います。

21. 子どもに足し算方式で教育するのと引き算方式で教育するのでは、どちらがよいと先生は思いますか? 足し算方式 良いところを褒めてあげることで評価するから100点以上になれる。 
        □+□=6 などの考え方
  引き算方式 悪いところをどんどん指摘していくから例え全てできても100点満点。
        7+9=□ などの普通の考え方
 答:そりゃ、褒めるでしょう。叱ることは教えることにならないけど、褒めることは教えることになりますから。

22. 1980年代、日本は経済成長だけでなく教育についても注目され、日本の行っていたナショナル・カリキュラムという考え方はイギリスでも導入されたと書いてありましたが、アメリカではその考え方を導入しなかったとありました。議論はされたけれど導入はしなかったということは、ナショナル・カリキュラムより地域や学校で独自に教える内容を決めたほうが良いとされてそうなったのだと思うのですが、それはアメリカでは教育の全体的な方針(教育の目標みたいなもの)が日本とは違って、転校などの不都合は問題とされていないということですか?
 答:教育に関して、アメリカは一つの国と言うより、州が一つの国として独自の法律を持っていますから。

23. 最近、福祉関係の仕事に興味を持っています。しかし、信大では福祉の資格は取れないし、他大学の通信教育も受けることはできません。(二重学籍の禁止?)。在学中に資格を取れる方法はないでしょうか。
 答:確かに、この学部では福祉系の資格は取れません。幾人かの先輩は卒業してから、専門学校に入り直しているようです。この学部でも、福祉の単位が取れるようになると良いですね。


24. 家のインターネットは、雨が降ると接続が悪くなります。何か良い対策があれば教えて下さい。
 答:うーん。どうしてだろう。わからない。雨かあ

25. どうすれば寒い冬を少しでも暖かく過ごすことができますか?
 答:いろいろ考えられるなあ。私の家は古いので隙間だらけ目張りをするか。それとも酒を飲むか。フトンにはいるか。風呂に入るか。猫を飼うか、彼氏(彼女)をつくるか。たくさん着るか。家にいないで暖かい所に行くか。ハワイかアフリカに行くか。

26. 「どうして勉強するの」という問いに答えるとしたら、どのように答えますか。
 答:前掲

27. ニコニコ動画をご存知ですか?知っていたら、ニコニコ動画の中毒性についてどう考えるか教えて下さい。友人が、「最低でも一日一動画見ている」とか、「3日間見なかったのが快挙だ」といっていたのを聞いて若干不安になりました。また、ボランティアで行っている不登校の子どもが集まっている所での話題にものぼる事がありました。こうした動画のアップローダーサイトが不登校を助長しているようにさえ見えることもあります。是非とも意見を聞かせてください。
 答:確かに、おもしろいからねえ。確かに影響があるかもしれない。

28. かわティブログで感想文の書き方が一時掲載されていたと思うのですが、いざ書こうと思ったら掲載が終了していました。もう掲載の予定はないですか?
 答:ごめん、今、書き直しています。(今、すごく忙しくて)

29. 24時間試験のことが本には書かれていましたが、それと比べると今の日本の1時間の間に行う試験というのは古く劣っているものになるのでしょうか。
 答:いや、試験の目的しだいだと思いますが・・

30. 「学生のうちにしておけばよかった」と後悔していることはありますか?
 答:いろいろな基礎知識と旅(なんだ結局、本と旅)。友達だけはたくさんできたけど。

31. イランで誘拐された大学生についてどう思いますか?危険な地域に行ったことは少し軽率な面もあると思いますが一人で 世界を見ようとした彼はすごいと私は思いますが先生はどうですか。
 答:すごいというより、旅にでたら、いつ死んでもしょうがないと思って旅に出た方が良いと思っています。私も、いつも、ある程度は覚悟して行きます。それに旅に出るとそんなことを忘れていろいろ行ってみたくなるのが人情?です。また、イランは、たくさんの日本人学生が行っています。でも、確かに同じ国でも危険な地域を避ける必要があるとおもいます。そのためには、前もって情報を持っていないといけません。日本だって、山谷や寿町、あいりん地区には、やたらと行かない方が良いと思いますよ。アメリカにもいろいろあるし・・

32. 画一教育を見直していくことは、ばらつきがある教育になっていくことですか?
 答:たぶんね。

33. 本当に校則は必要なのでしょうか。先生はどうお考えになりますか。
 答:教師や大人がどうしても、守らせたい、教えたいと思っているもであれば、しょうがないと思います。

34. 先生が聞いた校則の中で一番くだらないなーと思ったものはなんですか?
 答:今となってはくだらないのは、電車の中で学帽とかぶらないと停学というのがあった。


35. 日本の教育にアメリカ式の教育カリキュラムを取り入れるというような容易なことでアイディア力がつくのでしょうか?
 答:そのように、日本の大人が考えるのですから、しょうがないけど。。。

36. 先生はお子さんに「何のために勉強するの?」と聞かれたら何と答えますか?
 答:聞かせないようにしたというのが、本当です。

37. 先生は学校をどう捉えていられるのですか?
 答:大人が自分の生きている社会次の世代を、より良いものにするために、作ったもの。

38. どうしてこの本を選んだのですか?良い本を選ぶためにポイントはありますか?
 答:他にもっと良い本がなかったから、

39. 職場体験の期間をもっとのばせば、生徒たちは、社会で働くことの意味をより理解できるようになるだろうと思います。 全国の中学校を見れば、職場体験を1週間行っているところもあります。職場体験の実施期間の延長に関して、長野県では 何か動きはあるのでしょうか?お願いします。
 答:確かにそうですね。意味はあると思います。しかし、実際は、教えることのできない職種がたくさんあるのも確かです。

40. 教科書がない時代はどう教えていたのだろう。
 答:教師が一人一人に、教材を作っていた。

41. 校則は学校ができた頃からあるものなのですか?
 答:たぶんね。大人が、言うことを聞かせたい、これは教えたいと思ったときから、

42. 先生は、昔学校はどのようなものだと思っていましたか?
 答:いつに昔かなあ。日本の学校は、明治以降だろうけど。それも、オウベイのまねだから。

43. 中学生にとって「持ち込み可」のテストに対するイメージはどの程度なのでしょうか。私が大学生になって「持ち込み可」  テストがあることを知ったとき、「楽勝じゃん」と思いました(実際は惨敗でした)。もし、中学生がそのようなテストを 受けるとき、やるべきことをすることができるのでしょうか。
 答:テストの目的と意味を考えると、やり方次第ではそれもありでしょうね。

44. 生徒が「役に立たないから勉強なんてしなくていい」といっている場合、川島先生ならどうやってやる気を起こさせますか。
 答:それは、10歳までに生活習慣として身につけさせることのできなかった大人の責任だと思います。しかし、そういってもしょうがないので、学習理論(スモールステップや報酬)と内発的動機づけ(好奇心)を使うしかないでしょうね。

45. 川島先生は中学生時代、どんな生徒だったんですか?
 答:私立の一貫校だったので、よく遊んでいた。今、思うと幼かった。

46. 欲張りかもしれないが以下、質問を4つ挙げる。
(1) 質問は複数でも良いのか。  答:良い
(2) レポート2000字程度に、質問の文章を含むのか。 答:含まない。
(3) 第2章に対する、先生の経験に基づいたアドバイスを頂きたい。先生が学生の頃に「なぜ勉強するのか」と思う同僚はどれくらいいたのか。 答:わからない
(4) 先生自身、「なぜ勉強するのか」と考えたことは無いか。 答:なかった。


47. この授業では1冊の本を2週間に分けて読み、1週間ずつ2回のレポートで提出しますが、1冊の感想文を一回のレポートで提出することは可能でしょうか?つまり2週間かけて一冊の本を読み、4000文字の感想文を一回提出するわけです。半分ずつの内容の感想文だと前半の感想文では作者が最後に言いたいことが書けないで、内容として書きにくいことがあると思うので提案しました。
 答:一応、2回に分けて書いてください。

48. 川島先生はあえて学校というものを一言で言うと何だと思いますか。私は1人の人間のような”生き物”と思います。あと、このレポートはこんなふうに偏って、絞った風に書いてもいいのですか。これだと全部読んでないような書き方に見えるのですが。
 答:いいです。信用していますよ。それに、読んでいないと、討論がおもしろくないと思います。

49. 地域ごと内容が違う勉強している国では、進学するとき(中学から高校など)は試験などがあるのだろうか。また、あるとすればどのようなものか。
 答:確かにアメリカでは、数種類の統一テストがあります。

50. なぜ私は存在するのでしょうか。正直私には何もありません。なぜ私が存在しているのか疑問です。
 答:それは、人類の最大の課題ですね。だれでもが考えることです。私には何もないということはありえません。人間も猫や犬と同じように生まれてきた以上、生きているのだから、生きて行かねばならないという部分はあります。存在は、存在していること自体意味があると考えた方が良いでしょう。多くの生物では生まれてすぐに死んで行くものが多いのです。生きていること自体、感謝すべきことかもしれません。

51. 勉強ができない社会では子どもたちは勉強をしたいと願い、勉強ができるというよりしなければならない社会では子どもたちは勉強したくないと思うと最初に書いた。できない社会では当然であるが、現在の日本のような社会では、子どもたちが勉強をしたいと思えるようになることはないのだろうか、親のせいなのだろうか。それとも子どもたち自身の意欲や自分を高めたいとおもう向上心が足りていないのだろうか。しかたがないことなのだろうか。わたしたにはなにができるのだろうか。
 答:子どもたちへの勉強の指導は、子どもに考えさせることでなく、大人が次の世代を残すために、勉強の習慣をつけることから始めると思います。意欲は大人が作って行くものだと思います。小学生に自分で考えろという大人は無責任だと思います。結局、大人が、次の良い世代の社会を作ろうという意識が欠けているとしか思えません。

52. 本文中に書かれているP87「正しい態度」とは本当に正しいものなのだろうか?
 答:世の中に、絶対に正しいものなどないとおもいます。ですから、ここでの「正しい態度」は、その学校の教師の考える(都合の良い)正しさだと思います。しかし、それが正しいと考えていることを子どもに伝えるのが大人の役目でもありますから・・・


53. 川島先生は中学校で習った知識を覚えていますか。また、その知識が社会生活の中で役に立ったことはありますか。
 答:直接役に立ったかどうかは検証できませんが、とうぜん、すべてが基礎になっていると思います。

54. 先生ならば、「どうして勉強しなければいけないのか?」という疑問に対して、どのような回答をされますか? 答えて頂けると嬉しいです。
 答:私は、勉強は大人が考えて子どもにさせるべきものだと思っています。大人にとって、子どもは次の世代を担う人間なのです。ちょうど、自分の商売を継がせようとする主人のようなものですね。その店を継ぐためには、その店のしきたりや商売の仕方を教えなければなりません。人間として生まれたものは、その社会で生まれた人間として生きて行くために、その社会や地域のしきたり、さらには、それまで蓄えてきた人類の知識を憶えて行く必要があると思います。

55. 先生だったら生徒に実際なぜ勉強するの?ときかれたら、何と答えますか?こんな質問をして失礼でしたらすみません。
 答:前掲

56. 大学生のうちに読んでおいたほうがいい本はどんな本ですか?
 答:人によって違うし、なんでもいいけど、とりあえず、授業での本を参考にしてください。

57. 教科書に載せる内容を決めるときに、実際に教育現場で働いている教師の意見を聞く場が設けられたり、それらの意見が 反映されたりしているのですか?
 答:よくわかりませんが、たぶんね。

58. 教師が教える内容を考えたり、学校・地域ごとに内容を決めている国もあるということですが、その例を見てみたいです。 何か資料があったら紹介してください。
 答:アメリカはその傾向が強いです。

59. 校則について見直す子どもの組織(委員会など)はありましたが、教師が校則について考えるよう決められた会議や 時間はあるのでしょうか?
 答:たぶん、無いと思いますが、わかりません。

(授業での)読書レポートの書き方

2007年10月03日 | Weblog
(授業での)読書レポートの書き方

目次
1. 読書レポートは、どんな本かの報告ではありません
2.読書レポート4段階構成法
 1)問題提起
 2)意見の提示
 3)意見の説明
 4)結論
3.内容も文章も,読む人の立場に立って
4.良いレポートとは、どんなレポートか
 1)書くための内容全体を把握している
 2)書き手の判断・分析が含まれている
 3)文章での説得力を増すために
 4)独自の視点があるかどうか
 5)わかりやすい,読みやすい文章で書かれている
5.わかりやすい文章とは、どのようなものか
 1)文章全体のバランスが考慮していること
 2)あたり前のことだけに終わらない
 3)弁解やいいわけは、書かなくても良い
 4)具体性が必要である
 5)反論を予想して書く
 6)できるだけ詳しく書く
6.レポートの多くが持つ問題点

ここから本文です。
1. 読書レポートはどんな本かの報告ではありません
 レポートという言葉を辞書で引くと「報告」と出てきます。しかし、読書レポートは単なる報告ではありません。本を読んだ人の考えた結果が表れていることが必要です。その意味では小・中学校の調べ報告のレポートとは異なります。大学でも調べた結果を報告させるレポートを要求する先生もいます。また,自分の意見を書いてはいけないという先生がいます。しかし、その結果みんなが同じ内容というレポートになってしまうこともあります。
 読書レポートは、本に書いてあることを書き写すことではありません。本に何が書いてあったかなどの情報を書き写すだけでは,要約にしを書いたにしかすぎません。読後レポートで重要なことは、本に書いてある内容を読みとり,自分自身の判断から何が言えるか,どのように対応したらよいかの意見や主張を書くことが必要なのです。すなわち、読後レポートとは、報告や説明ではなく、本の内容についての分析であり、意見なのです。逆に言うと意見や主張の「報告」と言うことになります。
 樋口(2002)によると,杜会現象や人間の問題について論じた2000字程度までの文章を小論文、それを超えた文章をレポートとして分けています。さらに,8000字を超えて内容が学術的である場合、特に論文と呼ぶことが多いとしています。ただし,レポートや論文と、試験として課せられる小論文とは異なります。小論文は、その場で書くことが求められ,事実についてよりも価値観が問われることが多いようです。
 授業での一回のレポートが2000文字という量は、「原稿用紙10枚を書く力」(齋藤孝 大和書房)という本の中で、説明されています。一冊の本を読んで、4000文字くらいの文章に書き慣れると、どんな量の文章もこなすことができると言っています。

2.読書レポート4段階構成法
 論理的な文章を書くためには,起承転結に準じた四部構成で書くと書きやすくなります。ここでは,樋口(2000)に従って,レポートを4つの部分に分けて考えてみます。
1)問題提起
 問題点を整理して、「それは賛成か否か」というような問題提起をする。量としては全体の10パーセント前後が好ましい。自分なりの課題を設定し、課題のメインテーマを説明し、問題の提起をおこなう。
2)意見の説明
 本の意見に,賛成か否か立場を明確にし、その判断の根拠を書く部分。。全体の40パーセント前後がよい。確かに~~。しかし~という書き出しにすると書きやすい。たとえば、「早期教育は必要か」という問いに対して「必要である」という意見を持っているのであれば,「確かに、自由に遊ばせることも必要であるが,~~。しかし、その効果を考えると~~が必要である。」と書く。ここでは,自分の意見と同時に他の意見を示すことで文章の扱う範囲が広くなる。さらに,次に段落を考えて,「それは次のような理由からである」というような説明を予告する部分があってもよい。
3)意見の展開
 意見提示の部分さらにを詳しく述べる。内容は,その意見の根拠や論文、他者の意見、歴史的流れが中心となる。将来への予測や、希望などの意見があれば、ここで書くのがよい。この部分は、全体の40~50パーセントの量になるのが望ましい。
4)結論
 もう一度全体を要約、整理し、賛結論をはっきりする。将来の予測や、細かい説明はせずに、結論として、自分の意見をまとめることが必要。

 この4つの組み合わせは、読後レポートだけでなく小論文,学術論文(①問題,②仮説,③方法,④結果,⑤考察となる場合もある)についても同様です。全体の字数の違いによって多少の違いがありますが、全体の文章量が多い論文の場合はデータの部分と展開から結論の部分が大きくなることになります。卒論などの場合は、問題提起の部分に扱っている課題のレビューが含まれる場合があります。また長い論文の場合は章ごとに4段階があってもいいと思います。


3.内容も文章も,読む人の立場に立って
 毎週のようにレポートを読む立場になると,同じ内容のものや同じ意見のものは飽きてしまいます。良い内容、おもしろい内容というだけでなく,読んでいて楽しい文章という見方もあります。楽しいおしゃべりと同じように,リズムのあるリラックスした文章は読んでいても楽しいと感じます。もちろん,駄洒落や冗談ばかりでは困りますが,内容がおもしろいだけでなく,読みやすさも文章の良し悪しに関連してくると思います。レポートだからと言って,小,中学校の文章の学習ではないのです。

4.良いレポートとは、どんなレポートか
 では,良いレボート・諭文とはどのようなものでしょうか。もちろん,書いている人の年齢だけでなく,文学の授業なのか,物理のレポートなのか,心理学の授業の中なのかによって異なってきます。どの場合も良いレポートの基本となる内容には共通の部分があります。
1)書くための内容全体を把握している
 これは,あるテーマ,ある本についてのレポートが課題であるときには,そのテーマとは何か,その本の言いたいことは何かについて正しく理解していなければなりません。レポートを書くためには,その著者の立場,その本が書かれた背景などの理解も含まれます。もし,基本となる考え方や言葉の定義を間違って理解していた場合,レポートすべてが台無しになってしまいます。また,書いている人が偏った考え方を持っている場合,読み手は読みにくいというより,嫌気がさしてきます。また、漠然としたテーマや曖昧な主張をもとに文章を書くことになってもしまいます。
2)書き手の判断・分析が含まれている
 レポートの内容がいくら詳しいものであっても,表面的な事実だけを述べたものは,読み手にとっても当たり前だとしか受け取られません。レポート・論文では、それを書き手が判断し,何らかの分析をして初めて独自のレポートとなるのです。その判断は表面的なものだけでなく,独自の解釈や分析によって,新しい視点を示してあり,説得力がある場合,おもしろい良いレポートということになります。
3)文章での説得力を増すために
 レポートの内容が適切な分析をしている場合でも,読み手を引きつけるためには,その分析の正当性を示す必要があります。おもしろい分析であったとしても,独断と偏見によるものでは話にならなりません。事実によって裏づけてこそ説得力が生まれます。説得できる根拠があってこそ,仮説のおもしろさが増すのです。
4)独自の視点があるかどうか
 読んでいて,おもしろい,興味がわいたというレポートは,誰でもが書く当たり前のことでなく,独自の判断と内容が含まれています。「そうか,そんな考え方もあったのか。言われてみるとそうだ」とか「なるほど,おもしろい」という気持ちを持たせてくれるレポート・論文は,読んでいてもおもしろいと感じます。そのような独自性は,判断,分析,考察のどの部分であってもいいのです。すなわち、分析の仕方が独自であったり,解釈の仕方が独自であったり,問題の設定がユニークである場合などです。
 しかし,独自性を持つためには,他のいろいろな意見や考え方,さらには一般的な考え方や定説といった知識も必要となります。また、独自の意見を書くためには、本を読む時に,本当にこれで正しいのだろうか,この解釈でいいのだろうかという反論の可能性を考えながら読むことも必要です。課題図書に関するレポートの場合も,その本の内容を理解してまとめるというよりも、批判的に読むという態度も必要になるのです。
5)わかりやすい,読みやすい文章で書かれている
 これは読む側にとって,読む気になるかどうかに大きく影響してきます。文学作品ではないので,おもしろい表現や奇をてらった文章よりも,わかりやすく整理された内容を心がける方がよいと思います。レポート・論文の場合、遠回しな表現や謙遜した言葉は必要がありません。読み手にわかりやすくするためには箇条書きを文章として述べるということも必要です。わかりやすい文章であるためには、文学的とか美しい文章という必要ありません。

5.わかりやすい文章とは、どのようなものか
1)文章全体のバランスが考慮していること
 文章全体が一つのパターンになっていることが大切です。すなわち全体を通して読んだときに、スムーズな流れを持っていることです。前述の1)問題提起、2)意見提示、3)展開、4)結論という流れに当てはまっているかをもう一度確かめる必要があります。まず、全体の流れを読み取るためには、目次の構成や要約を書いてみるとよくわかります。
2)あたり前のことだけに終わらない
 これは、誰でもがかけるあたりまえの文章にならないようにすることです。例えば、「教師としての愛情が大切である」「優しさを持たなければならない」などのあたりまえの内容を繰り返し述べることは意味のないことです。それではレポートではありません。また、個人的に誰でもが感じるようなことに「いらだちを覚える」「涙が流れた」などという形容詞が多く使われていると白々しい感じを与えます。レポートは、事実とその解釈が中心です。解釈の中に多少の感情が含まれることはありますが、感情の表現がレポートの中心となってしまってはいけません。
3)弁解やいいわけは、書かなくても良い
 レポートでは、必要のない、わかりきった言葉は書かない方がいいのです。読む人の立場に立って詳しく説明することはあるかもしれません。しかし、例えば、「私には、そんなことをいう資格はないのだが・・」などというのは、必要がありません。また、「聖書の中で・・」という時、誰でもが知っていることならば良いのですが、それを知らない人が読むことを考えると、それを説明する必要があります。それは書いている人にとっては、当たり前のように考えていても、読み手からすると間違った解釈をしているように見えることがあるからです。マスコミで語られている内容についても同様です。「国際化が進んでいることから・・・」と書いてみても、何が国際化なの共通の理解があるわけでなく、読み手とは異なる理解の仕方であるかもしれないからです。
4)具体性が必要である
 レポートの独自性を高めるために、また説得力を増すために具体的な内容がある方がいいでしょう。しかし、具体性のためにレポートのほとんどが体験で埋まってしまっては、レポートの意味がありません。体験に基づいて、何がいえるのか、また、どう解釈できるのかを述べなくてはなりません。
5)反論を予想して書く
 レポート・論文の中で一つの意見を書くと反対意見が予想される場合があります。そのようなときには、反対意見を予想して論理を運ぶ必要があります。書いている者が、この意見は一般に言われていることなのだから当然だろうと考えても、読み手には気がつかなかったことがあるかもしれません。レポート・論文では、あるテーマにそって説得する部分が含まれます。そのためにはいろいろな様々な意見を考慮して書く必要があります。
6)できるだけ詳しく書く
 レポート・論文は、読み手を説得するのですから、読み手が納得するような理由を述べなくてはなりません。内容的には、結果としては理解できるが理由が納得できないとか、信念としてはわかるが常識的ではないなどと言われないように、その背景となる考え方を詳しく述べる必要があります。特に、政治的な内容や宗教的な内容などを含む場合、どのように考えるのかは人によって異なる部分を持っています。それに対してある主張をするためには、これは正しいのだ、という一方的な主張でなく、反論を考慮しつつ、主張が正しい理由を述べる必要があります。
6.レポートの多くが持つ問題点
 レポートを読んでいると、多くのひとが以下のような問題点を持っていることが多いように思います。
1.なにを伝えようとしているのかハッキリと分からない。
2.「私はこう思う」という書き手の思いだけを書いた言い切りの文章が多い。理由が分からないために説得力に欠ける。
3.意味があいまいな言葉を気軽に使いすぎる。
 以上のような点に気をつけてレポートをかいてみましょう。

参考文献
 やさしい文章術―レポート・論文の書き方  樋口裕一 中公新書
 原稿用紙10枚を書く力 齋藤 孝 大和書房

生徒指導概論 B 後期 水曜2時限目 シラバスです

2007年10月03日 | Weblog
     生徒指導概論 B
(臨床心理学からみた、「生徒指導・教育相談」)
            2007年度(川島:後期 水曜2時限目)
この授業は、「生徒指導」について,3つの方法で学びます。1)授業を聞いてテストをすることで知識を身につける。2)本を読み,レポートを書くことで自分の考えをはっきりさせる。3)他の人と話をすることで,いろいろな意見があることを知り,さらに考えを深める、です。
出席はとりませんが,授業に出席しないと課題ができません。読後レポートの提出だけでは単位が出ません。また,レポートの最後には質問を書くようにしてください。回答は授業中にも行いますが,
かわティブログ http://blog.goo.ne.jp/kawa_tee/ で答えます。

読書レポートと討論の為の対象文献
① 学校って何だろう―教育の社会学入門  苅谷 剛彦 ちくま文庫
② 判断力はどうすれば身につくのか―アメリカの有権者教育レポート 横江公美 PHP新書
③ ネット犯罪から子どもを守る― 毎日コミュニケーションズ 唯野 司
④ LD(学習障害)とディスレクシア(読み書き障害)  講談社+α新書 上野 一彦
⑤ 不勉強が身にしみる 学力・思考力・社会力とは何か 光文社新書 長山 靖生
⑥ 日本を滅ぼす教育論議 岡本 薫  講談社現代新書

教科書
臨床心理学からみた、「生徒指導・教育相談」 ブレーン出版

予定表(木 2限) 授業内容
●読後レポートは、2000字程度  (★余った所は、質問を):
●討論をした次の週に討論感想を 1200字程度
1  10月 3日 オリエンテーション    授業の説明
2 10日 第1章  小テスト1           
3 17日  第2章 小テスト2   ① 学校って何だろう前半
4 21日 討論(質問の回答) ① 学校って何だろう後半
5   31日 第3章 小テスト3 ②判断力はどうすれば 前半
6 11月 7日 討論(質問の回答) ②判断力はどうすれば 後半
7   14日 第4章 小テスト 4 ③ネット犯罪から 前半
8   21日  討論(質問の回答) ③ネット犯罪から 後半
9 28日  第5・6章 小テスト5  ④LDとディスレクシア 前半
10 12月 5日 討論(質問の回答)  ④LDとディスレクシア 後半
11   12日 第7・8章 小テスト6  ⑤不勉強が身にしみる 前半
12  19日  討論(質問の回答) ⑤不勉強が身にしみる 後半
13 1月   9日 第9・10章 小テスト 7  ⑥日本を滅ぼす教育論議 前半
14  16日 討論(質問の回答) ⑥日本を滅ぼす教育論議 後半
   日本を滅ぼす教育論議の討論感想は出したい人だけ26日までに研究室へ

注意事項
1) 読後レポートは、2000 字 (原稿用紙5枚程度)を基準とします。2)討論感想レポートは、1200字 (原稿用紙3枚)を基準とします。3)できるだけレポ-トの最後の部分に「質問」を書いて下さい。成績はレポートA(2000字)=50点、レポートB (1200字)=30点で、小テスト=60点で、レポートの提出は1週間遅れると、-10点となります。すべてのレポートの提出期限は最後の授業時までで す。それ以降は受けとりません。総計点の80%でA,70%でB,60%以上でCとなります。ワープロを歓迎します。手書きは-10点です。この予定表は 変更になる可能性があります。