すみません、ちょっと身体の調子が悪くて、回答が遅れてしまいました。
1. 高橋先生のプリントにも書いたのですが、こちらにも書かせてください。授業中、ADHDを持つ大人のVTRを見て、「洗面所のビニールをやろうとして、この部屋に戻ってきたんだけど…何をしたのかしら?」と言っている場面がありました。この思い出せない状況って、アルツハイマーとはどこが違うのでしょう?
答:確かに,認知に関する障害という意味で症状は似ていますが全く違います.アルツハイマー型認知症は進行性の認知障害であり,ADHDは発達の過程で生ずるもので進行性ではありません.さらに,アルツハイマー型認知症は高齢になってから発症します.ADHDの問題は、注意力に関連する部分が多く,アルツハイマー型認知症は,注意というより記憶の障害と言える部分が多いと思います。
2. 「違いを認める」ということが「無関心」に近い状態なっていると私は感じています・教育学部にいる学生は皆活発で輝いていて近寄り難い、と話した先輩について以上2点、先生はどう思われますか
答:そうですね「違いを認める」ということと「無関心」は,現象としては似てきますね.しかし,認めているという状況は,きちんと相手を見ていなければなりません.ここで相手を見るというのは,相手の状況を理解するということです。さらに、普段の生活の中でも、相手を見ているようできちんと見ていないことが多いです。相手の顔を見て、その人の調子はどうかなと考えてあげて見て下さい。違った見え方がしてきますよ。
3. いじめられている子がいじめだと思ったら、それはいじめになるということを言いますが、それだとちょっとしたケンカでも、人によっては「いじめ」になってしまいかねません。それについて先生はどう思いますか?
答:授業中でも言いましたが、1対多になり、1人の方の子どもが孤独であると考えた時に「いじめ」になります。1対1ではこの本に書かれているような「いじめ」とはいえません。ジャイアンとのび太のいじめです。それが、昔の「いじめ」と今のいじめの違いだと思います。
4. 先生は何かいじめについてのエピソードをお持ちですか。差し障りのない範囲で教えてください。
答:私自身は、ケンカはありますが、いじめの経験はほとんどありません。いじめを見たことがあるのは、以前、中学生のイジメを見るために、中学校の生徒指導の先生と一緒に、神社や体育館裏を回ったときに見ました。
5. 先生が、いじめの現場に遭遇したらどうしますか。
答:それは場面によると思いますが、担任をしているならば、まず、それが正当な理由がなかったとしても、いじめられている子どもの見方をして怒ると思います。それは、いじめられている場合は、まず、いじめられている子どもの見方を作ることが大切だからです。
6. 仲裁者がいじめられてしまう可能性は、やはり高いと思いますか。
答:これは、大切なことですが、仲裁者がイジメられている子どもの見方になれば、イジメからケンカになります。しかし,その場合でも、はじめにイジメられている子どもが、良いチャンスだと思って、イジメに回る側に立つと新しいターゲットになりいじめられてしまいます。イジメを無くすには、イジメられている子どもの見方を作り、ケンカの状態にする方向で指導すると良いのです。ケンカになると教師や親にも状況が見えやすくなります。その理由から考えると、小さな頃からケンカはいけませんといって育ててくると、イジメが発生する可能性が増えるとも思います。小さな子どもの段階から、ケンカをするなと言うのでなく、ケンカをしても、どのように仲直りをしたらよいかを教えたり,ケンカをしても相手を徹底的に痛めるのではなく、適当なところで妥協することの大切さを教える必要があります。現代の常識での「ケンカはいけない」「徹底的にやっつけることが正しい」という考え方が間違っていると思っています。
7. いじめは本当に選択可能なのですか?
答:上述したのと同じ理由で可能だと思います。
8. 私はテレビで映る政治家達のケンカ腰の会議の映像を繰り返しメディアで流すのは、子どもにとって悪影響ではないかと思います。先生はどのように思いますか。
答:そうですね。政治家の人たちも意見が違う場合に、どのように妥協するか、どのように仲直りするかを,子どもの頃から学んでいないように見えますね。そう考えると、子どもへの悪影響があると思います。ケンカをしても、うまく納めること、相手の意見も聞き妥協することが出来るのが、大人だと思います。
9. 先生は毎日これはかならずやる!というような習慣はありますか?あったら理由なども教えてください。
答:まあ、努力目標で、やらないこともありますが、朝起きた時と寝る前に柔軟体操と腹筋をしようと思っています。でも、酒を飲んだりするとめんどくさくて寝てしまいます。
10. ついに教育実習がすべて修了しました。次は教員採用試験ですが附属の先生方の授業力や子どもへの対応の仕方,仕事の多さをみると自信をなくします。本当に来年働けるのかと不安になります.残りの学生生活はどうしたらよいか迷います。なにかアドバイスがほしいです。
答:まあ、学生の皆さんから見ていると、附属の先生方がすごいように見えますが、私からは同じように見えますよ。私自身、大学生の頃は、皆さんよりだらしがなかったし、勉強もしなかった気がします。私には、皆さんの方が、すごいなあと思っていますよ。人は人、自分は自分です。自信を持って、あなたのやり方でやって下さい。
11. プログを拝見したところ、いつもネガティヴな人とずっと一緒にいるのは避けたい」という話題がありましたが、ここではわたしはどちらかというと避けられるほうですので、ぎくりとしてしまいました。では、常にネガティヴな人が上向くには一体どうすればいいのでしょうか?
答:それについては、訓練することが出来ます。授業でもやりますが、認知行動療法やソリューションフォーカスドアプローチです。新書なら、「問題行動の意味”にこだわるより“解決志向”で行こう」 森 俊夫 ほんの森ブックレット などを参考にして下さい。
12. 最近全部放り出してどっかに逃げたいときがあります。逃げちゃだめだって言い聞かせて何とかがんばっているのですが、何かいい気分転換になる方法はないでしょうか。
答:私も、いろいろとめんどくさくなるときがあります。そんな時は、「身体を動かすこと」と「人と話すこと」が一番の解消になります。
13. ブルーグラスという音楽をご存知ですか?アメリカの民謡(カントリーミュージック)なのですが知っている人がいなくて寂しいです。また、そのブルーグラスの魅力を伝えるのに一番有効な方法はなんでしょうか?仲間を集めて活動したいのですが、なにぶん知っている人が少なく、楽器も独特なものなのでなかなか集まりません。何とか知恵を貸してください!(笑)
答:いいですね。実は、私は高校生の時に友人でブルーグラスが好きな人がいて仲間になり、バンジョーを弾いていました。その時代は、フォークソング全盛でしたから、仲間もすぐに集まりました。休み時間によく一緒に歌っていました。しかし、大学の時にバンジョーを盗まれてから、そのままになりました。懐かしいです。いずれにしろ、仲間を集めるのが重要で、そのためには、音楽を聴かせたり、演奏を聴いてもらったりするのが一番ですね。そうそう3年前にニューオリンズに行きましたよ。
14. 長文になってしまいますが、よろしくお願いします。先日、別の講義で、日本の大学生は、トップクラスの大学に行っている人でも分数の計算ができないひとが多いと聞きました。それに対する周りの意見は、日本は受験に合格するためだけに勉強している人が多いから終わると忘れてしまうのではないか、というものでした.私は、勉強することは、忍耐力つけたり、与えられた題の中で楽しさを見出すカを養うことだと思います.先生は、もし、生徒から勉強はなんでしなくちゃいけないんですか?こんなの日常生活の関係ないと思います。」と聴かれたらなんと答えようと思っていますか?
答:大学生の分数計算ができないという話題は、数学をやっている人たちがよく話題にしますが、あれは誇張されていて、それほど問題ではないと思います。他の国でも、出来ない学生は、沢山います。それより問題なのは、大学生でも、スピリチュアルとか来世を信じるという、非科学的な考えを持った人が多いと言うことです。それから,生徒から勉強はなんでしなくちゃいけないかと、聞かれたら、一般的ですが「直接お金になったり、役には立たないけれど、良い大人になり、良い人生を送るために必要であり、一つのことを理解するためには総合的な学力が必要だ」と答えたいです。
15. 教師がいじめに気付くにはどのような気配りが必要だと思いますか。過度ないじめにあいながらも負けずに立ち向かうドラマを見たときに感じたことは、いじめられる側の強い意志はいじめに立ち向かうにあたっては必要だということです。このような強い意志を育むためにも、親や教師のしつけや教えは大切であると思います。
答:授業でも言いましたが、イジメの基本は「仲間はずれ」と「相対的な価値観」です。ですから、教師は、イジメに気がつくためには、孤独感を持っていたり、仲間と一緒にいながら、寂しそうな子どもに注意をすると良いと思います。そして、普段の生活の中で、何でも、みんな同じにさせるのでなく、はずれたり間違った子どもでも,受け入れことを示す態度が必要だと思います。教師自身が、融通の利かない,リジッドな(堅い)考えを持たないように気をつける必要があります。しかし、多くの中学校は、なんであんなに子どもをロボットの方に同じようにさせようとするのだろう。
16. 実際にいじめが起こってしまったとき、教師は加害者と被害者の両親にいじめの事実について伝えるものなのですか?それとも子どもが言うまでは教師も内密にしておくべきなのですか?初期段階で解決する場合はいいかもしれませんがエスカレートしてしまった場合など…。
答:これも、難しいですね。実際は親次第だと思います。本来なら、伝える,どのように解決するかを,親や教師が相談出来ると良いのですが、親によっては、単にケンカになったり、相手だけを責め立てて騒いだりするので、難しいのだと思います。ですから、どのような親かを見極めることと、話し合いの中で、親には対立状況に持って行くのではなく、子ども達がより良くなるために(未来志向)相談するという形で話をするのが良いと思います。
17. 私は、小学生の時の担任の先生に、「いじめで一番傷つくのは『食べる・寝る・動く』などの生きる能力と気力であるから、いじめはその人を死に追いやることである。殺すことである。だからいじめはいけない。」と教えられました。今まで読んできた本では、いじめによって傷つくのは「自尊心」や「自己肯定感」であるという記述が比較的多かったように感じています。先生は、いじめによって一番傷つくのは子どもの心身のどのような部分だと思いますか。
答:そうですね。基本的に傷つくのは自尊心ですね。殺人でさえ物理的に攻撃されるよりも、自尊心が傷つけられた時に起きます。イジメの場合も、みんなと仲良くしなければいけないという絶対間の中での「仲間はずれ」によって、自尊心が傷つくのだと思います。
18. 感想でも書きましたが、からかいに対して、加害者や取り巻き、傍観者から見ると大して深刻に受けていないように見えるけれど、被害者は深く傷ついているという事があると思います。そのような子どもはどのように発見、フォローしていけばいいと思いますか?
答:基本は、仲間を作ってあげることです。傷ついている子どもは、自分の見方がいないと考えています。ですから、その子どもに味方する子どもが出来るとフォローになります。実際には「仲良しグループを再構成させる」ような方法や「他の集団に属させる」ことで、外に仲間を作ることが重要だと思います。サークルや習い事などで友達が出来るようにするのも手ですね。ですから、クラスだけでなく、部活で良い友人がいるとイジメにも耐えられると思います。
19. 私の友達にこの頃全然食欲がない、と言っている子がいます。その子は教育学部ではないのですが、授業が大変だそうです。一緒に食事に行ったりすると少し食べるのですが、普段はゼリーなどしか食べられないそうです。心配です。どうすればいいと思いますか?
答:それは、なにか悩みがあるか、身体の調子が悪いのかも知れません。あまり極端に食欲がないなら、病院に行くことを勧めます。