かわティブログ 「発達と教育」と「生徒指導概論」

  平成24年度後期のシラバスは10月3日にあります。

質問と回答:生徒指導概論C (木) 100603 発達障害の子ども達 前半

2010年06月05日 | Weblog
高橋先生の話はどうですか。具体例が多くて発達障害の理解がすすむ気がしますね。


1. 専門用語が多用されていますが、これらは知っておかなければならないものですか。
  答:そうですね。専門用語の意味を知ると言うことは、その領域を学んだという証拠です。大学を出てから○○を学びました、という時の重要な証拠は、専門用語(テクニカルターム)とその領域の有名な人の名前を知っているかどうかで判断されます。その領域の学問を学ぶということは、専門用語を覚えるという意味が大きいのです。是非、専門用語を憶えましょう。

2. 自閉症とアスペルガーの違いとは何ですか。
   答:アメリカ精神医学会の診断基準 (DSM-IV) によると、自閉症の中で、興味・関心やコミュニケーションについて特異であるものの、知的障害がみられない発達障害のことをアスペルガー症候群と呼びます。「知的障害がない自閉症」として扱われることが多いです。逆に言うと、自閉症の中で、知的障害のない人のことを言います。


3. 発達障害というのは、日本で最初に認め始められた時は、主にどのような意見が多かったのですか?
  答:これは、歴史の中で、日本では発達障害を法律的な意味で障害として認めることは、ありませんでした。意見のほとんどが、親の教育が悪い、しつけが悪いということで片づけられていたのです。発達障害が、遺伝的な要因を含む部分的な、障害であり、適切な環境が与えられることで社会の中で適応可能な障害であるということが認められたのは、2006年の障害者自立支援法施行以降だと思います。その意味では、質問にあるように、社会の一般的な意見は、課題の本に書いてあるような誤解を含むものがほとんどであったといえます。

4. 先生にとって、「こだわり」とは肯定的・否定的のどちらのイメージがありますか。
  答:両方です。こだわりは、周りが認めてくれれば、肯定的になりますし、認められないと否定的になります。


5. 高機能自閉症の人は天才的な能力を秘めているのでしょうか?
  答:それは、決まっていません。確かに、イエオサバンのように、部分的に天才的な能力を発揮する人もいます。いっぽう、人間は、ある部分が欠けていると、他の部分で補おうとします。その意味では、欠陥をもっていると、他の部分で天才的な能力を発揮することがあります。目が見えないのに、それを補うように聴覚能力を発揮して、盲目のピアニストになる人もいるようにです。

6. 成人近くになって発達障害があらわれるということはあるのでしょうか?
  答:これは、現れると言うより、成人を過ぎてから、明らかになると言うことがあるということでしょうね。高橋先生のビデオにもありましたが、30歳を過ぎでから障害がはっきりとしてくることもあるという意味だともいます。


7. 障害のある子どもは、通常の学級で授業を受けた方がいいと思いますか。また、特別支援学級や特別支援学校で受けた方がいいと思いますか。
  答:子どもの教育の基本は、「個別指導」です。最も理想的な教育は、個別のカリキュラムに基づく個々の子どもへの指導と同時に集団での社会性を学ぶことなのです。そう考えると、障害のある子どもは、特別支援学級や特別支援学校で受けた方がいいということになります。


8. 川島先生は発達障害の子どもを特別支援学校に行かせるか、特別支援学級に行かせるか、どちらが良いと思いますか。
  答:その子どもによると思います。その子どもにとって異なります。基本的には、障害の程度にもよると思います。また、それを指導する教師の力も関係すると思います。もちろん、財政的に許すのであれば、特別支援学校の方がいいと思います。

9. 川島先生に十代前半の子どもがいたとして、もしその子が特殊学級に入るように勧められたら、素直に受け入れられますか。
10. 川島先生は自分の子どもが障害を持って生まれてきたときに養護学校へ進学させることに何らかの抵抗を感じますか。
11. もし自分の子どもが発達障害であると診断されたら、先生はどう感じますか。
  答:もちろん、受け入れます。というよりも、その子どもにとって、より良い教育を受けさせることが大切で、私の見栄などな意味がありません。さらに、一言言うと、特殊学級の方が一人の子どもに対して費やす金額が大きいのです。すなわち、特殊学級の方が贅沢な教育、子どもにとって豊かな教育を受けることが出来るのです。私は、逆に、なぜ、特殊学級をそんなに嫌がるのか疑問だと思っています。


12. 発達障害を持つ子どもたちが普通学級に所属するとき、その子に対するいじめ等があったときどのように対処すべきだと考えますか。
に接すれば良いと思いますか?
  答:基本は、他の子ども達に、その障害の内容を理解してもらうことです。そして、イジメに関しては、他のイジメに関する原則(その内授業でやります)を徹底することだと思います。


13. 先生は発達障害のある子どもに対してどのような指導をしたいと思いますか?
  答:子どもの指導は、どんな子どもでも同じです。その子どもの人格を尊重して、子どもに接することです。それについては障害があるかどうか、年齢が違うかどうかに関係ありません。


14. 普通教育中にいる発達障害を持つ子どもやその親に対して、実際に教師ならば、どのような声掛けで特別学級を進めればよいのでしょうか?
15. 川島教授は発達障害の子どもと接するときどのように接しますか?
16. 障害を持つ子どもやその親にカウンセリング等を行ったことがありますか。もしあれば、どのように対応しましたか。
17. 先生は、いままでに障害を持った子供と接したことはありますか?また、どのよう  答:以前、附属養護学校で仕事をしていたことがあるので、その時に、いろいろな子どもに出会いました。また、教育相談所でもバイトをしていたので相談を受けたことがあります。そこでの対応の基本は「個別学習カリキュラム」です。障害を持った子どもだけに限るわけではないのですが、子ども一人一人についての個別の適切なカリキュラムを作ることが出来れば、良い教育なのです。障害を持ったこともへのカウンセリングも、どのような子どもに対しても基本は同じです。


18. 発達障害の問題について、これから教師はどんなことを学んでいかなければならないのでしょうか。
  答:発達障害も、いろいろなパターンや程度、障害の種類があります。それらの違いを、心理学的に、医学的に、教育的に理解することが必要だと思います。

19. 現在境界知能のような児童を受け入れられる学校はないのですか?
  答:いや、普通学級で受け入れていますが、うまくいっていないことが多いだけだと思います。

20. 何らかの障害を持った子は1クラスにどれぐらいの割合でいるのですか?
  答:何らかというのは、難しい質問ですね。軽度発達障害を含めて、すべての障害を持った子どもの割合というと、6~7%位になると思います。40人のクラスで、3人くらいということになりますね。ちょっと、大変です。

21. 日本では、発達障害でも、社会で働いている人が何人いるのか。
  答:アスペルガーの診断を受けている人や、いろいろな事情で診断を受けていない人を含めると、かなりの数だと思います。あなたの周りにも、必ずいると思いますよ。

22. 川島先生が自分で思うところの他人よりおかしなところもしくは癖などありますか?
  答:うーん。それが、私のことを変わり者だという人がたくさんいるのですが、私にはわからないのです。この学部でも、私は変わり者だそうです。でも、私は、私が基準なので、どこが可笑しいのかわからないのです。困ったものです。私の癖は秘密です。

23. 人と話をするときに心がけていることがあれば教えてください。
  答:やはり、きちんと目を見て話すこと。話を聞く時には、うんうんと首を振ることくらいですね。

24. お子さんが小さい時川島先生はそばにいてあげられましたか?
  答:小さな時というのが何歳くらいまでかわかりませんが、子どもが幼稚園までは、大学院生だったので、時間があり、かなり一緒でした。また、子ども達が小さいときに一緒に暮らした(遊んだ)ことは、楽しかったので子どもに感謝しています。

25. 先生は日本語と英語以外の言語を学んだことはありますか?
  答:そうですね。旅行に行くために、いくつかの言語を学習しました。英語以外の言葉で、現地の言葉で旅をしたことのあるのは、フランス、スペイン、ギリシャ、イタリアなどです。実際は、英語と半々くらいでの使用でした(都会や高級ホテルは英語が通じるところが多い、田舎の安ホテルは通じないことが多い)。その他の国、例えば、クロアチア、スロベニア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアなどはあいさつ程度で、後は英語でした。今は、中国語をちょぼちょぼと始めています。私の憶え方は、CDを何度も聞いて、音から憶えようとすることです。そうすれば、文字は憶えないですみます。でも、旅行の時は覚えていても、帰ってきて1ヶ月もたつと忘れてしまいますが・・・

26. 最近忙しい上に貧乏で困っています。先生はお金と時間どちらが大切だと思いますか?
  答:それは、バランスですね。最低限のお金があって、やりたいことがあれば時間が大切になりますし、時間はあるのにお金がない人は、お金を稼いだらいいと思いますから・・

27. 私の実体験(一部ですが)では上記のような感じでしたが、特別支援学級と通常学級の行き来をどう思いますか?(上記内では通常学級の子どもに対する認識とか、立場な話しになりましたが)
  答:現実には、子どもの状況によると思います。しかし、その子どもの成長にとって、適切なカリキュラムを組むことが出来るのであれば、どちらでもいいと思います。

28. 最近ケータイやパソコンに頼りすぎているせいか、よく漢字を忘れます。心なしか字も汚くなりました。いつも思うのですが、手書きの文字が綺麗な人は得ですよね。一般的に、字が右上に傾いていると綺麗に見えると言いますが、それはなぜですか?
  答:なるほど、私も全く同じで、漢字が書けません。困っています。右上がりは、推測ですが、書きやすさときれいに見えるということだと思います。何事も、スムーズに見えることはきれいに見えるのだろうと思います・・・でも、よくわかりません。

29. 子どもの人生なので、意見を尊重することも必要だと思います。しかし、一時的な子どもの希望で決めてしまうのも危険な気がします。何を一番大事に考えればよいのでしょうか。発達障害の子どもが普通学級にいる場合、どの程度目をかければいいのか。また、他の生徒にその子についてどう説明し、どう接して話せばよいのか。
  答:私は、子どもの人生は、子どもだけの人生ではないと思っていますし、子どもが自分で決めることが一番大切だとも思っていません。それに関与するのが大人(親や教師)の役割でもあり、責任でもあると思っています。子どもの意見を尊重するといって親が自分の意見を持たないのは無責任です。多くの、スポーツ選手や芸術家は、親の影響を強く受けて小さな頃から、人生の目標を作っています。


30. 卒論で海外にフィールドワークに行きたいのですが留意することあれば教えて下さい。
   答:日本と日本以外の国の大きな違いは、「安全と水はタダではない」ことです。特に、日本以外では、都市部などに危険な地域があります(日本にも多少はありますが・・)。そこを避けて通るべきです。日本と違って、危険な場所をみくびってはいけません。


31. 発達障害は治るのでしょうか?なおればそれは障害と呼べるのでしょうか?
   答:この問題は、「治る」ということをどのように考えるかによります。障害や病気があっても、日常生活に支障がない場合は問題がないからです。発達障害児であっても、教育環境や家庭環境によって自立した生活を送ることができるようになるのであれば、問題がないということです。ですから、発達障害は治るか治らないかの問題よりも、成人してから自立した生活ができれば、それで治ったのと同じになると思います。また、ADHDの場合は、薬を飲んでいれば、適応できるのであれば、それでいいと思います。薬に対するこだわりや障害へのこだわりを持つということの方が偏見になります。


32. 大学院の試験に向けて英語を勉強しなければなりません、どのような英語の勉強が好ましいでしょうか?
   答:それは、英語の先生に聞いた方がいいのかもしれません。私は、できるだけ多くの本を読み、それも声を出して発音しながら読むことをやってきました。それと、先日も書いたのですが、覚えている単語数を増やすことだと思います。当たり前ですが、文法的には間違っていても、専門用語を覚えていると、何となく訳せることが多いのです。


33. こどものことを「発達障害なので仕方ない」みたいにわりきって教育することは本当によいことなのでしょうか?障害者みたいな、哀れみのような感情が芽生えると、そこでやはりなにか壁が生まれるような気がしてなりません。
   答:そうだと思います。問題なのは、「発達障害なので仕方ない」というのでなく、「発達障害だから、それを補って、他の部分をのばそう」と考えることが必要です。人間は障害を持っていると他の部分で補おうとして、より成長することが多いのです。


34. 鳩山総理と小沢幹事長が辞職しました。最近の総理大臣は短期間に変わりすぎだと思います。その原因が2世や3世でおぼっちゃまだから、都合が悪くなったらすぐ投げ出すと言っている人がいました。私はそれも一理あるなと思いましたが、先生はそのようなことが関係あると思いますか。
   答:そうですね。エリートの条件のところで学んだように、指導者として教育を受けていない人たちがリーダーになっている気がします。日本の政治家には、ノーブレスオブリージュどころか、私利私欲を求める人が多いのです。


35. 高校の先生を志望する者で大学院卒業の方が優遇されているのはなぜでしょうか。もちろん、知識の深さで大学卒業の者と差があるのは当然ですが、その差を大学生の問に埋めることはできないのでしょうか。
   答:それは、文科省がとっている方針が、欧米で広くとられているような、教員資格を修士以上にしようと考えているからです。多くの国では、修士をとることが教員の資格になっています。その流れから、例えば、現在でも名目的には、管理職は専修免許(修士以上でとれる)を一応義務づけています。


36. 人はどこまで自分に与えられた運命を変えることができるのでしょうか。
   答:運命なんてないですよ。人間がかってに考えて良いことがあると運が良かったと帰属するのです。また、運命という言葉は、事柄が起きた後に、つがおうが悪かったときに運が悪かった、良かったときに、運が良かったと後から理由付けするために使われる帰属の手段なのです。ですから、運命が変えられるかという質問は成り立ちません。さらに、運命を信じている人は、運命は後から、これが運命だったと考えるのですから、運命を変えることはできないということになります。


37. 先生はドラマ「スクールウォ・一ズ」を観たことがありますか。どう思いますか。
   答:すみません。見たことがありません。わかりません。こんど、見てみます。


38. 「実習中及び終了後の児童・生徒との個人的な交流(住所や電話番号の交換)は避ける」と言れますが、教師にという職業に就いたら個人的な交流はあっても良いのでしょうか
   答:実習生の時は、基本的に避けた方がいいと思います。しかし、教師になると、実際には個人的な交流が必要になります。実際、子どもだけでなく子どもに関連して親との連絡が必要になり、メルアドも含めて個人的な連絡をすることが多いと思います。


39. ある映画で「恋愛は人生の醍醐味」という言葉がありました。先生は恋愛をどう考えますか。
   答:そうですね。醍醐味とまでは行かなくても、恋愛をすることは人生を楽しくしてくれると思います。そのために失恋すると悲しいのです。そうでなくても、片思いでもいいですから、好きな人を作ると人生の楽しみが増えると思いますよ。


40. また、特別支援学級や養護学校への児童・生徒の編入をさせることも必要というようなニュアンスで本文には書かれていましたが、実際には特別支援教員の数が少ないことが問題として挙げられているということを聞きました。もし、ある程度の学習障害や発達障害の子どもたちをそうした学級へ入れるようにしたら、教員の数が足りなくて大変なことになる、ということは考えられないでしょうか。
   答:現実に、特別支援学級や養護学校の教員でありながら、特別支援の免許や勉強をしたことのない教師が多数います。附属養護の教員でも、たぶん、3分の1の教員は特別支援の免許を持っていないのではないかと思います。ですから、長野県では、夏期休暇などに免許を取るための、認定講習というのをやっています。私も今年は講義をしに行きます。たぶん、現場の教員の半数は、皆さんがこの授業で学ぶことを知らないのではないかと思います。