事例紹介コラムです。
J3に今シーズンから、JクラブのU-23チームが3チーム新たに参戦します。昨シーズンまで参戦していたU-23選抜チームはいわば余り効果を出せなかったという事で、改変されたようです。そんな中で、スポナビのコラムに「U-23が参戦するJ3、成功の鍵は? FC東京、G大阪、C大阪それぞれの事情」というタイトルの面白いものが出ていました。以下、抜粋して紹介。
【U-22選抜から単独のU-23チームへ】
2シーズンにわたってU-22選抜チームがJ3に参戦したが、「場当たり的な寄せ集めチームでは若年層の抜本的強化にはつながらない」という懐疑的な見方が高まり、U-22選抜チームの活動を昨シーズンで終了し、今シーズンから単独クラブのU-23チームを年間を通してリーグ参戦させる方針に転換。出場資格は23歳以下の選手に与えられるが、オーバーエージ枠3人も出場可。GKに限っては追加のオーバーエージ1枠を活用できるルールも設けられ、U-23はJ2昇格資格を有さないという申し合わせも。
【U-23をトップチームと一緒に活動させるFC東京】
全てのクラブが23歳以下のプロ契約選手だけで1チームを作れる訳ではなく、J1・FC東京で、今シーズン登録メンバーでU-23に該当するのは、ギリギリの11人(2種登録含む)。クラブとしてはU-23とそれ以外を分離させずに通常通りのトレーニングを行い、試合直前に誰をU-23に行かせるかを臨機応変に判断。
「23歳以下を11人で組めず、OA(オーバーエージ)も3人までなので、どうするか検討。前日にあるJ1の試合でベンチ入りした選手の出場時間の違いという問題も発生。誰を行かせるか難しい部分で、現場にとって非常に難しいハンドリングになるのは間違いないため、常に一緒に活動しながら最後のところで『この選手は今回、J3に出る』と切り分けることが、チームにとってプラスになると考えます。我々にとって一番重要なのは、J1制覇を目指す中で1人でも多くのU-23の選手を引き上げるために、J3をうまく活用していくことが大切」と城福監督のコメント。
【人材育成、チームの底上げの重要性】
「あくまで最大のテーマはJ1で活躍できる人材を数多く送り出すこと。我々の使命は、移籍市場が開いた時、外から何人も選手を補強するような形にしないこと。『U-23に使える選手がいる』と胸を張って言えるような状態にすることで、限られた補強費を1人の大物選手に充てることもできるので、未完成品を完成品に近づけることが自分の仕事」とFC東京U-23の安間監督のコメント。
こうした考え方はJ1・G大阪も同様。同様に、トップとU-23を分けずに活動し、試合前にメンバーを選別してJ1とJ3を戦う方針。今シーズンのチームには23歳以下が16人おり、U-23チームを活動させられるが、あえて全員一緒にトレーニングすることでチームの底上げを図り、若い世代の台頭を促そうと目論んでいる様子。
「トップの選手が代表やけが人で抜けることもあるし、ユースの選手も加えながら戦うのが必要な時もある。U-23實好監督やユースとも連携を密にしていく必要がある」と長谷川監督のコメント。
【あえてトップチームと差をつけるC大阪】
J2・C大阪は、J2とJ3の日程が重複することも加味しながら、完全にトップとU-23を別々に分けて、キャンプも別行動。練習時間もクラブハウスのロッカーも別にし、遠征の長距離移動もほとんどバスを使うなど、「2軍」という位置づけを若い選手たちに浸透。
「いいも悪いも『下剋上』。下から這い上がるハングリー精神を持ってもらいたい。そういう厳しさが、今までのセレッソには足りなかった。練習時間もロッカーも別にすれば、トップとの違いを痛感するし、バス移動もタフさを養うこととコスト削減にもつながる」と大熊監督のコメント。
トレーニングが別になる分、指導者同士のコミュニケーションはより不可欠。常日頃から細かい意思疎通を図りながらトップの戦術をU-23に落とし込み、個を育てるように仕向けていくとか。
「U-23は我々の育成の一番上のカテゴリーという捉え方。これまでU-23年代はレンタル移籍等で試合出場を増やしてきたが、自前で個を伸ばし、トップの戦術に適応できるように仕向けることはやはり重要。ハードワークや守備意識は現代サッカーでは当然のごとく求められるが、今までのチームには確かに足りなかった。そこを突き詰めていき、攻守にアグレッシブに関われる選手をU-23からトップに数多く引き上げたい。トップとU−23の選手入れ替えは常時実施」と大熊U-23監督のコメント。
【U-23チームの成功の鍵を握る成果と運営】
上の3クラブの事情はまちまちだが、いずれも「個を育てること」が最大のテーマ。その一方でJ3は公式戦。J2昇格がなかったとしても、有料試合である以上、やはり結果は必須であり、現場サイドは上を目指す意識を重視。
しかし、FC東京やG大阪はチームを固定して強化ができないため、本気で今季J2昇格を狙うJ3クラブと互角に戦えるのかどうかは未知数。昨シーズンのU-22選抜もモチベーションにばらつきがあり、強化に直結しなかったという声も根強く、そこをどうしていくかは各クラブや指導者の手腕によるところが大。
加えて言うと、クラブ側は集客や広報宣伝活動、試合運営といった問題もクリアしなければならず、誰が試合に出るか直前までハッキリしなければ、集客活動やイベント等にも影響。スタンドが閑散とする中では選手のレベルアップにもつながらないので、いかにしてJ3を盛り上げていくかは非常に難しいテーマ。今シーズン、この3クラブがJ3でどんな成果を残すか、運営面で成功するか否かによって、今後のU-23の活動やJ3のあり方も大きく変化。近い将来、J2昇格の道も開かれるかもしれないだけに、3クラブの動向が大いに気になるところ。まずはその戦いぶりに注目したいと締めくくっています。
という内容でした。当ブログとしては、U-23とトップを分ける分けないよりも、もっと気になるのが、併設されるサテライトリーグの存在。なぜ、今回の3チームはサテライトリーグに参加しなかったのか、そもそもどうしてそうなったのか未だに不明です。中途半端な運営はわかりにくく、継続して成功する可能性が極端に低下すると思います。ハリル監督が口を酸っぱくして唱えた育成世代の強化ですが、自分で自分の成長を抑えていませんか? この最近のJリーグの不可解な動きは何とかならないものでしょうか。
なぜここまでネガティブな論調になるのか、それは昨シーズンまでのU-22選抜の失敗です。日本協会もそうですが、失敗や悪い結果に対して説明責任を果たさず、すぐに違うやり方を進めてぼかそうとする傾向にあると思います。不透明なものにファン・サポーターはついていかないと思います。
たぶん、この3チームも1年限りのJ3所属で、来シーズンにはサテライトリーグに参加するのではないでしょうか。もっとも、サテライトリーグもやらないよりはましですが、以前にもあった「モチベーション」の課題を解決しなければ、同じように数年で閉鎖になるのでは。
当ブログの持論は、ドイツのようにトップチームに必ずベンチ入りさせる人数を義務として割り当てる事です。余分な経費もかからないし、何よりフェアです。どうしてこの部分を見習おうとしないのか、これまた不可解。何か不可解ばかりです。もう少しでJ3も開幕です。というか、サテライトリーグの情報があれから流れてきませんね。やるのかな。
スポーツナビ該当コラム:http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201602070004-spnavi?p=1
Jクラブセカンドチーム関連⑥:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20151216
〃 ⑤:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20151119
〃 ④:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20151112
〃 ③:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20151007
〃 ②:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20150911
〃 ①:http://blog.goo.ne.jp/kataru-kai/d/20121124
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