コンテナの断熱
鉄ゆえに断熱対策は万全を期したい。
結露対策には断熱と通気が一番である。
で、囲炉裏茶屋のコンテナを昨年一冬観察し続けた。
囲炉裏茶屋のコンテナは三棟ともグラスウールによる内断熱である。
「グラスウール? これはやばいのではないか」
何故なら、袋に穴が空いていたりしようものなら、其処から水蒸気が入り込んでカビだらけとなるばかりでなく、断熱効果が一気になくなるからだ。グラスウールが断熱効果を発揮出来るかどうかは、ひとえに丁寧な施工にかかっているのだが、大工も人の子、適当にやってしまうケースが後を絶たない・・・これは、「ノアの箱家」建築に至る前に、コンテナを断念して木造建築の道を歩んでいた頃勉強して知っていた。
私が断熱するときは、素材はスタイロフォームにするだろう。
そう決めていた。
が、とにかく観察だ。
というわけで、囲炉裏茶屋のコンテナの内部の温度を測り続けたのである。
結露は残念ながら内壁があるので観察できない。
が、想像は付いた。
コンテナ内装下部の壁が黒ずんでいたのである。
カビだ!
ということは、内壁は結露だらけで、場合によっては腐っているかもしれない。
案の定、内装修理をすることになった。壁を支える内側の木も一部はすでに腐っていたという。
結露が原因である。
狭いコンテナ内部は、断熱がきちんとされていれば、ストーブをつけると一気に温度が上昇する。
温度が上昇するということは湿度も増すということで、冷たいコンテナ壁に水蒸気が触れて結露が生じるということだ。
囲炉裏茶屋のコンテナの暖は、全て石油ストーブ、水蒸気を大量に発生させる装置である。
最もヤバイ組み合わせ。(電気ストーブなら水蒸気は発生しにくい。エアコンは空気を乾燥させる)
卓ちゃんコンテナの外壁はコンテナむき出しで-2℃ということがあったが、ログハウス風に間伐材で覆ってある他のコンテナは、たったそれだけの覆いだけでも内部は卓ちゃんコンテナより2℃高かった。間伐材が外断熱機能を果たしていたのである。
だが、どのコンテナも早朝の流し台の水道は凍結していた。桶を置いておくと、中の水は綺麗に氷の塊になっていた。樫田の冬の鉄の実態である。
それに対し、私の部屋(離れ、木造)は、同じグラスウールの断熱ではあっても屋内温度は最低でも4℃以上あった。
ノアの若い設計士、玉城さんは言った。
「コンテナに住む以上、結露はどうしても避けることは出来ません。結露を生じさせないためには、いっそのこと暖房しないでコンテナの中にビニールハウスかテントを持ち込んで、そこで生活したら?」
むむむ、白足袋の飼い主君(石山修武氏)みたいなことを言ってくれるじゃん!
まさか、そんな生活するわけにはいかないから、囲炉裏茶屋とは条件の違う私の土地ではどうなるか、一冬観察してみたくて断熱なしのコンテナむき出しで生活してみることにしたのだ。
これが一生続くなら辛い。が、一冬ぐらいなら冒険根性!!楽しめる。
というわけで今の暮らしをすることになったのである。
私は当初は内側は土壁にして、それで断熱と結露対策を兼ねるつもりだった。(滋賀県の大工でよしずやすだれをラスや藁代わりにして土壁を塗っている人がいる)が、皆の意見に押される形で、たまたま北摂スーパーで檜の腰板が大安売りしていたこともあって、土壁をやめて木の壁にすることにしてしまった。断熱と結露対策については、私は新たに必死で考えることになった。(正直言って、今も土壁には未練が残っている)
とにかく、工事関係者を含め皆言うアイデアが違った。
「外は廃材で覆うのだから、断熱なんていらない。内側に木の壁をすれば、それが断熱になる。」
「内断熱で充分。水蒸気は木の壁が吸ってくれるから、結露なんてたいしたことない。」
「結露は避けられない。我慢して生活せぇ。」
「吹きつけ断熱は?」
「絶対外断熱!」
「外断熱なんて、面倒なことせんでええ。金高こつくで。」
かくして、外断熱派と内断熱派に分かれ、しかも施工方法のアイデアが皆異なった。
頭の中が混乱し、収拾が付かなくなった。
とうとう、「え~い!やかましい!! 一冬、鉄むき出しのまま過ごすんじゃぁ~!!」
KOKKOは嘴で周囲の人間を突付きまくったのである。
正直言って、何が正解なのか今も分からない。
また、今の暮らしが実験になっているのかどうかも不明である。何しろ、ストーブを焚きまくっても室内温度が一向に上昇しないのだから・・・。
室内温度が20度以上になれば、おそらく長野県でコンテナに住んでいる人の言うように、滝の如く結露の汗がコンテナに流れるのではないかという気がしてはいるのだが、実際にこの目で見ていないから、想像しきれない・・・。