浅野いにお 2017年11月 小学館・ビッグスペリオールコミックススペシャル
めずらしく最近のマンガを読んだ。
諸星大二郎の『BOX』3巻を買ったときに、近くに並んでて、なんか気になったんで手にとってみた。
いままで『虹ヶ原ホログラフ』ひとつしか読んだことなかったんだけど。
『ソラニン』も読まなあかんかなあ、という気がしてきた、これ読んだあと。
本作は、トシは四十前かな、漫画家が主人公、名前はペンネームなのかな、深澤薫。
長年の連載作品が、単行本にして15巻を出して、終了したところ。
わりとヒット作もあり、次回作までしばらく休んでても経済的にはだいじょうぶな身分。
結婚して十年くらいになる奥さんは、仕事で知りあったらしい昔も今も編集者で、ちなみに「町田」って呼ばれる。
奥さんは主人公のマンガの理解者だと思われるんだが、最近は売れっ子の女性漫画家の担当でものすごく忙しい。
で、次に描くこと見当たらなくて、まわりの売れてるマンガはくだらねえとしか思えなくて、主人公がいろいろ逡巡する。
そのうち夫婦仲はうまくいかなくなるし、元アシスタントの女性はつっかかってくるしで、かなり精神衛生上よろしくない状況がつづく。
それよりも深刻なのは、主人公のなかに「漫画業界なんて終わってる」みたいな思いがあるとこで。
ましてや、ネット上での短絡的な評判が飛びかってんのなんか見ちゃうと、いまの世で売れるって何なんだろみたいに考え込まざるをえなくなるようで。
それにしても、ストーリーはともかく、現在の街というか場面の描写がうまいね。
丸谷才一の言で、小説は風俗を重視すべしみたいなのがあったんだけど、このマンガを後年読んだとしても、いまの時代の街の様子とか、携帯端末でのSNSとか、細かくてリアルな文化がみえるんぢゃないかという気がする。
めずらしく最近のマンガを読んだ。
諸星大二郎の『BOX』3巻を買ったときに、近くに並んでて、なんか気になったんで手にとってみた。
いままで『虹ヶ原ホログラフ』ひとつしか読んだことなかったんだけど。
『ソラニン』も読まなあかんかなあ、という気がしてきた、これ読んだあと。
本作は、トシは四十前かな、漫画家が主人公、名前はペンネームなのかな、深澤薫。
長年の連載作品が、単行本にして15巻を出して、終了したところ。
わりとヒット作もあり、次回作までしばらく休んでても経済的にはだいじょうぶな身分。
結婚して十年くらいになる奥さんは、仕事で知りあったらしい昔も今も編集者で、ちなみに「町田」って呼ばれる。
奥さんは主人公のマンガの理解者だと思われるんだが、最近は売れっ子の女性漫画家の担当でものすごく忙しい。
で、次に描くこと見当たらなくて、まわりの売れてるマンガはくだらねえとしか思えなくて、主人公がいろいろ逡巡する。
そのうち夫婦仲はうまくいかなくなるし、元アシスタントの女性はつっかかってくるしで、かなり精神衛生上よろしくない状況がつづく。
それよりも深刻なのは、主人公のなかに「漫画業界なんて終わってる」みたいな思いがあるとこで。
ましてや、ネット上での短絡的な評判が飛びかってんのなんか見ちゃうと、いまの世で売れるって何なんだろみたいに考え込まざるをえなくなるようで。
それにしても、ストーリーはともかく、現在の街というか場面の描写がうまいね。
丸谷才一の言で、小説は風俗を重視すべしみたいなのがあったんだけど、このマンガを後年読んだとしても、いまの時代の街の様子とか、携帯端末でのSNSとか、細かくてリアルな文化がみえるんぢゃないかという気がする。