中国の将来性とメディカルツーリズム

2010-06-21 08:12:46 | Weblog
中国の将来性とメディカルツーリズム

皆様のご清栄をお慶び致します。
さて、中国の経済・社会の近未来像については、多くの人たちが語っていますが、とりわけ伊藤忠商事の取締役相談役・丹羽宇一郎氏の「2015年中国バブルに日本の勝機あり」(文藝春秋7月号)という論説記事が印象的です。
それによれば、重厚長大・公共投資・輸出主導型の今の10%前後の高度経済成長は、国の規模や国際関係などの諸事情から見てあと未だ5年前後は続きそうだが、次第に国内で厚みを増していく富裕層や中間層における消費傾向が「量よりも品質重視」へと転換していくため、その後は5%前後の落ち着いた中位安定の成長率へと軟着陸しそうだ。
しかし、その時、中国の経済規模は既に日本の約2倍であり、わが国にとっては、巨大な市場が直ぐ隣国に出来ると言う大きな恩恵がありそうだ。
しかも、その2倍の巨大な市場では、低価格や量の追求を重視した輸出主導の新興国型経済から、消費者の個性や好みのニーズに適し、高品質を売り物にした多種多様なサービスや製品が強く求められる内需型成熟経済へと移行している為、多くの企業が消費者の意向を尊重する徹底してきめ細やかな商品作戦を展開しなければ生き残れないであろう。
しかも、サービス消費が増え、レジャーや娯楽、教育、医療など新しいサービス産業が成長する巨大な内需型マーケットが出現することになろう。
しかし、この時、中国のそれまでの重厚長大型の企業は余りに大きくなりすぎていて、劇的な産業構造の転換になかなか追いつけない苦しみを味わうことになりそうだが、そのような産業構造の転換を既に過去に於いて先行して経験し適応してきたわが国企業が優位に立つ可能性がある。
「同業他社としのぎを削る競争力。消費者の嗜好を迅速かつ正確に把握し、様々な商品やサービスを開発・生産する力。そして、市場の変化に直ぐに対応できる迅速な経営判断と意思決定。日本企業が長く激しい競争の結果身につけてきたそれらの力は、中国の新しい市場にあっては、大きな武器になっていくことだろう。」(本文記事より直接転載)「だから、2015年、中国が中位安定経済成長期に入った時、日本経済の活力が見えてくる。その時は5年後に迫っている。だから、今すぐにでも中国の消費市場にもっと積極的に出て行くべきだ。・・・・(中略)・・・その時肝心なのは、一にもニにも新技術・新産業だ。他の国や企業が真似できない最先端の新技術や新産業をビジネスの核に据えておく必要がある。」
以上からも窺えるように、日本の医療サービスも、中国や東南アジアへの外向きの進出を急ぐのみならず、巨大な消費市場に育ったアジアの顧客を日本に招致する知恵と努力を更に行わなければならないし、「世界広し」といえども、政情や社会情勢がひときわ安定しているわが国には、メディカルツーリズム分野を含めて命や健康を大切にする産業分野に於いて大きな勝機があるでしょう。

平成22年6月21日
東京通訳アカデミー・学院長・岡村寛三郎
〒101-0052東京都千代田区神田小川町2丁目6番12号 東観小川町ビル8階
Eメール:okamura3@oksemi.co.jp
http://medical-interpreters.jp/