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海の生き物達

私、かまぢが海で出会った生き物達を画像と共に思う事を書いていきます

オキヒイラギ

2009-10-17 20:55:36 | 少数派系
和名 オキヒイラギ
学名 Leiognathus rivulatus
ダイバーにはあまり馴染みの無いヒイラギ科の一種。
河口域や汽水域などの塩分濃度の低めで
泥っぽい底質の環境を好み普段は群れているらしい。
沼津の獅子浜はこの環境に近いので観察する事ができる。

日中は泥地の水底から数m上を群れで行動しているが
逃げ足も速く姿を見る事はほとんどない。
しかし夜になると群れはバラバラになり
1匹ずつ泥地の上に落ちている。

真横から強いストロボ光を当てると
ハレーションを起こしてしまうので
撮影の時は当てるライトの位置を調整しなければならない。
デジカメは画像を確認できるので銀塩の時に比べたら
格段に撮影は楽になっている。

ヒイラギ類は発光細菌を共生させているらしいが
真っ暗の中でも目視で確認できた事はない。
ストロボの当り方で発光しているようにも見える事はあるが
発光細菌とは関係ないでしょう。

口は泥の中から餌を啄むようにできていて
マトウダイの口並みにビヨ~ンと伸びる。
摂餌中のシーンをぜひ見てみたいです。
群れで摂餌してたら泥煙モウモウで何も見えないかも?

葉っぱの「柊」からきているように
鰭の刺がまさに「柊」と同じでチクチク刺さる。
連れた時には気をつけないと手が血だらけになる事も・・・
さらにヌメリも凄まじいので結構やっかいな外道でもある。


ワニゴチ

2009-08-19 23:32:40 | 少数派系
和名 ワニゴチ
学名 Inegocia guttata

狙って見られる魚ではないが決して珍しい魚ではないと思われる。
伊豆半島周辺ではマゴチ、イネゴチに次いで見られる率が高い。
顔が面長でその名の通り「ワニ」を連想させる顔つき。
しかし見た目のイメージとは違い非常に大人しい。
間違っても人の手を噛む様な事は無いでしょう。

英語圏でもクロコダイル・フィッシュと呼ばれるが
ワニゴチではなくエンマゴチを指しているのでは?
なぜならワニゴチが温帯種でエンマゴチは熱帯種。
見た目は微妙に似ているがエンマの方が毒々しい。

またエンマゴチという名よりワニゴチの方がインパクトがあるし覚えやすい、
更にクロコダイルフィッシュの名のせいで
エンマゴチをワニゴチと呼ぶガイドも多い。
恥ずかしながら駆け出しの頃の自分もエンマをワニと呼んでいた。

そして学名・・・
なぜInegochiなのだろう?
そしてイネゴチの学名はCociella crocodila
和名、学名、英名がゴチャゴチャです。


キンメモドキ

2009-06-09 21:30:49 | 少数派系
キンメモドキのキンメは食卓に上るキンメダイの事。
そのキンメダイに似ているという事でキンメモドキと言う名前に。
しかし基本体型が似ているかな?程度で
サイズも全く違うし体色も赤っぽい透明で
真っ赤な本家キンメダイとは似ても似つかない。
なぜ体の形だけでこのような名前にしてしまったのだろう?

分類的にはハタンポ科であるが地味なハタンポに対して
可愛らしさがあり珊瑚礁などで群れている事から
テンジクダイの仲間と勘違いされやすい。

山渓の「日本の海水魚」の解説によると
発光線があるという事だか実際に発光しているのは見られるのだろうか?
また夜行性という事であるがダイビング中にも普通に観察される。
岩の隙間や影を好むらしいが
08~09年に大瀬崎の湾内にいた群れ(数箇所で複数の群れが観察)は
ゴロタの上の思い切り太陽の陽が差し込むところにいた。
少しでも暖かさを感じたかったのだろか?

東伊豆では毎年恒例のように群れていたようだが
大瀬崎でまともに観察したのは08年度が初めてだった(個人的に)


ボラ

2009-05-16 00:26:57 | 少数派系
和名 ボラ 
学名 Mugil cephalus cephalus

ダイバーでなくても鯉並みに名前を知られている超普通種。
北海道から沖縄どころではなくアフリカ沿岸を除く
温帯及び熱帯域の広範囲に生息するらしい。

この魚のイメージは一般的には決して良いものではなく
「ボラ?あの汚いとこにいる魚でしょ」
「大きいけど地味で面白くない」
「大きくて目が気持ち悪い」等など言われてしまう。
確かに自分も子供の頃にドブ川で群れて泳ぐ姿をみて
この魚は嫌だな~となりました。

釣りにはまっていた頃もボラを狙う事はほとんどなく
唯一、当時ポピュラーだった引っ掛け釣りをやったくらい。
でもただ引っ掛けてごぼう抜きにするだけなので
面白みが無くすぐに飽きちゃいました。
食べる気にならないような場所だったので取ったボラは捨ててました。
今思うと酷い事やったもんです。

ボラは食用魚としては決して不味い魚ではなく
卵巣は日本3大珍味の1つ「カラスミ」
ボラは市場に流せないくらいの値段なのに卵巣だけだと高級食材。
この差はなんなんでしょうか?

今は不人気なボラではあるが昔から庶民の生活とは密着していたようで
幼魚期から老成魚になるまでに名前を変える出世魚である。
すばしり→イナ→ボラ→トド
「とどのつまり」という言葉があるがボラが成長して最終的にトドになる。
要するにトドになって終わり→行き着いたところ、終着点。
との語源になっているとされる。

何気に奥が深いボラなんです。

伊豆付近では初夏に産卵の為に大きな群れを作る。
その群れは半端じゃなくこの時ばかりはボラもスターになる。
そして何故かこの群れを「ボラクーダ」と呼ぶ。
バラクーダの群れよりはるかに凄いんですけどねえ。

アカエソ

2009-01-10 00:22:28 | 少数派系
和名 アカエソ
学名 Synodus ulae

本州沿岸からハワイ、インド洋にまで広域に分布する。
その割には太平洋の珊瑚礁域では見られないらしい。
熱帯域になるとミナミアカエソという名前そのまんまな
エソの仲間が分布している。

普段は砂に半分埋まった感じでジッとしており
色彩も見事なまでに地味。
そんな状態なのでダイバーに注目を浴びる事も無い。
しかし各種フォトコンなどでは
この種がモデルとして登場している事が多い。

口が大きく歯がギザギザでそれだけを見ると
立派なプレデターであろう事が想像されるように
捕食シーンを目の当たりにすることが多い。
スズメダイやカワハギ、中層に群れるアジやイワシ
時にはキタマクラにさえも襲いかかる暴君である。

とにかくがっついているイメージがあり
水深10mくらいの深さから水面近くに群れる
イワシなどの小魚に襲い掛かることも珍しく無い。
そんなシーンはやはり画になるという事で
不人気な割にはフォトコン常連モデルなのでした。



タカノハダイ

2008-11-20 00:41:11 | 少数派系
和名 タカノハダイ
学名 Goniistius zonatus

不味い魚=タカノハダイと認知されるくらい各図鑑に書かれまくっている
本州以南で普通に見られる超普通種。
普通種ゆえに不味い、不味いと言われてしまうのかもしれない。
自分も東伊豆の居酒屋さんで「試してみて」と出された物を食べましたが
その不味さはどれくらいかと言うととにかく肉の臭さが独特でした。
この時の料理は泥臭さをなるべく消す為に味噌煮にして
更に香り付けの香草などを使っていました。

でもあの珍味と言われるホヤを「美味しい!!」と絶賛する方もいるので
もしかするとタカノハダイを「美味しい」と言ってくれる人も
それなりにいるのではないでしょうか?
実際一緒にその料理を食べた人は「美味しいと思うけど」と言ってました。

この魚の臭いは食性が「ドロクイ」と地方名が付くように
砂や泥の中の物を食べているせいかとも思われますが
食卓に上る魚の中には似たような食性の物もいるはずで
やはり元々生まれ持った臭さなのかもしれません。
もしかしたら他の魚からも捕食対象とされない為の防衛策だったりして。

初心者ダイバーからはこの縞模様と適度な大きさ、逃げ回らない度胸の良さで
「あの魚はなんですか?」と聞かれる事が多い。
もちろん名前と共に「不味いんだって」と付け加えられるのは間違いし。
結局は不味い魚という肩書きからは逃げられない・・・

成魚は超普通種だがその数に対して幼魚の姿は非常に珍しい。
幼魚期はまだこの独特な三角形の体型ではなく
普通の魚っぽい感じで色も銀色が強くなる。
姿があればガイドネタとして通用するくらいの珍しさである。

なおタカノハダイを通っぽく「タカッパ」と呼ぶダイバーも多い。

イッテンアカタチ

2008-11-08 00:48:58 | 少数派系
和名 イッテンアカタチ
学名 Acanthocepola limbata

泥地に巣穴を作って住むのアカタチ科の一種。
形がなんとなく太刀魚に(タチウオ)に似ていて
体色が赤いのでひねりも何もなくそのまんまの名前がついた。
更にイッテンアカタチは背鰭に黒い斑があるので頭に一点がつく。
ザ・アカタチにも同じよう場場所に黒斑があるのだが
水揚げされ死んでしまうと無くなってしまうらしい。
死んだ標本を元に論文記載がされているのでこのような事になるのです。

ちなみに外国では生時の体色を元に名前をつける事が多い。
ただし外国名は標準和名と違い学者が勝手に呼んでしまうだけで
かな~りいい加減です。

10年以上前は「アカタチの仲間が見れる」という事で
一気にダイビングスポットとして三保が有名になりました。
今まではあのような泥地を潜る事はなかったので
ダイバーによる記録が少なかったのでしょう。
三保で観察されるようになってからはあちこちでその姿が確認されるようになり
今ではセブやインドネシアといった熱帯のリゾート地でも
常ネタになってるようです。
でも未だに三保ほど同時に数種のアカタチ類が見られるポイントはないようです。

ザ・アカタチよりイッテンアカタチの方がダイビングエリアでは多いようで
大瀬崎の湾内や獅子浜で出るのはこちら。
自分が他で見てないだけって話もあるんですけどね。

泥地の穴の中に潜んでいるので夜行性っぽく思われますが
立派な昼行性のようでナイトダイビングで目に付いた事はありません。
タチウオが夜行性なのでタチウオと付くこの種も
夜行性って勝手に思い込んじゃってるんでしょう。

臆病だけどサイズはでかく(長く)泥地の透明度が悪いところにいるので
距離を取ると砂や泥でハレーションを起こしたりくっきり映らない。
逆に人馴れしすぎると巣穴から泳ぎだし中層を泳ぎ回るし
微妙に撮影は難儀なやつです。
今回の画像の個体は比較的人馴れしてるのですが全身を撮るのは今後の宿題です。



ヨメヒメジ

2008-03-24 21:59:13 | 少数派系
和名 ヨメヒメジ
学名 Upeneus tragula

口元にある一対の髭がトレードマークのヒメジの仲間。
ヒメジの仲間は熱帯から温帯まで幅広く分布している種が多いが
このヨメヒメジもその中の一種。
日本の海で潜り始めた時はてっきり死滅回遊魚かと思い込んでいたが
水温の低下にもしっかり対応できる非常に強い魚であった。
しかし低水温期は動きも鈍くなりじっとしている事も多い。

ヒメジの仲間の特徴の一対の髭はせわしなくチョコチョコ動かし
砂の中にある餌を感じ取り捕食する。
その動作がユーモラスで初心者ダイバーからは注目の的。
体験ダイビングでも使える有難いネタである。
名前は熱帯種の「オジサン」の方がインパクトがある。
なお注目を浴びるのは初心者&体験ダイバーからのみで
ちょっと潜った人からは見向きもされなくなる
最近の一発芸人のような存在である。

漢字で書くと「姫魚」となるらしいが髭があるのに姫とはこれいかに?
特に派手なワケでもなくきれいなワケでもなく
姫というイメージではないんですけどね。
THEヒメジが死んだ時に赤みを帯びる事から姫になったのかも・・・

パラオに居た時には市場にもあり何度も食べたのだが
あまり美味しいと言う感じではなかった。
釣りの対象魚にもならないようだしお店でもあまりみない。
地方へ行けば食卓に上るのだろうか?
クロホシイシモチも食用とされている地方があるので
一般流通されてないだけかもしれません。
実はめちゃくちゃ美味しい高級魚だったりして・・・

ウイゴンベ

2008-03-13 21:24:57 | 少数派系
和名 ウイゴンベ
学名 Cyprinocirrhites polyacis

背鰭の棘からボサボサと伸びた皮弁からゴンベと名が付けられた科の魚。
同じゴンベ科のクダゴンベはダイバーにも
アクアリストにも人気であるが
ウイゴンベはゴンベ科の中でも地味で人気薄になってしまう。
しかし分布域は伊豆半島からパラオ(ミクロネシアではパラオのみ?)の
西部太平洋の熱帯域、インド洋からマダガスカルまでとかなり広範囲。
水温14度でも全く問題なく活動ができるのでかなり強い種である。

他のゴンベが底生なのに対しウイゴンベは遊泳性であるが
浮袋は持たないので常に泳いでいないと沈んでしまう。
着底している時は他のゴンベと同じように
発達した胸鰭付け根の筋肉を有効に使いアシカ立ちをしている。

生息地にパラオが含まれるが現地生活中にウイゴンベを認識した事は無く
休暇中に潜りに行った大島で初めて見て「これがウイゴンベか~」と
しみじみと喜んだ経験がありです。
当時ウイゴンベ=伊豆の魚と思っていたので仕方ないですね。

尾鰭が二叉して両端は糸状に伸びる。
この尾鰭がツバメの尾に似ているので
英語名は「スワローテール・ホークフィッシュ」
ホークフィッシュはゴンベの事ですが
直訳すると「ツバメの尾の鷹魚」・・・
ツバメなのか鷹なのかはっきりしろ!!と突っ込み受けそうですね。



セミホウボウ

2008-02-05 00:20:28 | 少数派系
和名 セミホウボウ
学名 Dactyloptena orientalis

インド洋~西武太平洋~南日本と広範囲に分布する
胸鰭が特徴的な魚。
ホウボウと名が付くがホウボウの仲間ではなく独立した科。
カサゴ目という事になっているが発生時の形態が
アマダイだったかサンゴアマダイだったかの仲間に近く
分類学的に位置づけが変るとか変らないとか・・・
2~3年前の学会で発表されたらしい。
又聞きなのでよく覚えてません。
なら書くなという話なんですけどね。

胸鰭がパッと開いて派手だしホウボウに近く見えるが
よ~く見ると他の部分は全く似ていない。
特徴的なのは背鰭の遊離棘で
鬼太郎の妖怪アンテナのようにピーンと伸びている。
学名のDactyloptenaもここからきているようです。

ガイドをしていたパラオでもいるのはいるが
7年間の生活の中で見たのは1回だけ。
マラカルセントラルホテルのビーチでダイブマスターの講習中。
しかもフリッパーの970mをやっている時でした。
図鑑などで姿を見ていつか見たいと思っていた魚。
しかしタイムアタック中だったので泣きながら通り過ぎてしまいました。

その後日本に帰国して大瀬崎に通い始め再び出会いが訪れました。
「セミホウボウゲットー!!」と大喜びをしていたのだが
周囲の目は結構冷静。
どうやら特別珍しい魚ではなかったらしいです。
でも幼魚はその可愛らしさで人気者。
いたら絶対にスルーはできませんね。