長屋紳士録

2006-11-06 23:44:40 | コメディ
小津安二郎監督、1947年の作品。1946年にシンガポールから帰還した監督が、帰国早々に撮り上げたという。

戦後でこういったコメディが撮れるなんて、
芸術家の魂というのはすごい。
すみからすみまで、文句なしに面白いもの。。

親に捨てられた子供を拾ってきた長屋の住人、田代。
まるで子猫でも拾ってきたかのように、
「あんた子供いらんかね」と聞いてまわるが、長屋連中もいい迷惑。
結局おしつけられたのは、後家さんのおタネ。
子供は嫌いだと、露骨に子供へ嫌な顔を見せていたが、
だんだん情にかられ、自分の子供として育てようかと思うまでになる。。

最後、結局、子の父親が現われ
子供は捨てられたのではなく、
親とはぐれてしまっただけということがわかる。
あっさり子供を「よかったね」と父親に返すタネだが、
子供がいなくなると鬼の目にも涙。。
悲しいのではなく、あんないい父親がいて良かったと、
嬉しくて思わず涙が出たそうだ。

ここがクライマックスで、大いに感動させられたが、
そのあとがちょい詰め込みすぎ。
「最近の子供はあくせくしすぎてるといっていたけど、
 大人も変わってきているよ。あたしゃつくづく反省させられたよ」
と、タネが長ぜりふで蕩々と語るのだが、
もうちょいスマートでもよかったのでは。
しかしながら、戦後のフラストレーションが
ここに集約されているのかと勘ぐると、なかなか興味深くもある。

ラストの西郷さん銅像のまわりにたむろう、
多くの浮浪児(戦災孤児か?)たちの姿にも監督のメッセージを感じる。

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のぞきカラクリの唄 映画「長屋紳士録」より 歌:笠 智衆


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