ヴァディム・パールマン監督・脚本、2003年の作品。所得税の納付滞納で家を差し押さえられた女性と、その家を競売で買ったイラン人家族の間で起きた悲劇を描く。
はじめの90分間、あまり登場人物たちに共感できず、
まあまあのレベルの作品かな、と心配していた。
ジェニファー・コネリー演じる家を追い出されたキャシーは、
子供を産みたいと言ったら夫に反対され、
それが原因で離婚し、ちょうどまだ傷癒えぬ頃。 . . . 本文を読む
「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス監督、2005年の作品。アフリカを舞台に、医療会社の現地住民を使った人体実験と、賄賂をもらいそれを隠蔽するイギリス官僚の悪事に迫っていく社会派サスペンス。
「シティ・オブ・ゴッド」の監督ということで、
アフリカにおける医療・福祉や、
食糧難などの現状がしっかり描かれているのかなと
期待しながらみていたのですが、
この作品では、英国外務省一等書記官 . . . 本文を読む
トミー・リー・ジョーンズが主演と初監督をつとめる2005年の作品。カンヌ映画祭では男優賞、脚本賞を獲得した。
すばり「男」な作品です。
それが匂い立つというより、男かくあるべきという
ぶっとい柱がもうど真ん中にズドンと据えられている感じ。
トミー・リー・ジョーンズ演じる初老のカウボーイ、ピート。
男ですね、彼は。
その彼のメキシコから不法入国してきた友人
メルキアデス・エストラーダが
国境警備 . . . 本文を読む
同名のベストセラーの映画化。監督は「ビューティフル・マインド」「シンデレラマン」のロン・ハワード。
えーっと、何からコメントすべきか。。
ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」に隠された謎、
キリスト教の歴史におけるダークな部分、
つまり「マクダレンのマリア」の話が謎の軸なのですが、
うーん、なんとなくゴシップぽい感じで
テレビのUFOネタと同じような安っぽさもあって、
イマイチ乗り切れなかった。
謎と . . . 本文を読む
「ピアノ・レッスン」のジェーン・カンピオン監督、2003年の作品。ある連続殺人事件に巻き込まれた女性の、不安な心のひだを丁寧に描く作品。
この作品、ジェーン・カンピオンということで
見よう見ようと思っていたのですが、
なんだろう、きっとシャーリーズ・セロンの「モンスター」を見て
なんとなく見た気になっていたみたい。。。
さて、こちらの作品。さすが人物描写が丁寧ですね。
奇しくも「モンスター」の . . . 本文を読む
小津安二郎監督、初期となる1930年のサイレント映画。アメリカ人作家オスカー・シスゴールの短編『9時から9時まで』を原作に、病気で苦しむ娘の治療費をために強盗を犯してしまった、貧乏暮らしの父親の顛末を描くヒューマン・サスペンス。
描かれるのは、24時間、まさに“9時から9時”まで。
岡田時彦演じる父親が強盗をして、
なんとか逃げ切り妻と娘が待つアパートに帰りきるが、
一人の刑事に跡をつけられてし . . . 本文を読む
小津安二郎監督、1931年の作品。立派な黒々とした髭をたくわえ、剣道も強い青年・岡島喜一の人情味ゆたかな恋のサクセスストーリー。
いやー、最近、小津先生の作品さえあれば、
この先、もし映画という存在がなくなっても、
人生たのしくやってけんじゃないの、なんて思っております。
I drink upon occasion, sometimes upon no occasion.
なんつって。
この . . . 本文を読む
68年の傑作コメディを2001年にブロードウェイでミュージカル化し、トニー賞史上最多の12部門を獲得した話題の舞台を、今度は再び映画版としてリメイクした2005年のミュージカル・コメディ。
こういうミュージカルはお馬鹿で楽しい。
ミロス・フォアマン 監督の「ヘアー」ほどの
エクスプロージョンはないけれど、
方向性としては、あれを10分の1くらいに
薄めたようなテイストは持っているようにも思う。。 . . . 本文を読む
津川雅彦が“マキノ雅彦”名義にて、2006年に撮った監督デビューとなる作品。中島らもの同名短編をもとにしている。
通夜の晩というと、
線香もしくはロウソクを絶やさないよう、
遺体の横でみんなで「寝ずの番」をする。
僕もばあちゃんが亡くなった時、
いとこ連中とこいつをやりましたが、
酒をチビチビやりながら、まったりといい雰囲気になって、
なかなか良い想い出となっております。
さて、この映画でなく . . . 本文を読む
小津安二郎監督、1933年のサイレント作品。ギャングの襄二とそのスケ時子の顛末記。
主人公のボクサーくずれの用心棒・襄二(岡譲二)が、
ちょいと濃い顔立ちの二枚目で、
作品全体に漂うアメリカンギャングもののような
空気とよくマッチしている。
襄二は子分たちから「兄貴」と慕われ、
情婦の時子(田中絹代)も彼にメロメロだ。
ところが、彼にあこがれ
新たに子分にしてくれといってきた宏の登場で
均衡 . . . 本文を読む
鳴海章の『輓馬』を原作に、「透光の樹」の根岸吉太郎監督、2005年の作品。北海道帯広の“ばんえい競馬”の厩舎を舞台に、傷つき癒され巣立っていく人間たちの姿を描く。
うん、これは秀作。
セリフじゃなく、シチュエーション、役者の表情で、
彼らが何をいま思い、何を言いたいのか鮮明に伝わってくる。
だから、泣ける。
伊勢谷友介演じる主人公の矢崎学は、
母親や兄に金を出してもらい、東京で会社を作って成 . . . 本文を読む
堤幸彦監督、2005年の作品。“若年性アルツハイマー”を題材としており、主演を渡辺謙、その妻役を樋口可南子がつとめる。
実は見るのを少し躊躇していた1本。
内容はもう、予告などで十分知っていたので、
ちょっとその病気の深刻さを自分が受けとめられるかが不安だった。
広告代理店でバリバリ働く49歳の佐伯雅行。
よき伴侶に恵まれ、娘ももうすぐ結婚。充実している人生だった。
しかし、その彼が、最近妙 . . . 本文を読む
「パコダテ人」の前田哲監督、2006年の作品。とある銀行で強盗未遂が起こったときに居合わせた、それぞれ変わった特技をもつ4人。彼らが「自分ならもっとスマートに銀行強盗をするのに!」と意気投合し、夢ある強盗をしでかすというお話。
俳優陣も豪華で、頑張りは感じられるのですが、
いかんせん予算が少ないのか、
冒頭のカーチェイスのCGがあまりにもちゃちくて、
結局、最終的に感情移入できないまま終わってし . . . 本文を読む
2005年、TVのコメディ番組などで実績のあるジャド・アパトーの劇場監督デビュー作。
実直に生きてきた40歳の童貞男アンディは、
ある日、ひたすら隠してきたその事実を同僚に知られてしまう。
日頃、アンディを「こいつ、なんかおかしい」と感じ、
もしやゲイか、シリアルキラーか? なんて思っていた彼らは
「なーんだ」と大笑い。しかしその翌日から、
同僚がなんとかアンディを「男に」しようと、
いらぬお . . . 本文を読む
アキ・カウリスマキ監督、1998年のサイレントムービー。
これは今までの彼の作品のなかで、一番の悲劇作品ではないでしょうか。
フィンランドの片田舎で仲むつまじく暮らすユハとマルヤ。
ユハは小さなころから身よりのないマルヤを育て、
いつしか心通い合い、結婚の運びになった。
彼らは年の差のある夫婦である。
そんな夫婦の生活に変化が生まれた。
あるとき都会に住む男シュメイッカがこの町にやってきて、 . . . 本文を読む