「トウキョウソナタ」の黒沢清監督、2015年の作品。湯本香樹実の同名小説を映画化。
3年前に失踪した夫・優介、
彼は死者となり、妻・瑞希の元へ帰ってきた。
聞くところによると歩いて帰ってきたのだという。
手に触れることもでき、食事もする優介はほとんど生者と変わりがない。
そんな彼と彼が死んでから旅した場所を二人して旅して回る。
「トウキョウソナタ」の感動再びといった感じである。
しっとりと落 . . . 本文を読む
本作が長編映画デビューの真壁幸紀監督、2015年の作品。「ほぼ日刊イトイ新聞」で連載されていた白川密成師のエッセイを映画化した。
僕は原作を読んでいないから
わからないんだけど、
いろいろつぎはぎして、もしくは継ぎ足したりして、
綺麗なストーリーを作ろうとしたのかなと推測する。
そして予算も少なく、あまり時間をかけて作れなかったのかなとかも。
ちらほらと出る核となるテーマは良い。
(それは仏 . . . 本文を読む
「INTOUCHABLES」(最強のふたり)のオリヴィエ・ナカシュ&エリック・トレダノ監督、2014年の作品。フランスの移民問題をテーマに組み込んだハートウォームコメディドラマ。
僕自身も移民であるし、
パリ郊外の93県セーヌ・サンデニに住んでいた時は、
滞在許可証の更新のために本作のワンシーンとしてあったように
世界のあちこちから来ている移民達とともに、
冬の朝5時から県庁に並んだこともある . . . 本文を読む
「焼け石に水」のフランソワ・オゾン監督、2014年の作品。7歳からの親友ローラを亡くしたクレールと、女装癖に目覚めたローラの夫ダヴィッド(ヴァージニア)との奇妙な友情を描く。
主役の二人の俳優がとてもよかった。
クレールにはアナイス・ドゥムースティエ、
そしてダヴィッドにはロマン・デュリス。
ともに可憐で可愛らしく、
役に深く入って奇異なお話に現実感を与えていたと思う。
そしてフレームの切 . . . 本文を読む
「マイ・マザー(J’ai tué ma mère)」のケベックの若手監督・グザヴィエ・ドラン監督、2014年の作品。夫に先立たれADHD(注意欠如・多動性障害)の息子ともがきながら生きる母親のお話。
今年のカンヌでも話題になり、かつ評判がよいということで、
最近、軽めの映画しかみてなかったら、見てみることに。
彼のデビュー作は最近、飛行機で見て好感を持っていた。
そして . . . 本文を読む
「誰も知らない」の是枝裕和監督、2013年の作品。子供を取り違えられ、血のつながらない子を6年間育てた2組の夫婦の物語。
子供が生まれたばかりなので、身につまされる思いでみた。
自分の理想ばかり掲げてそばにいる妻子の姿をちゃんと見えていないエリートの父親役の福山雅治は最後までトコトン無様で、
一方で、貧乏で馬鹿だけど、子供や周りの人々を大きな愛で包み込む大きな心を持った父親役リリー・フラン . . . 本文を読む
「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」のサラ・ポーリー監督、2011年の作品。愛すべき夫がいながら出逢ったばかりの若い男性を選んでしまうことになる、女性の赤裸々な人生への渇望を描くヒューマンドラマ。
「アウェイ・フロム・ハー」のテーマも衝撃的だった。
今回はそれよりはもっと現実に起こりえるテーマで
それほど驚くべき内容ではないのかもしれないけれど、
前作同様、彼女は映画に、、というか、人生にま . . . 本文を読む
「ブルーバレンタイン」のデレク・シアンフランス監督、2012年の作品。ライアン・ゴズリングを再びメインキャストに迎えておくる、命を引き継ぐヒューマンドラマ。
かつての恋人ロミーナと再会し、実は自分に息子がいたことを知ることになった
放浪の曲芸ライダー、ルーク。
ロミーナにはすでに新しいパートナーがいて、
ルークとよりを戻すつもりはない、
しかし、やはり息子ジェイソンの父はルークであり、
実の父 . . . 本文を読む
「川の底からこんにちは」の石井裕也監督、2013年の作品。三浦しをんの同名小説を映画化したもの。
大学院で言語学を勉強し出版社に入社し営業部に配属されたものの、
コミュニケーション能力がなく変人扱いされていた主人公・馬締光也に松田龍平、
その恋人となる主人公の下宿大家の孫にして板前修行中の林香具矢には宮崎あおいが起用されている。
ストーリーは、
とある出版社の忘れられたかのような部署である . . . 本文を読む
「グッド・ウィル・ハンティング」のガス・ヴァン・サント監督、2012年の作品。主演にマット・デイモンを迎え、大企業の天然ガス採掘の土地賃貸契約を結ぶため貧乏なペンシルヴァニアの田舎町にやってきた敏腕営業マンの苦悩を描く。
ガス・ヴァン・サントというと、
僕の中では、
「エレファント」「ラストデイズ」「パラノイドパーク」といった一連の作品の印象からか、
ちょっと暗いイメージが影を落とす作品を撮 . . . 本文を読む
「ゆれる」の西川美和監督、2012年の作品。原案、脚本も西川監督が担当。火事で自身の経営する小料理屋を消失した夫婦が、資金集めのために結婚詐欺を繰り返すようになった、その顛末。
「ゆれる」もずいぶん話題になりましたが、もう6年前の2006年の作品なんですね。
詳しい内容など忘れてしまいましたが、
なんとなく、本作もそれに連なる作品なのだと思います。
すなわち、人の心のエグイ深層部分を見せつ . . . 本文を読む
「男はつらいよ」「学校」の山田洋次監督、2012年の作品。小津安二郎監督の「東京物語」を下敷きにした、現代版「東京物語」。
小津作品をここまで真面目に模倣した作品を、
こうやって実際にいま、豪華キャストでクオリティ高く制作できてしまっていることに感動します。
のれん奥から奥さんがでてきて
「あら、いらっしゃい」とかいう感じとか、
「それじゃ、あなたに悪いわよ」といったセリフをハキハキ言う . . . 本文を読む
「北京ヴァイオリン 」の脚本家、シュエ・シャオルー監督、2010年の作品。ジェット・リー主演でおくる、自閉症の息子と二人で暮らす親子の物語。
何を目当てにこの作品を借りたのか思い出せないけれど、
おそらく、
なんとなく中国の作品を観てみてみたい気分だったのだろう。
そして「北京ヴァイオリン 」の脚本家が、脚本と監督を担当しているというのにも魅かれたに違いない。
末期肝臓ガンを抱えた父ワン。
. . . 本文を読む
「マデイヌサ」を撮ったペルーのクラウディア・リョサ監督、2008年の作品。80年代、ペルーにおけるテロの混乱期に生まれたファウスタの物語。
かつて夫を殺されレイプされた母、
その悲しみのミルクでもって育てられたファウスタは、
いつもレイプされる恐怖に悩ませられながら生きてきた。
そしてその母が死に、貧しい彼女はその葬式代を稼ぐため、
ある裕福なピアニストの家の家政婦をすることになる。。。
幻 . . . 本文を読む
「殯の森」の河瀬直美監督、2008年の作品。舞台を日本からタイに移し、主演に長谷川京子を迎えた意欲作。
この作品は彼女が本当に作りたかったものなのでしょうかね。
河瀬直美監督作品で見ていなかったので見てみたのですが、
なにやら散漫で、地に足がついていない感じで、
これなら奈良で、時代物の御伽草子的ファンタジーでもとったほうが、作品としては良作ができたのではないかと思う。
今までと比べるとぐん . . . 本文を読む