「扉をたたく人(The visitor)」のトム・マッカーシー監督、2011年の作品。とあるきっかけでクライアントだった老人の後見人となり、さらには、突然現れたその孫の面倒を見ることになった、弁護士マイクと、その家族と仲間が織りなすヒューマンドラマ。
低予算の映画ですが、かなり人情味ある一本となっております。
マイクは弁護士だけれど、大きな仕事は舞い込まず、
家族を養う収入を得る事に、もうずい . . . 本文を読む
「気球クラブ、その後」の園子温監督、2005年の作品。監督をつとめた「自殺サークル」の前後の時間軸で起こったアナザーストーリー。
園子温監督の突飛な脚本と演出というのは
もう受け入れているし、
その実験的な作品の作り方には
いつも脱帽させられる。
今回も「そこまでするか、、、」と思わせられる場面と演出がいくつもあり、
それがこの作品を名作と言わしめる
園子温監督のこだわりとなっているような気 . . . 本文を読む
「かぞくのひけつ」の小林聖太郎監督、2011年の作品。西原理恵子の同名マンガエッセイを、小泉今日子、永瀬正敏を主演に迎え映画化。
フリージャーナリストでカメラマンだった
西原理恵子の夫・鴨志田穣が亡くなったのは2007年。
当時インターネットのニュースでその記事を読んだことを覚えている。
西原理恵子の作品はちょこちょこと読んでいるけれど、
わからないものをわからないままにしておけるような、
ゆ . . . 本文を読む
ジョディ・フォスター監督、2011年の作品。メル・ギブソンを主演に迎え、精神病となり、ビーバーのぬいぐるみに自己の新たなキャラクターを宿し、本来の自分は心のカラに閉じこもってしまった父であり夫の姿を描く。
ちょっとしっとりとした作品を見たいと、
今日はこの1本をチョイス。
アメリカでの興行収入成績はイマイチだったそうだけど、
今年のカンヌでは特別招待作品として上映され、
ヨーロッパではまずまずの . . . 本文を読む
「天国の日々」「シン・レッド・ライン」のテレンス・マリック監督、2011年の作品。生命がどこからきて、どこへ行くのか、一つのファミリーの姿をフィーチャリングしながら、この重きテーマに真っ正面から挑んだ意欲作。
しかし、このような内容だとはつゆ知らず、
テレンス・マリック監督作品だということだけで観に行きましたが、
ふーむ、よくこれ、上映にこぎ着けましたねー。
しかも日本で公開が予定されているっ . . . 本文を読む
「男はつらいよ」シリーズ、「学校」シリーズの山田洋次監督、2009年の作品。しっかりした姉と、人に迷惑ばかりかけてしまうダメな弟の、切っても切れない絆を描く。
冒頭、セリフ回しやカメラ位置が、小津安二郎作品風であるのだが、
この現代を舞台にして、少々無理があるのは否めない。
でも、舞台ドラマを観ているような感覚で、
だんだん、だんだんと
律儀で戦後的な吉永小百合のセリフ回しが気持ちよくなっていく . . . 本文を読む
「MON-ZEN」を撮ったドイツの女流監督、ドーリス・デリエ監督、2008年の作品。妻に先立たれた夫が、妻が生前あこがれていた日本を旅し、その影を追い求める。原題は「Kirschblueten - HANAMI」。
1999年のシュールな秀作「MON-ZEN」(英題 ENLIGHTENMENT GUARANTEED)が大好きだったのですが、
ドイツに行ったときにその話をしたところ、
現地の方にド . . . 本文を読む
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」「ショートバス」のジョン・キャメロン・ミッチェル監督、2010年の作品。ピューリッツァー賞を受賞したデヴィッド・リンゼイ=アベアー原作の同名舞台劇を映画化したもので、8ヶ月前に4歳の息子を交通事故で亡くした夫婦の姿を描く。
映画館の予告で2度ほど見たけれど、
主演のキッドマンさんがやっぱ年を取ったのなーって思ってしまったのと、
少し内容が悲しすぎる感じがし . . . 本文を読む
TVドラマシリーズ「ER」のジョン・ウェルズ監督、2010年の作品。リーマンショック後のアメリカ、大手会社の管理職さえもリストラに合う厳しいとき、一人の順風満帆な人生を歩んできた中間管理職の男37歳が解雇される。。。
主演ベン・アフレック、ということで少し気が引けてしまうのではあるが、
共演トミー・リー・ジョーンズ、ということで少し見てみたい気持ちにさせられる。
ちなみに今回、丁度、上映時間が . . . 本文を読む
本作が長編2作目となるデブラ・グラニック監督、2010年の作品。同年のサンダンス映画祭では、ドラマ部門でグランプリ、そして脚本賞を獲得した。
ミズーリ州の貧しい田舎町。
鬱病の母と幼い妹弟と暮らす17歳の主人公リー。
そのもとに保安官がやってきた。
ドラッグの売人をしていた父が、自宅を保釈金の担保にしたまま失踪、自宅は差し押さえになるという。
家族で彼女はしか対処できる人間はいない。
彼女はその . . . 本文を読む
ケンローチ監督、2010年の作品。高給のために雇われ警備兵としてイギリスの会社からイラクに派遣された幼なじみ二人の悲劇を描く。
ふだんからイギリスの巨匠ケン・ローチの作品にはハズレなしと豪語している僕ですが、
正直、今回、英語の理解度が悪くて、
はっきりと名作だと判断できるまでに作品を堪能できなかったを
非常に残念に思います。
もともと彼は労働者階級の人々を題材にしていることが多いから、
こう . . . 本文を読む
溝口健二監督、1955年の作品。
監督が亡くなったのが1956年、「赤線地帯」を撮った後。
本作も晩年の作品となるわけだが、まだ57歳。言ってもまだまだ元気だったのではないのだろうか。
楊貴妃の話自体は諸説あるのでしょうが、
このお話では彼女は、愛する皇帝そして国のために
自らを犠牲にした悲劇のヒロインとして描かれている。
しかし、この頃の作品は、
なぜにこうもゆったりと優雅に撮られているん . . . 本文を読む
「いまを生きる」のピーター・ウィアー監督作、2010年の作品。ポーランド人スラヴォミール ラウイッツの実録小説『脱出記ーシベリアからインドまで歩いた男たち』を映画化したもの。仏題は「Les Chemins de la liberté」(自由への道)。
時は第二次世界大戦、ポーランド兵士のヤヌスはスパイ容疑をかけられ、
しかもソ連兵に脅され言わされた妻の証言により、
ソ連の強制収容所に送られてしま . . . 本文を読む
「ミリオンダラー・ベイビー」のクリント・イーストウッド監督、2010年の作品。死後の世界を題材にした意欲作。
2008年の「グラン・トリノ」が「老い」をテーマにしているのなら、
今度は「死」がテーマということになるのでしょうか。
彼ももう80歳ですからねー。
そりゃ考えつくしているテーマですよね。
今回は、
何も前情報を入れずに見たので、
冒頭の津波にシーンに、
「これはサバイバルもの? で、 . . . 本文を読む
大島渚監督、1976年の作品。昭和の初頭に世間を騒がせた「阿部貞事件」の事の成り行きを描く。
正直なところ、
濃厚な性描写にしろ、
決して健全ではない愛の形にしろ、
がっつりとそれを直視できない自分がいた。
道楽者の吉蔵が、果ては死しても
女たちに身を委ねていく感じとか、
共感されるべき感覚であり、リアルなところであると思う。
ただやはりそれは一線を越えた感覚のような気がする。
僕にはやはり . . . 本文を読む