怪人クンのムフフ日記

ムフフ、ムフフ、時々オヨヨの〝怪人クンワールド〟炸裂!
あの大物も、この人も。愉快な仲間続々登場!

泡夜の国

2006年06月15日 | Weblog
<6月14日(水)>

街に灯りか点るころ、男たちは旅に出る。恋は水もの。そこは儚き泡夜の国。知っても知らずのフリをして、夢を見ようと流れ着く―――。
「怪人クンはどうしてキャバクラが好きなの?何が楽しいの?高いお金を払って、得るものがあるの?結局、何が残るの?」
たまにだが、そんなことを訊かれることがある。それについて、ハッキリ答えたことはない。野暮な質問すんなよ(笑)。そんなこと言われてもなぁ。冷静になって考えたことはなかったから、そうとしか答えようがなかった。遊びに理屈なんかいらない。そう思っていたのだ。今でもその気持ちは変わらない。楽しいから、好きだから行く。飲みたいから飲む。語りたいから語る。それでいいじゃないか?
1つだけ気がついたことがあるとすれば…。怪人クンはキャバクラが好きというより、キャバクラに行くことが好きなんだということ。一見、同じことのように思えるが微妙に違うのだ。その証拠に、というか、開始前と遊泳中と終了後。この中で怪人クンが一番好きな瞬間はどれかというと?不思議なもので、オキニと会っている時間よりもその場所に向かって歩いている時、エレベーターに昇った時、ボーイに促され、席に座り目当ての女性が現れる寸でのところにゾクゾクするのである。例えるなら、休み当日よりその前日。あしたになれば休みなんだ!という、あの感覚に似ている。劇場に入って幕が開くのを待つ瞬間。祭りの前。お楽しみは、これからだ!
幕が開き、彼女の顔を見た瞬間一気にボルテージが上がる。最高潮になる。ところがだ。いざ60分が始まると、心がハイになっていくかというとそうは変化しない。会話も弾んで楽しいことは楽しいのだが、タイマーがオンされたということは、終幕(タイムアップ)に向かっているということになり、頭のどこかをそれかすめるのだろう。時間を気にしたりする。場合によっては、懐を気にしたりもする。要するに、いろんなことを考えてしまうので落ち着かなくなるのだ。楽しもうとする心と、それを奪おうとする何かがぶつかる。雑念に邪魔されてしまうのだ。

これは、キャバクラ遊びに感心のない、反キャバには伝わりにくい感情かもしれない。「だったら行くのやめたら?」と言われるのがオチだ。そうなんだけど、行ってしまうのだ。これこそ、多くのお客たちが抱くパラドックス(逆説)でもある。何もかもがこちらの思い通りにならないからこそ、行き続けてしまうという…。“疑恋”の最大の魅力はもしかすると、叶わぬことにあるのかもしれない。敗れ続けることがある種の美徳というか…。ますます常人には理解不能な世界だろう。

「そろそろ時間だって」。遠くに立っていたボーイのサインを目線で確認したキャストが言う。
「もう30分いれば?」彼女たちの常套句だ。延長しちゃおうかなぁ?帰ろうかなぁ?お客は考える。迷う。この時の、彼女たちの言い回しに注目だ。
「いてよ」じゃない。「いれば?」なのだ。このセリフから主導権は、客ではなくキャストが握っていることがわかる。気に入る側と、気に入られる側。会いに来たのがお客からならなおさらだ。“別に(私から)お願いしてるんじゃないのよ”、ということを何気にアピールしているのだ。余裕のポーズ。
メール1本、電話1本。彼女たちは誘っておいて引く。かわすことが天才的に上手い。小憎らしいほど、手玉に取られてしまうのだ。甘い言葉を投げかけて、こちらが乗るとさっとかわす。
「焦っちゃダメじゃないの。私はあなたのこと、じっくり時間をかけて見ていきたいの…」。かつて、怪人クンの恋が一向に進まなかった理由はこれだった。何度も仕掛けても、いつもこれ。恋の蟻地獄。それを読者はじれったいというようなニュアンスで見つめた。
だったら、その気にさせる言葉を吐くな!態度もするな!といっても無駄なこと。それが彼女たちの仕事なのだから…。今さら言うまでもないが、なぜだかここに改めて書きたくなってしまったのだ。

20:30に合気道の練習を終えた。といっても、怪人クンはやらなかった。気分が乗らない時は見学だ。行かないよりはずっとましだろう。
今夜の水曜教室は、ざっと40人を超えていたかも?人、人、人で柔道場は異常に暑かった。目の前にちょんまげの姿があった。怪人クンに気づき手を挙げる。彼の髪も、額も汗だらけだった。時折、道着の胸元に忍ばせていたタオルでそれを拭っている。あたりに目を移す。Tシャツ姿の生徒の背中も、汗で地図が描かれたような模様ができていた。この日一気に仕上げたバーベキューのチラシをナバに手渡す。終わりの挨拶の時、水曜教室の副主任でもある彼の口から7月30日(日)の開催が発表された。場所は未定。

21時すぎ、ウチへ着くとしばらくして大雨が降る。ざあざあ降りだ。すぐに弱まるも、また降り出した。うたさんから電話がある。
『怪人クンに騙されたよぉ!』彼の第一声がこれである。笑いながら言うのだ。何のことかというと、『黒い太陽』(新藤冬樹・著)を読み終わったというのだが、彼の中では“そりゃ、ないんじゃないの?”という感想だったらしいのだ。
『何もなかったよ。これこそキャバクラじゃないか!これで2200円は高いでしょ?』
泡と消えた時間とお金。何に対して彼が不満を漏らしているのかはここでは書かない。万が一、読者の中にこれから同作品を読んでみようと思う人や現在、読んでいる人がいるかもしれないからだ。ただし、感じ方は人それぞれということなのだ。うたさんはそう感じ取った。でも別の人はまた違う感想を語るかもしれない。結果は結果として、うたさんの中でネタとして生きるのだから無駄にはならないのだ。
とにかく552ページ、読破お疲れさん!


※14日の水曜合気道教室の練習風景を載せようと思ったのですが、撮ったデジカメをウチに忘れてきてしまいました。また改めて掲載します。
※というわけで、ちょっと古いのですが…。今年の1月、合気道新年会に登場した謎のマジシャン(写真)。