怪人クンのムフフ日記

ムフフ、ムフフ、時々オヨヨの〝怪人クンワールド〟炸裂!
あの大物も、この人も。愉快な仲間続々登場!

白い太陽

2006年06月08日 | Weblog
<6月7日(水)>

終わった―――。シ~ンと静まり返った部屋で、そっとぶ厚い本を閉じる。手から離した瞬間、一気に重みが消えた。文字に眼を走らせていた時間は、休みを含めるとおおよそ2時間。時計の針は0時を20分ほど回っていた。日付が変わり、8日(木)ということになる。クルッ、クルッ、カクン。肩を回す。さすがに少々こっているようだ。
『黒い太陽』(新藤冬樹・著)を読み終わった。552ページという長編なのに、だれることもなく終始いいリズムで読み切ることができた。ここまでスラスラ読めた本は最近では珍しい。前にも言ったが、作品が夜の世界をテーマにしていたことが怪人クンを飽きさせなかったのだろう。
話はこの日の昼前に遡る。うたさんから電話があった時、本の話題になった。
『現在(いま)、怪人クンが読んでいるという“黒い太陽”を見かけたよ。すごいねぇ、あの厚さは。でもさぁ、タイトルだけを見たら原爆を連想させるよねぇ?』
確かにそうだ。書店であの本に出くわしたらその表紙といい、まず大半の人がそれを思うに違いない。でも帯を見ると“キャバクラ”とか“風俗”という文字がしっかりと書かれてある。なぁ~んだ。これは広島や長崎を襲った原爆の話でもなければ、世界戦争のドキュメンタリーでもないんだな、とわかる。しかし…この本実は夜社会を舞台にした“戦争モノ”なのだ。そこにあるのは個人闘争と企業戦争。ナイト・サバイバル・ウォーズ。相手を倒すためなら手段は選ばない。“原爆”もバンバン落し合う。漆黒戦争なのだ。男対男。女対女。男対女…。仕掛け技も返し技もプロレスそのものだった。なおさら怪人クンを惹き付けた。

なぜこの小説が『黒い太陽』というタイトルなのか?読み始めてから、結構早い段階でそれはわかった。しかしだ。作者が言わんとしているものが他にもあることに気づく。
怪人クンなりの解釈はこうだ。黒は夜のこと。太陽はてっぺん。君臨するは風俗王・藤堂猛(とうどう・たけし)29歳。彼は物語の主人公・立花篤(たちばな・あつし)が勤める店のカリスマ・オーナーであり、この業界でトップを張る男。立花は彼と並び立ち、藤堂を超えるためにそこに向かって歩いていく。
つまり、この作品は別名“夜のてっぺん”(頂点)なのだ。それともう1つの意味が込められている。太陽とは、立花の“心”そのものだったのだ。彼が経験を重ね、幾多の修羅場を潜り抜けながら成長していく。成功をも手にする。だが、黒い太陽に近づけば近づくほど“何か”を得ると同時に、もう一方では大切な“何か”が失われていく。それこそが“白い太陽=純白な心”だったのだ。己自身と葛藤する立花。その部分が実に細かく、わかりやすく描かれていた。
キャバクラという華やいだ舞台で、二人の男が真っ向勝負する。そこに絡むは美しい女性たち(キャスト)と、数々の男たち。そして夢を買う客…。縺れに縺れる人間模様。愛、憎悪、嫉妬、裏切りが渦巻く。『黒い太陽』はそんな小説である。

昼間は天気も崩れ雷も鳴っていたが、夜には雨も止んでいた。それは合気道に向かう準備をしている最中だった。19時すぎ、うたさんから今度はメールが届く。
(僕も“黒い太陽”、読むよ!)
そうか!うたさんがどんな感想を述べるのか、楽しみだ。読んだら聞かせてほしい。
最近、ちょんまげがこんなメッセージを送ってきたのだが…。何を意味しているのだろうか?
17日(土)に、“イモ”軍団と合気道仲間数名で行くロボコン氏主催の馬刺しの会がある。なんと!彼がみんなを招待してくれるらしいのだ。Dr.トドーの話では全額おごってくれるというじゃないか?それは頼もしい。ロボコン氏も成長したんだなぁ(笑)。
そんな中、ちょんまげが放った言葉はこうだ。
(馬刺しの会には“怪人クン”ではなく、本名の●●●で参加してくれ)。
もしかすると、ちょんまげの中ではこう2分されているのか?“怪人クン”は彼の中で『黒い太陽』=澱んだ心ということなのかもしれない。『オレと会う時くらい、純白のまっさらなお前でいてくれよ…。あの頃のお前と飲みたいんだよ、オレは』。彼は、まっさらな“白い太陽”=素直だった怪人クンに会いたい、と?
白いものを黒く塗りつぶすことは簡単でも、一度黒く塗ってしまったものを再び白くするのは難しい。黒の上から白を重ねると完璧な白じゃなく、どこかグレーがかる。現在の怪人クンはそんなふうに変わってしまったというのだろうか?
“イモ”たちよ、そう思うのか?オイッ、どうなんだ?Dr.トドーよ?新よ?カンフーよ?あっぴーよ?エロ茶よ?ナバよ?誰でもいい。教えてくれ。ネオン街ばかりを彷徨ったことが原因で、怪人クンはそんなに汚れてしまったというのか?怪人クンの心はてっぺんじゃなく、地下に沈んだ太陽のことなのか?


※銀座(写真)。ターザン山本!さんからポストカードをいただきました。
「怪人クンのキャバクラ道は所詮“マイナー・リーグ”。東京の店、紹介してあげようか?」それってもしかして…豹さんですか?かつて、『天才日記』(現・葛飾良寛日記)に登場した銀座のホステスです。