先週の事、下町の循環バスに乗った。
同じバス停で、おじい様が2人が乗車。
明らかに、先輩と後輩の区別がご当人たちにはあるのだが、こちらからはどちらも同じおじい様にしか見えず、区別はつかない。
後輩的なおじい様は、私の真後ろに、先輩的なおじい様は私の横側の席に座った。
先輩:「それでさぁ、昭和20年の3月10日はこの辺にいたの?」
:(し、昭和20年?)
後輩:「いました、いました!大正小学校に逃げたんですけどね。」
先輩:「あっ、そうぉ~。僕はね、台東小学校。じゃ、良かったね。でも結構みんな死んじゃったでしょ?」
後輩:「えぇ~。みんなねぇ・・・。」
後輩:「今はスカイツリーなんて言ってるあたりも、すっかりやられちゃって、全部ね。川にみんなドザエモンになっちゃってて(笑)。僕なんて見に言ったんですよぉ。」
:(ド、ドザエモンって・・・)
先輩:「あっ、そぉぅ?」
後輩:「中学校でね、その時。どうなってるかって、見に行きましたよぉ(笑)。」
:(これって、東京大空襲の話?)
先輩:「そうなのぉ・・・。僕はね、20でね。勤めてたけどさぁ。」
後輩:「兵隊、行かなかったの?」
先輩:「2か月、行った(笑)。」
後輩:「あ、行ったの?」
先輩:「そうそう(笑)。遅かったけどね、赤紙来たの。僕くらいになるとみんな死んじゃってね、女の子も男の子も。昔の話出来る人がいなくなっちゃってさ、寂しいよね。」
後輩:「僕らもそうですよぉ。みんな死んでますよ、もう。」
そう。
このおじい様たちの話は、昭和20年3月に下町を襲った東京大空襲の話だった。
毎年、徹子先輩の部屋では8月になると、終戦特集なるものを放送していて、高齢の出演者が戦争話をしているけれど、そんなレベルは遥か彼方。
私がそのバスを降りるまでの数分の話だったが、実に印象的で興味深い会話の立ち聞き(座り聞き?)だった。
毎週私が利用しているそのバスは、まさにその大空襲の被害となった中心地を走っていて、68年前の実話がおとぎ話に聞こえるほどの様子なのだ。見上げればスカイツリーも、知らぬ存ぜぬで立っている。
そのコントラストは夢のようだ。
聴力も滑舌も抜群のそのおじい様2人は、信じられないほどに実に生き生きと、楽しそうに話していた。
また会わないかなぁ・・・あの2人。
あやうい今の日本に、こんな2人は市井のお宝だ。
東京大空襲
同じバス停で、おじい様が2人が乗車。
明らかに、先輩と後輩の区別がご当人たちにはあるのだが、こちらからはどちらも同じおじい様にしか見えず、区別はつかない。
後輩的なおじい様は、私の真後ろに、先輩的なおじい様は私の横側の席に座った。
先輩:「それでさぁ、昭和20年の3月10日はこの辺にいたの?」
:(し、昭和20年?)
後輩:「いました、いました!大正小学校に逃げたんですけどね。」
先輩:「あっ、そうぉ~。僕はね、台東小学校。じゃ、良かったね。でも結構みんな死んじゃったでしょ?」
後輩:「えぇ~。みんなねぇ・・・。」
後輩:「今はスカイツリーなんて言ってるあたりも、すっかりやられちゃって、全部ね。川にみんなドザエモンになっちゃってて(笑)。僕なんて見に言ったんですよぉ。」
:(ド、ドザエモンって・・・)
先輩:「あっ、そぉぅ?」
後輩:「中学校でね、その時。どうなってるかって、見に行きましたよぉ(笑)。」
:(これって、東京大空襲の話?)
先輩:「そうなのぉ・・・。僕はね、20でね。勤めてたけどさぁ。」
後輩:「兵隊、行かなかったの?」
先輩:「2か月、行った(笑)。」
後輩:「あ、行ったの?」
先輩:「そうそう(笑)。遅かったけどね、赤紙来たの。僕くらいになるとみんな死んじゃってね、女の子も男の子も。昔の話出来る人がいなくなっちゃってさ、寂しいよね。」
後輩:「僕らもそうですよぉ。みんな死んでますよ、もう。」
そう。
このおじい様たちの話は、昭和20年3月に下町を襲った東京大空襲の話だった。
毎年、徹子先輩の部屋では8月になると、終戦特集なるものを放送していて、高齢の出演者が戦争話をしているけれど、そんなレベルは遥か彼方。
私がそのバスを降りるまでの数分の話だったが、実に印象的で興味深い会話の立ち聞き(座り聞き?)だった。
毎週私が利用しているそのバスは、まさにその大空襲の被害となった中心地を走っていて、68年前の実話がおとぎ話に聞こえるほどの様子なのだ。見上げればスカイツリーも、知らぬ存ぜぬで立っている。
そのコントラストは夢のようだ。
聴力も滑舌も抜群のそのおじい様2人は、信じられないほどに実に生き生きと、楽しそうに話していた。
また会わないかなぁ・・・あの2人。
あやうい今の日本に、こんな2人は市井のお宝だ。
東京大空襲