人生にロマンスとミステリを

小説を読むのも書くのも大好きな実務翻訳者です。ミステリと恋愛小説が特に好き。仕事のこと、日々のことを綴ります。

歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』

2020-06-14 20:50:19 | 読書記録(紙書籍のみ)
歌野晶午著『葉桜の季節に君を想うということ』

雨でどこにも行けないので、本ばっかり読んでいます(笑)。
どんでん返しがすごい本だと紹介されて読みました。

っていうか! どんでん返しってそこ!?という驚きの本。

まず出だしが達したときのシーン。それも男性目線で。
ほんとに男性はそんなふうに思ってるの? 女性向け恋愛小説書いてる身としては
ちょっと寂しい……的な出だしで。

まあ、それはおいといて。七歳年下の後輩くんが高校生で来年大学受験って
話をするもんだから、主人公は二十五歳か、意外と若いな、というミスリードを
誘われます。

んで、お金で女性を買いまくるし、『何でもやってやろう屋』といいつつ、
ガードマンやったりパソコン教室の講師をやったりする探偵で。
んー、二十五歳にしてはちょっと……という違和感は常にあったのです。

あ、なんか、主人公の年齢に関するどんでん返し(?)がインパクトありすぎて、
肝心の内容をぜんぜん書いてなかった。

ええと、後輩くんが片想いしている女性から、悪徳商法に騙されて大金を
注ぎ込んだおじいさんが、ようやく騙されていたと気づき、弁護士を雇うぞ!と
なったところでひき逃げにあって殺された。その真相を調べてほしいと依頼される。

その合間に、過去にあった出来事を回想しつつ、悪徳商法の事務所に忍び込み、
調べていって、まあ証拠を掴むという感じなのですが、実際に警察に突き出すところまでは
いかず、恋愛物語的に最後は終わります。

愛した人が実は……的などんでん返しはわりとあると思うけど、年齢の方の
どんでん返しのインパクトが大きいのなんのって。

最後の林語堂の「人生の黄金時代は老いて行く将来にあり、過ぎ去った若年無知の時代にあるにあらず」
という言葉が、この小説の神髄なのかなと思います。

ネタバレですけど、主人公、1951年で二十歳ですって。そう来るか!!!
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澤村御影『准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る』

2020-06-14 11:38:20 | 読書記録(紙書籍のみ)
澤村御影著『准教授・高槻彰良の推察2 怪異は狭間に宿る』

ちょっと時間ができて、ずっと読みたかった本がようやく読めました!
『准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき 』の続編です。

小さい頃一ヵ月間行方不明になり、その間の記憶がない高槻准教授。
大きな翼をはぎ取られたように、背中に大きな傷跡が残っている。

一ヵ月の間、何があったのか。
わからないことが怖いから、その理由を探すために怪異現象を研究している高槻。

幼い頃、死者の祭りに参加してしまい、人の嘘を聞き分けることのできる耳を得て
しまった尚哉。それゆえに孤独になり、孤独に生きていこうとするのだけれど、
まあ、変わり者の人なつこい大型犬のような高槻に振り回されつつ、今回は
高槻の過去に触れられたことで、尚哉の気持ちも明るい方向にずいぶん進んだんじゃないかと。

なかなか本物の怪異に巡り会えない二人ですが、短編二件目の「スタジオの幽霊」に
出てきた女優さんは、小さい頃、本当に怪異を経験していたようです。

おもしろかった。個人的には高槻先生の友達の佐々倉刑事が好きです。
頼りない主人公を放っておけない、ぶっきらぼうだけど優しい人。
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