人生にロマンスとミステリを

小説を読むのも書くのも大好きな実務翻訳者です。ミステリと恋愛小説が特に好き。仕事のこと、日々のことを綴ります。

ジェフリー・ディーヴァー『ウォッチメイカー』

2018-08-23 07:36:15 | 読書記録(紙書籍のみ)
ジェフリー・ディーヴァー著、池田真紀子訳『ウォッチメイカー』

さすがにジェフリー・ディーヴァーです! いったい何回返るねんってくらいの
どんでん返しの連続です!

以下、超ネタバレです。

赤毛で美貌の捜査官(若いのになぜか関節炎を患っている)アメリア・サックスは
自殺したビジネスマンの捜査を担当(ビジネスマンの妻が、「夫は自殺なんかしない!」と言うので)。

一方、残忍な手口で連続殺人が起こり、犯人は現場にアンティーク風の置き時計と
不気味な詩を残し、ウォッチメイカーと名乗る。

四肢麻痺の(イケメン)元捜査官リンカーン・ライムに捜査依頼が入り、ぜひとも
サックスと一緒に捜査に当たってくれ、というお達しが。

とはいうもののアメリアは“彼女の事件”も抱え、ライムはおもしろくない。
連続殺人犯の方が危険だから、“彼の事件”を優先しろ、と言うけれど、サックスは
かけもちしたって大丈夫、と。

まー、この時点で、いつかこの二つの事件はクロスするんちゃうん?と思ったら、
やっぱり!

でも、そこで終わらない。

ウォッチメイカーの次の犠牲者とその次の犠牲者(いずれも女性)が、寸前で被害を免れる。
手に汗を握っていた読者はホッと胸を撫で下ろします。

んで、ウォッチメイカーが地理に詳しいということで手を組んだ地元の前科者が、
捕まったときに尋問の天才FBI捜査官キャサリン・ダンスにあっさり陥落(笑)。
いや、まあこの時点で怪しいわけです。

そうしたら、案の定、ウォッチメイカーはその男を利用したのだとわかる。
けれど、その結果が驚きで、ウォッチメイカーは善良なる金持ち市民。
自分の友人を殺した不正警察官(イケメン、権力者)を逮捕させるため、
手の込んだ事件を起こしたのだという。死体も交通事故死した男性の死体を
拝借したそうで、その他の罪も重いものではない、と調べた、とかいう周到さ。

けれど、そこで終わらないのが、ジェフリー・ディーヴァー!

ウォッチメイカーは善良なる金持ち市民ではなかった!
どうやら超貴重な昔の時計を盗むのが真の目的だった!?(いや、あんな手の込んだことを
しておいて、それはないやろ、と思ったら、案の定!)

国内のテロリストの依頼で、軍の式典で爆弾を爆発させ、権力者や軍人を多数
殺害することが真の目的だった、という……。

さすがにリンカーン・ライム。ウォッチメイカーの被害者(?)の職業や住所から、
ウォッチメイカーの真の狙いを突き止め、間一髪、式典の参加者を避難させるわけです。

けれど、結局ウォッチメイカーは逃げちゃって、捕まらず。どうなるんかな。別のストーリーで決着?

同じ作家の別作品の登場人物が登場すると、読者としてはわくわくします。
今回は『スリーピングドール』の主人公であるキャサリン・ダンスが登場します。
最初、ライムは彼女にそっけないんだけど、その手腕を認めるようになります。

おもしろかったです!

でも、ちょっと残念なことが。“歯で加えてはずし”、“だだろう”、“顎を食いしばり”
読んでいて、ん?となって、少し考えました。せっかくのストーリーから一気に現実に戻される(笑)。

顎を食いしばるって英語でなんだっけ。翻訳学校に通っていたとき、私もそんなふうに訳して
講師に注意されました(笑)。確かにそのまま訳したら、顎を食いしばるになるんだけど、顎は食いしばれませんよねって。
どんな英語だったか、忘れちゃったな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする