Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華 108

2019-12-03 10:51:02 | 日記

 私は彼女に謝罪されて不思議な心地がした。彼女が私に対してこんな態度に出る等、これ迄予想だにした事が無かった。彼女は何時も、私には無頓着で横柄で無理解なのだと私は思っていた。彼女に言いたい事を言われ、仏頂面されて、私の方が余程言いたい事が有るのだと思い、我慢にも限度があると憤慨していたのも遠い過去の出来事では無かった。この時の彼女に一体何が起こったというのだろう?。私は釈然としない思いのまま、狐につままれた様な顔をして目を欹て彼女の顔を見ていた。

 母はそんな私にきまり悪そうな顔をすると、物思いに耽りながら手を動かしていた。私は目に入る母の動作、動いている彼女の手に気付くと、彼女の顔から手の先迄自分の視線をずらして行った。

 おやっ。母の手には先程持っていた布切れとは違い、丸く何かを手拭いで包んだような、ふっくらとした塊が握られていた。包みは湿り気を帯びているように見え、彼女の手の動きでぐしゅぐしゅと小さな音を立てた。床に触れている部分は褐色に近いくすんだ色をしていた。手に掴んでいる上の部分は黄土色に近く、明るく白っぽい黄色に見えた。『何だろう?。』私は思った。

 そんな私に「これかい?。」母が視線で袋を差し示しながら尋ねて来た。私の考えを推し量ってその時感じていた私の疑問を母が訊ねて来る等、これもまた初めての事だ。珍しい事をする物だ。否、母にそんな事が出来たのだと、私はハッ!と目の覚めるような心地がして、母の為人をこの時見直した。彼女もやはり大人なのだ、父や祖母と同じ様な事が出来るのだ。母の顔を見詰めながら私は内心成程なぁと呟いた。

 「なるほど、何だい?。」

口にした訳ではないと思うのだが、母が尋ねて来た所を見ると、私は我知らずの内にこの言葉を口から漏らしていたのだろう。私は正直に自分の感想を彼女に言った物か如何か、内心やや葛藤したが微笑んで彼女に答えた。

「お母さんも、大人なんだなぁと思ってさ。」

一寸そんな事を思ったのだ。と私は言った。私の返事に母は曖昧な笑みを浮かべたが、私同様次に言う言葉に迷ったらしく、彼女も暫く無口だった。


今日の思い出を振り返ってみる

2019-12-03 10:48:55 | 日記
 
洋梨(pear)の思い出

 この頃の私は、学生の身分だからお金が無い、親の脛を齧っている身なのだから贅沢は出来ない。倹約倹約とばかりにひたすら思っていた物です。 学生時代の私の仕送りは月4万円(下宿&賄......
 

 今週は雨模様が続きそうな予報でした。現在日差しが差しているので、窓辺は暖かいです。