Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華 114

2019-12-05 16:46:13 | 日記

 私は案外早くに彼と顔を合わせた。外から帰って手を洗おうと台所へ向かった私は、廊下の入り口で反対側から来た父と鉢合わせしたのだ。

 ああ、父だ!と思い、私は悪びれる事なくいいやと思うと、お体裁の笑顔を作る事をしなかった。現在心の内にある彼への感情、思った儘のうんざりした顔付きで、彼の顔をふん、と見た。

『本当に変な人、この人にはうんざりだな。』

私は内心思っていた。

 すると父は、そんな私の表情から彼への蔑みの感情を読み取った。実際、私は自分の心情を隠す等敢えてしなかった。私は内面の感情を露わに面に出して父を見下げたのだ。

 父とすれ違って、そのまま台所に向かおうとした私は、一寸待てと彼から呼び止められた。

「お前、」

父は言い淀んだが、「父の事をどう思っているのだ。」と聞いて来た。

「今のお前の顔は何だ。」

彼は言った。

「まるで今のお前の顔は、この私を馬鹿にした様な顔だったじゃないか。」

「私はお前の父だぞ。」

と彼は続けた。

 それは確かだ、私は内心思った。自分の子の事さえきちんと正しくみる事が出来ない親だ、大馬鹿者の父親じゃないか。もう私にはよくそれが分かっているのだ。私は内心呟いた。

 私が何時嘘を吐いたというのだ。物心ついてからこの方、私には自身が嘘をついたという記憶がまるで無かった。一体何時嘘を吐いたと彼は言うのだろうか。常々、私には父の、この私を嘘吐きだと評価する根拠が、一体何処から来ているのかまるで見当も付かず、何故彼がそんな事ばかりしつこく私に言うのかと訝かられた。私は何時しか彼のその私への評価の大本の根源を知りたいと感じはじめていた。この問題で、丁度両者の感情が噴出し、父の方から呼び止められたこの機会に、私は機を逃さず聞いてみようと閃いた。

『丁度良い機会じゃないか!。』

私は好機を感じて目を輝かせた。『父の方から言って来たのだから。』と。


うの華 113

2019-12-05 16:09:31 | 日記

 「困るねぇ。」

私が外から帰って来ると、家の奥の方から祖母の声がした。

「困るんだよ、家族が仲違いするような事を言われてはね。」

と、不機嫌そうな彼女の声の話先は私の母であるらしかった。

「そうは言われますがね、…。」

母は何やら、自分の姑である祖母に自分の意見を言っているようだ。

「まぁ、お前さんがそう思うなら、あの子とも、もう少し話し合ってみたらどうだい。」

そんな言葉の後、2人の話声は途絶えた。

 家に上がった私は、多分2人の話の内容は私の事だろうと考えていた。先程母から聞いた父の私に対する言葉を、母が私に話した事に対して祖母が母を諫めているのだろう。祖母にすると私の父が実子になるのだから、彼女が怒るのは当たり前かなと私は感じた。でも、『もう聞いちゃったものね。』私は思った。

 私自身に直接、昔の様に面と向かって、しつこい程父が言っていた「嘘を吐くな」の言葉を、父は私に言わなくなって久しくなったと思い、私を信頼してくれたのだとすっかり安んじていたのだが、先程の母の言葉から、実は未だに父が私の事を陰で嘘つき呼ばわりしていた事実が判明したのだ。少なくとも母には今でも言っているのだ。その隠れた事実に私は気付いたのだ。とても嫌な気がしたし、正直父に対してうんざりもした。父という人はそんな人なのだ、自分の子さえきちんとみる事が出来ない人なのだ。依然変わらぬ彼の体質について再認識した私だ。『次に父に会ったら、嫌な顔をしてあの人の顔を見てやろう。』私は思った。

 


今日の思い出を振り返ってみる

2019-12-05 14:53:13 | 日記
 
洋梨(pear)の思い出
 『そうだ、この人に洋梨を勧めてみよう!』「私は美味しいと思う。私は洋梨が好きなの。」急にとって付けたように確信を込めて、元気な声で私はそう発言しました。  私はこの時......
 

 空気が冷え込んで来た気がします。インフルエンザも流行って来ました。