Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華 125

2019-12-18 11:16:24 | 日記

 「ねえねえ、おばさん、おばさんなんでも知っているんだねぇ。」

「内の家では何があったの?、おばさん知ってたら私に教えてくれないかなぁ。」

私は柔和な笑顔を浮かべると、如何にもおねだりするという様に問い掛けてみた。おばさんの方はおやという感じになると、智ちゃん知らないのかい、と言う。

「知ちゃんたら、一緒に住んでるのに知らないのかい?。」

これはまた妙な話だね、ねぇ、お前さん。と、何やら店先に近付いて来たご主人に、如何にも自分達の話に彼を引き込むという様に声を掛けた。ご主人は云まぁと何やら自分の手を店前の机の所で動かしていたが、その内ひょいとこちらに顔を向けると、

「四郎ちゃんの事だろう。」

と言った。

 そんなご主人に、奥さんは目で合図してこっくりと頷くと、ご主人は溜息交じりで手を動かし始めた。ねえねえ、お前さん。奥さんが再三声をかけると、俯き加減で机の側にいたご主人だったが、その内そろそろと私達の話している場所までやって来た。

 「四郎ちゃんは何時もああでなぁ。」

仲間内の世間話のように、彼は徐に言いだすと、あんたさんの家がね、今日みたいにバタつく時は、決まって四郎ちゃんが原因なんだよ。大抵はそうだ。と溜息交じりで言った。そして奥さんに、じゃあ後は任せたよと言うと、二郎ちゃんがいてくれればなぁ、とか、奥さんも苦労だね、等呟きながら、また仕事の続きを続ける為か、元の机の有る場所へと戻って行った。

「分かったかい。」

彼の奥さんである。私の目の前に残ったおばさんは言った。

 私は考えてみた。四郎ちゃんと言うと私の父だ、父が原因?、家がバタつく?、私には訳が分からなかった。そこで頭の中で、今ここのご主人が言った言葉を繰り返して推理してみるが、やはり何がなんだかさっぱり分からない。私には我が家で起こっている出来事が全く想像もつかなかった。

 盛んに首を捻る私を見ておばさんは言った。

「鈍いねぇ。」

「まぁ、あんたのお母さんも、この辺りでは分からなかったらしいから仕様が無いか、親子だね。」

『お母さんと?…。』私は彼女の言葉の最後に顔を顰めた。


うの華 124

2019-12-18 10:45:36 | 日記

 ここで出掛けてしまった私は、家の座敷で2人が話していた話の内容を知らない。

 何処へ行くという当てもない私は、暢気に近所を散歩し始めた。家の近所は商売屋さんばかりだ。玄関戸が開き、店先に商品を並べてある家等もある。往来からちらとでもお店に顔を覗かせると、直ぐに、やぁ、おいで、とか、いらっしゃい、とか、今日は何の御用かな?、等の声が掛かる。こういうお店だと、ほんの子供の私でも、ご近所の顔馴染みだと愛想よく相手をしてくれた。私は1人遊びに出るようになってから、こんな近所の挨拶にもそろそろ慣れて来ていた。

 「こんにちは、おばさん、今日は商売如何ですか?。」「儲かりますか?。」等、私も相手の言葉や顔色から幾つか声掛け出来るようになっていた。

「智ちゃん、お話が上手になったね。」

今日はそんな事を、顔を覗かせた瀬戸物屋で何時も元気な愛想のよいおばさんから言われて褒められた。私は嬉しく笑って彼女に答えていた。それでもその内、留守の父や、今出てきた我が家の事がやはり気に掛かったのだろう、私の顔色が曇ったようだ。

 「智ちゃん、今日は何かあったのかい?。」と聞かれた。「え、おばさん、どうして分かったの?。」私は驚いた。おばさん曰く「分からないでかい、ご近所だよ。」であった。

 朝からあんたの家がバタついてたし、バタついていたと思ったら、さっきはハイヤー迄来て、中から大奥さんが血相変えてあの四郎ちゃんを連れて出て来ただろう、大奥さんこっそりのつもりだったんだろうが、ああ大慌てでは。こっちは見て見ぬふりしてたけど、分かるよ。まただってね。内の人と言ってたんだよ。そうこの店の奥さんは言うと、

「ねぇ、お前さん。」

と、玄関の奥にいたご主人に向かって声を掛けた。ご主人の方はと言うと、いくら幼いと言っても、当の話の主の家族である私に遠慮したらしい、ああ、まぁなあと、こちらを見るでもなくぶっきら棒に自分の奥さんに返事をした。

 私はこの御近所の家の、情報回りの素早さに目を丸くして驚いた。私より余程我が家の事情通だ。自分の家の人間に聞くより、ここのおばさんに聞いた方が家の状況がよく分かりそうだと感じた。そこで、私は目の前のおばさんに、今うちの家では何が起こっているのかと訊く事にした。私はにっこり笑った。


きょうの思い出を振り返ってみる

2019-12-18 10:42:07 | 日記
 
蝶ちょう(3)

 漸く蝶が認識でき、空間を飛ぶ蝶も、あれあれとよく目に捉える事が出来るようになると、本当に蝶って素敵だなぁと新めて気分よく晴れ晴れとして素晴らしく思いました。私は蝶が大好きなのだと......
 

 年末の大掃除はしたいのですが、体調不調で儘なりません。こう体調が悪いと、きちんとした判断力も無くなっていそうで、あれこれ決定出来ないする事が出来ない気分です。重要な物事は見送りです。