Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(154)

2018-08-09 08:37:59 | 日記

 そんな蛍さんの憤慨して苛立つ様子は、蜻蛉君にとって小気味良いものでした。内心、彼はしてやったりとニヤニヤしてしまいます。自分達は勝利を続ける小生意気な彼女に言い勝ったのだ!とばかりに浮き立つと、心なしか余所余所しくなった茜さんの変化には気付かず、並んで立っている彼女に親愛の笑みを向けました。茜さんは彼に応えてやや引きつった微笑を返しました。そこで彼は、満足気に自分の番の石を投げました。

 その彼の転がした石は極めて順調に転がり出しました。彼の手を離れると穴まで一直線です。これ以上の石運びは無いという様な軽やかな進み具合で、ころころと彼の穴に向かって転がって行きます。

「よし!」

と彼はガッツポーズを取りました。しかし皆の目の前で石は見事に窪みへ飛び込み跳ねると、今までの方向を変えました。自分の穴に向かって一直線とばかり思って有頂天になっていた彼の予想を全く裏切り、如何いう訳かころころとコースを外れて行くばかりです。石はそのまま全くあらぬ方向へと転がりだして、誰の目にも完全にゲームの盤面から外れたと言う形になりました。それは差し詰めボウリングならガター、そのまた外へ大外れというものでした。

 『ハハハ…』それを見ていた蛍さんが内心愉快に笑ったのは言うまでもありません。

『人の親切を無にするからよ!』

彼女にすると、蜻蛉君の勝ちたいという気持ちが分かっていただけに、今日の勝負は譲って上げてもよいという気になっていました。 唯、わざと負けるというような器用な真似が彼女には出来なかったので、相手の頑張りを応援するしかなかったのでした。

『せっかく注意してあげてるのに、そんな人の気持ちや親切を無視して、無駄にするからこういう罰が当たったような事になるのよ。』

蛍さんにすると蜻蛉君の投石の結果、これこそが天罰てき面というものでした。世の中本当にちゃんと神様、仏様が見ている物なのだなぁと感じ入りました。


土筆(153)

2018-08-09 08:17:37 | 日記

 さて、その後、蛍さんは自分の石が予想したように上手く自分の穴に入ら無くなった事に驚きました。如何したというのでしょう?それは当然石投げのコースの方が変わったのですから蛍さんのせいではありませんでした。彼女は不思議がって首を捻りました。そして再び石を投げようとして、自分の穴までのコースの上に、今までそこには無かったへ込みを見つけました。

「あれっ、…」

 彼女は再び驚きました。見つけた窪みに近付いて足で窪みを均して埋め、念のためと他の地面もきょろきょろと見回してみます。実は先程の茜さんは蛍さんだけでなく、蜻蛉君のコースの上にも窪みを作って置きました。蛍さんはこの時その彼のコース上にあるへ込みにも気付いたのです。それでここに窪みが有るよと彼に注意を促しました。

 蜻蛉君の方はというと、自分と親密な茜さんの事です、勝負の為とはいえよもや自分に対してそんな事をするとは夢にも思ってみないのでした。蛍さんが自分達の邪魔立て作戦に気付いて怒り、ここに窪みが出来ていると怪しみ、誰が作ったのかと2人に嫌疑をかけて問い質しているのだとばかり思いました。それで彼は知らぬ存ぜぬを決め込んで、彼女の差し示す方向を見る事もしません。ああそうとばかりに無視をして、彼女の忠告を素気無く無駄にするのでした。

 蛍さんはこの日、ゲームの最初から蜻蛉君の燃え上がる勝利への執念を感じていました。それで彼の為にと熱心に重ねて2、3回注意を促しました。それでも彼の方はてんで受け付けない態度でした。それどころか彼は、仕舞にはしつこいなと蛍さんの自分達への抗議を冷淡に突っぱねたつもりでいました。これには蛍さんもかっと頭に来て『人が親切に教えてあげているのに!』と、ぷん!としたものです。内心むかむかすると、その後は黙って2人のいる投石場所の位置迄戻って来ましたが、茜さんや蜻蛉君からはやや離れると、沈黙したまま流石に眉根には皺を寄せて、ぷんぷんと自分の順番を待っていました。


言葉よりハグの方が

2018-08-09 08:11:52 | 日記

 一言は難しいですね、ハグの方が簡単な気がします、その人の事を大切に思っている事が直ぐによく伝わりそうです。現在なら、「自分の事は自分で。」でしょうか。ちょっと厳しい言葉になってしまいます。

 「お体を大切に。」とか、猛暑なので「ご自愛ください。」など、やはり自分でも確りと体調管理するようにと此処の注意を促してしまいます。私って、冷たいんでしょうか?