東十条探偵団2

明日は何を撮りに行こうかな?

想いは万葉へ、サネカズラ

2019-11-30 | 季節の花
  何回も書きましたが今年は、「サネカズラが無い」・・・
  ところが今になって真っ赤な実を見っけ、いや
  百花園のTwitterが実が赤くなったよと教えてくれたのです。
  実にどうも、この~、、、今まで何を見ていたんだろう。


  

     サネカズラ(実葛)  マツブサ科サネカズラ属。

     ここも日陰で昼なお暗い、おまけに葉が折り重なっていて視界が悪い?
     行くたびに目を皿のようにして見ていたんだけどなぁ・・・。
     教えてもらうまで見つけられなかった、でも私だけじゃないみたいで高浜虚子サンも
     「葉がくれに 現れし実の さねかずら」 と詠んでいましたわ。




  

     たま~に木漏れ日が差すとこんな光景も見られるんだけど
     よほど運がよくないと見られませんね。




  

     色づき始めた実、古くは「さな葛」とも言っていたようです。

     あしひきの 山さな葛(かづら) もみつまで
     妹に逢はずや 我(あ)が恋ひ居らむ     万葉集巻10-作者未詳

     この山のさな葛が、色づくようになるまで
     いとしいあの子に逢えないまま、私はずっと
     恋い焦がれていなければならないのだろうか。




  

     ほとんどの実は落ちてしまった、美味しそうだけど実は味もそっけもないようで。

     さね葛 後(のち)も逢はむと 夢(いめ)のみに
          うけひわたりて 年は経(へ)につつ   万葉集巻11-柿本人麻呂歌集

     さね葛が伸びあとで絡まり合うように、後にでも逢おうと
          夢の中ばかりで祈り続けているうちに、年はいたずらに過ぎて行きます。




  

     何年か前に撮った花の写真。
     雌雄異株、まれに同じ木に雌雄の花を付けることも。
     雄花も雌花も同じ花の姿をしているが、
     雄花は中が赤く、雌花は緑になるこれは赤いから雄花だね。




  

     別名「ビナンカズラ」とも呼ばれていて
     ビナンカズラの名でブログに載せている人もいっぱいいる。
     「美男蔓」、かつて武士たちがこの樹皮に含まれる粘液を鬢付け油(整髪料)の
     代わりに用いていた。粘液は紙幣を作るための糊に使うこともあったらしい。


     おまけで小倉百人一首から一首、直球解説つきで。

     名にし負はば 逢坂山の さねかづら
         人に知られで くるよしもがな     〔第25首/三条右大臣〕

     「人に知られで」、だから忍ぶ恋。
     伝えたい思いは「逢いたい、寝たい」だけど、それじゃあ直球すぎるので
     「逢(逢う)坂山の さね(共寝)かずら」、、、と
     オブラートにくるんだ、たしなみあるオトナの歌。

     こういう解説をしてもらうと古歌も愉しいね。

          data: EOS70D/EF70-200 1:2.8。 撮影 11月21日 向島百花園
          
コメント (4)
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