シャンテ サラのたわ言・戯れ言・ウンチクつれづれ記

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中国の100年の計を見抜いた米国が次に取る策は? 米分析家4

2015年12月31日 | 歴史をひも解いて
左上は中国製のホバーボード。 左下は極秘訪中したキッシンジャーと毛沢東主席、奥は周恩来総理 (1972年)。 右は『三国志演義』から劉備と関羽、張飛 (桃園の誓い)。
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11月以降もピルズベリー本の関連記事が出ています。 
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「南シナ海 米艦航行曲解する日本と冷静な米中」(11月10日 富坂 聰/Wedge Infinity A) 
__ 米中関係は経済分野で深い結びつきがある。 中国は、日米貿易摩擦を徹底的に分析して、アメリカ市場に利益を還元することに心を砕いてきた。 その結果として 日米貿易摩擦に匹敵する米中貿易摩擦といった問題を事前に回避してきた。

「ピルズベリー国防総省顧問の主張に見えた米国の我儘ぶり」(11月23日 小笠原 誠治/BLOGOS B)
「”中国は2049年の覇権国家を目指す” は本当か?」(11月23日 岡村 繁雄/PRESIDENT C)
 「中国が進める “日本悪魔化” 計画に気をつけよ」(12月10日 古森 義久/SAPIO D)
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記事を読むと、マスコミに登場する中国製品については、おもちゃの塗料に発ガンが疑われる物質が使われていたとか、中国製ペットフードを食べた米国の多くの犬が犠牲になったとか、中国製ホバーボードが突然発火する事故が多発した、など悪い話しばかりですが、日米貿易摩擦時代にあった “日本製自動車や日本製ラジカセをたたき壊すなどの過激な反応” には至っていません。

ちなみに 日本では2007年12月から08年1月にかけ、冷凍毒ギョーザ事件が大きく取り上げられて、中国製食品の安全性が問題になりました。
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「中国製玩具 3度目の回収 米社管理にも不信」(07年9月6日 産経新聞)
「中国産ジャーキーが原因? 米で犬1千匹死亡」(14年6月30日 朝日新聞)
 「中国製のホバーボードが世界各地で爆発している」(15年12月15日 らばQ)
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米国が中国の経済発展を阻害するには、例えば スーパー大手ウォルマートが中国からの何兆円もの輸入を止めれば すぐに効果が出るというものですが、膨大な安売り品の輸出元を中国以外に求めても、そう簡単にはいかないほど、中国は米国経済に深く組み込まれており、これも中国のしたたかさの一例かも。

では、「私には 米国が常に No.1 であることを望む人々の心情に訴えた主張にしか聞こえません」と結論付けています。 その通りでしょう。 米国は何でも No.1 でないと気が済みません。 だから 1970〜80年代 覇権国・米国に経済で対抗した日本を叩きのめしたのです (!?)。

では、中国古典の兵法書や歴史を幾つか取り上げ、自国の過去の事例を現代に置き換えて応用している例を示しています __『資治通鑑』(しじつがん) では 戦国時代を統一した秦は、最初は「同盟を結びたい」と相手に持ちかけ、それ以外の国を1つずつ倒し、最後は同盟国も裏切って勝者になりました。
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『資治通鑑』は、中国北宋の司馬光が、1065年の英宗の詔により編纂した、編年体の歴史書。 1084年の成立。 収録範囲は、紀元前403年の韓・魏・趙の自立による戦国時代の始まりから、959年すなわち 北宋建国の前年に至るまでの1362年間としている (ウィキペディアから)。
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中国は「ソ連はならず者国家なので一緒に戦おう」と米国に近づいて超大国2つを競い合わせながら、一方でアメリカから経済的、技術的援助を受けるという “漁夫の利” を狙いました。 これはまさに『三国志演義』に描かれている赤壁の戦いの現代版だ、としています。
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『三国志演義』は、中国の明代に書かれた、後漢末・三国時代 (魏、蜀、呉) を舞台とする時代小説・通俗歴史小説である (ウィキから)。
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では、中国のアメリカ凌駕の長期戦略の重要部分が、「現在の日本は戦前の軍国主義の復活を真剣に意図する危険な存在だ」とする “日本悪魔化” 工作なのだと明言しています。 さらに 中国の最大脅威であるアメリカのパワーをアジアで支えるのは、やはり日本そして日米同盟であり、これらを骨抜きにするのが中国の戦略の1つだとしています。
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中国軍事分析者ピルズベリーが、公に中国の “100年の計” を暴露した2014年9月以降の米政策に大きな変化があったでしょうか? それを示す明確な記事などの記憶はありませんが、対日政策で “風向きが微妙に変わってきた” ように感じます。

その最大の事柄が、今年4月の安倍首相訪米における米国の歓迎ぶりです。 従来は 日米間には大きな懸案事項は存在せず、日米首脳会談でも大きな波風も立たず、議論すべき対象がない、要するに無風状態が続いていたように思っていましたから、あの歓迎は米国サイドの何かが変わったのではないかと少し不思議な気がしていました。

対中政策の代わりに対日政策が浮上した? としたら 米国外交なども、対外的には相対関係で良くもなれば、悪くもなるということでしょうか。 また 軍事関係では、日米豪3カ国による緊密な提携が浮上してきています。
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「日豪、進む “準同盟” 化 自衛隊、米豪演習に初参加」(7月12日 朝日新聞)
 「日米豪首脳が会談、軍事関係で協力強化を確認」(11月17日 WSJ/ブリスベーン) __安倍晋三首相とオバマ米大統領、オーストラリアのアボット首相は16日、アジア太平洋地域の安定を促進するため軍事関係を強化することで合意した。
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これは、西太平洋の覇権を唱えだした中国を、日本ーフィリピンー豪州ラインで封じ込めるために、日米豪3カ国による軍事的連携が欠かせないとする考えに基づくものでしょう。 フィリピンは米国の勢力下にあるが、軍事的にはみるべきものがなく、上記3カ国が手を携えることが効果的とみるのが自然です。

韓国もこの3カ国提携に加えるべき海軍力を持たないから、提携からは除外されています。 もっとも 今の “離米従中” 気運が進む韓国を、米国が提携に加えたいとは望まないでしょう。

そして 日本ーフィリピンー豪州ラインの中国寄りの内側、中国近海で中国海軍の行動を押えることは、日本のエネルギー運搬の生命線 (シーレーン) を守ることにもなるわけで、本来は日本が積極的に動くべきものですが、敗戦国という立場上 表立って行動するわけにもいかず、米豪を巻き込んだ形を取っていると想像します。 これはまた アフガニスタンから中東に勢力を取られ、西太平洋に勢力を割く余裕に乏しい米軍を補完するものともなります。

中国近海で中国海軍の行動を押えることは、中国の封じ込めとなり、これ以上 覇権を拡大させないことを意味します。 折しも 南シナ海の浅瀬で中国は人工島を建設中であり、これは従来の “地域の秩序を乱すもの” として 米国が中国を牽制していますが、これはまだ決着がつかず 米中にらみ合いの状態が続いています。

中国軍は軍事的小競り合いを躊躇しない __ それは北の国境でソ連軍と、南の中印国境でインド軍と、そして米軍偵察機と中国戦闘機の接触があった中国沿岸での事件や、日本自衛隊艦船へのレーダー照射事件など、枚挙にいとまがないほどです。
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ウィキから__中華人民共和国とインドの国境問題により、1962年に中国人民解放軍がインドに侵攻し “中印国境紛争” が生じた。

1969年3月に中ソ国境問題をめぐって ウスリー江のダマンスキー島 (中華人民共和国側の呼称は珍宝島) で大規模な軍事衝突が発生し、中ソ国境紛争 “珍宝島事件” が勃発する。 8月にも新疆ウイグル自治区で衝突した。

2001年 中国南部を飛行していた米偵察機と中国の戦闘機が空中衝突事故を起こした。 偵察機は大きく損傷したが、海南島に緊急着陸することが出来た。 中国の戦闘機に搭乗していたパイロットは衝突後 行方不明になったのが “海南島事件”。

 “中国海軍レーダー照射事件” とは、2013年 東シナ海において中国人民解放軍海軍のフリゲート艦が、海上自衛隊の護衛艦に対して火器管制レーダー (射撃管制用レーダー) を照射した事件。
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中国は法治国家ではなく、人治国家であり、主席は選挙で選ばれるのではなく、中国共産党内部で (どのような仕組みかは不明ですが) 選ばれる国です。 この国はトップに共産党があり、その下に中国軍があり、国務大臣はさらにその下という構造になっています。

世界人口 70億の6分の1が中国人ですから、その中国人がどう動くかによる 世界への影響は間違いなく大きいといえますね。 近年 中国では外国旅行が自由化されましたが、他にもまだまだ色々な制限のある国であり、問題も多く抱えています。

鄧小平が掲げた経済優先は大いに効果を上げましたが、利益優先の風潮も産み出し、その結果 中国食品や雑貨の安全性に疑問を抱かせ、大気汚染・土壌汚染などの環境問題にも繋がっています。

利益のために 安全や環境が置き去りになっています。 このまま経済優先で2049年まで走り続けるとも思えませんが、そのなりふり構わない勢いはなかなか軌道修正されていないように思います。

外国に出た中国人が国内とは違う考えに接して どう意識を変えていくか、それによって34年後の 建国100年後の2049年の中国の風景はまた違ったものになるのではないでしょうか。 それを期待したいものです。

以上

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