原発の是非、論戦手探り 東海村議選に21人立候補
日本原子力発電東海第二発電所が立地する東海村の村議選(定数20)が17日告示され、現職15、新人6の計21人が立候補を届け出た。福島第一原発事故を受け、村上達也村長が「脱原発」方針を示す中、同発電所の再稼働の是非を巡り、各候補者は有権者の反応をうかがいながら手探りの選挙戦をスタートさせた。
党派別では民主1、公明2、共産2、無所属16。投票は22日に行われ、即日開票される。16日現在の有権者数は3万134人。
各候補者は届け出を済ませた後、選挙事務所などで出陣式を行った。原発推進派の現職男性は、約80人の支持者を前に「原子力は東海村の地場産業。福祉や教育に力を入れられるのは原子力のおかげ。原子力を推進し共存・共栄していくため、さらに原発の安全性を高め、安心を担保することが大事だ」と訴えた。
原発反対派の現職男性は、自宅前の第一声で「東海第二原発を再開することは、絶対に許してはならない」と強調。これまで一貫して原子力の危険性を訴え続け、「いまこそ脱原発の実現を!」と掲げた選挙カーに乗り込み、各地で精力的に街頭演説をこなした。
村上村長が応援に駆け付けた新人男性は「村民の避難先が確保できず、東海第二原発の再稼働は現実的に難しい」と主張。一方で「村は原子力で科学技術に貢献してきたプライドや誇りがあり、非常に悩ましい問題だ」と苦しい胸の内も明かした。村上村長は「原発をなくせば金はどうするのかと聞かれるが、古里をなくすかどうかの問題だ」と脱原発を呼びかけた。
村上村長はこの日、現職と新人の2陣営でマイクを握った。
東海第二発電所は東日本大震災で自動停止し、今年8月までの予定で定期検査が行われている。再稼動には地元自治体などの了解が必要で、今のところ見通しはたっていない。村上村長は原発周辺に人口が密集し、避難が困難なことなどを理由に昨年10月、細野原発相と面会し、同発電所の「廃炉」を提案した。
一方、村は2009年度予算の歳入約199億円のうち、原子力施設に関連する歳入が3分の1近くを占め、家族も含めると村人口の3分の1が原子力関連施設に関係しているとされる。
(2012年1月18日 読売新聞)