原発問題

原発事故によるさまざまな問題、ニュース

『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで ~病める自治体~> ※44回目の紹介

2016-08-31 22:26:41 | 【除染が続く福島での悲劇】

*『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。44回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介

第3章 復興が進まないワケ

 官庁不在

(前回からの続き)

 こうした前例のない事業に迅速に対応するため、2013年度補正予算で福島再生加速交付金で設けられた。2013年2月には復興庁の出先機関、福島復興再生総局が福島市に設置された。それまであった復興庁、環境省などの出先機関を統合し、縦割りによる弊害をなくすことを目的としていた。

 ところが、復興業務を加速させるためにできたはずのこの福島復興再生総局が、自治体にとって大きな関門となる。ある町の担当者は「福島再生加速化交付金には要綱にいろんなメニューがあるが、メニューにない『その他』について申請する場合は、説明を要求された。2013年5月までは霞が関の本庁とやり取りしていたが、再生総局に担当が変わってから、調整に時間がかかってあきらめた事業もある。権限は福島にあるはずなのに、本庁から問い合わせがあったり、プロセスが短くなるはずなのに、逆に関門が増えて時間をとったりしている。どうやら、復興予算が適正に使用されていないという批判があったので、審査が厳しくなったようだ。復興庁は査定官庁みたいになっている。

 ※「第3章 復興が進まないワケ「官庁不在」」は次回に続く

2016/9/1(木)22:00に投稿予定です。 

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


8月30日(火)のつぶやき

2016-08-31 02:24:57 | つぶやき

『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで ~病める自治体~> ※43回目の紹介

2016-08-30 22:25:43 | 【除染が続く福島での悲劇】

*『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。43回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介

第3章 復興が進まないワケ

 官庁不在

 宮城、岩手県に比べ、福島県の復興事業は大きく遅れている。除染の遅れが一因であることは明らかだが、それ以外にも原因はある。あらゆる復興事業はほとんどの場合、国の交付金によってまかなわれる。国の交付金として認定されるためには、国に提出する資料を作らなければならない。

 この書類作成作業は、人口わずか1万人足らずの自治体の職員にとって大きな負担となっている。地震や津波による被害復旧のためのインフラ事業などは、段取り、フォーマットなど、ある程度形式に沿って、進めていけばよい。

 だが、原発災害によいては、全く前例のないところから始めなければならないため、時間がかかるという。

 たとえば、ネズミの駆除だ。避難指示区域の住宅は数年以上も人が住まないまま放置されているため、ねずみに荒らされて痛んでいる。住民からなんとかしてほしいという要望が多く寄せられるため、自治体は国に交付金の申請を求めるが、ネズミの駆除のために使える交付金など、過去に前例がない。

 このほか、住民が一時帰宅に使用する仮設トイレの設置、飲用水確保のための井戸の採掘など、これまでの災害復旧事業で行われたことのない事業が次々と必要になってくる。こうした事業は、スキーム作りを一から始めなければならない。

 ※「第3章 復興が進まないワケ「官庁不在」」は次回に続く

2016/8/31(水)22:00に投稿予定です。 

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


8月29日(月)のつぶやき

2016-08-30 02:24:04 | つぶやき

『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで ~病める自治体~> ※42回目の紹介

2016-08-29 22:17:48 | 【除染が続く福島での悲劇】

*『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。42回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介

第3章 復興が進まないワケ

 病める自治体

(前回の続き)

 職員自身も被災者であり、ただでさえ心労を抱えているのに、仕事でも大きなストレスが重なり、精神的に追い込まれていくというのだ。

 自治労福島県本部幹部は「住民から文句や突き上げがあって、『間違いなく人の役にたっているのだろうか、住民のためになるのだろうか』と思い詰めてしまい、公務員としてのポリシーがぶれてしまっている」と分析する。「帰町判断時に、一気に退職者が出てくるのではないか」と懸念している。

 そうかといって、簡単に職員の数を増やせるものでもない。そもそも原発事故前、多くの自治体は国による定員管理計画に従って、職員の数を減らしてきた。国の計画をクリアするため、新採用を行わず、段階的に職員数を減らし、ギリギリの人数でやっていた最中に原発事故が起きた。

 ある町の担当者は「原発事故前は8人いた部署が原発事故後、5人でやりくりしているというケースもある。だが、財政の見通しが不透明な中で、通常採用の人数は増やせない」と言う。別の町の担当者も「先が見えない中で、職員の確保はできない。復旧業務もずっとつづくわけではないし、退避している住民がどのぐらい町に戻ってくるのか見通せず、将来的に何人の人口規模になるのかわからない。将来の町の規模を考えると、人件費が膨大になってまうと問題だ。今少ないからといって増やして、10年後20年後、退職しれとは言えない」と言う。

 ※次回は「第3章 復興が進まないワケ「官庁不在」」

2016/8/30(火)22:00に投稿予定です。 

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


8月28日(日)のつぶやき

2016-08-29 02:25:56 | つぶやき

8月27日(土)のつぶやき

2016-08-28 02:27:08 | つぶやき

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2016-08-27 02:25:55 | つぶやき

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2016-08-26 02:23:21 | つぶやき

『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで ~病める自治体~> ※41回目の紹介

2016-08-25 22:09:37 | 【除染が続く福島での悲劇】

*『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。41回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

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第3章 復興が進まないワケ

 病める自治体

(前回の続き)

 復興作業に加え、通常業務も当たり前にやらなければならない。だが、通常業務も原発事故前と比べ、作業量が増えている。まず、役所自体が避難先の仮庁舎で業務を行っており、前年度の資料がなく、以前どうやっていたのかわからないことが多く、土台作りから始めないとならない。会議一つ行うのも一苦労だ。

 まずは、場所取り作業。

 たとえば、住民向けの説明会を開催するにしても、会場として使える場所がどこにあるのか、探す作業から始まる。原発事故前であれば、自治体内の公共施設など、普段使用している自前の施設をおさえればよかったが、避難先のため、開催場所の手当をつけなければならない。すんなり見つかればよいが、駐車場がない、人数が入りきらないなど、なかなかうまくいかなことが多い。会場のセッティングからして手間が増えている。

 さらに、原発事故前であれば地域単位で1回ずつ開催すればよかったものを、住民の避難先が複数の市町村に分散しているため、避難先ごとに複数回開催しなければならない。もちろん、会議には何人かの職員が同席するため。往復の時間を含め、拘束されることになる。(中略)

 原発事故後、苦情を寄せる住民が増えた。仮設住宅など避難先での生活の不便を訴える内容、避難元の自宅がネズミやイノシシで荒らされ、対応を求めるもの、放射線の影響への疑問、除染を進捗状況に対する不満、東電の賠償への憤り、いつになったら元の生活に戻れるのかという不安の声、住民向けの説明会や日々役所にかかってくる電話など、様々な場面でこうした対応に追われている。住民自身も避難生活でストレスがたまっており、やり場のない思いを役所の職員にぶつけるケースも多いという。

 ※「第3章 復興が進まないワケ「病める自治体」」は次回に続く

2016/8/29(月)22:00に投稿予定です。 

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


8月24日(水)のつぶやき

2016-08-25 02:25:40 | つぶやき

『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで ~病める自治体~> ※40回目の紹介

2016-08-24 22:24:55 | 【除染が続く福島での悲劇】

*『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。40回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

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第3章 復興が進まないワケ

 病める自治体

 原発事故後、原発被災自治体では業務量が膨大に増えた。
 
 まず、復興業務にかなりの人員、労力をを割かなければならない。原発事故後、「放射線対策課」、「生活支援課」、「復興推進課」など、多くの自治体が新しい課を立ち上げた。被災した道路、農業施設の復旧、避難者支援のケア。どれも原発事故前には存在しなかった業務ばかりだ。住民からは、「原発事故前に住んでいた家が、ネズミだらけになった」、「家の解体費用を個人で負担できないので、町で解体してほしい」など、様々な要望が寄せられる。

 復興業務はマニュアルがない作業のため、まず調べるところから始まる。除染、住民の放射線管理、避難先でのコミュニティー問題、帰還に向けた復興計画の策定、すべてが何もないとこからのスタートだ。マニュアルに則ってこなせばよい作業は何もない。それもそも地方自治体の業務の多くは、前例を踏襲しながら引き継がれる事務作業だ。何年も繰り返されてきた作業を、前任者から引き継いだことを基本に行うのが通例だ。もちろん、町づくり計画など新しい企画をねることもあるが、ゼロからスタートしてマニュアルから作り上げる作業には慣れていない。

 ※「第3章 復興が進まないワケ「病める自治体」」は次回に続く

2016/8/25(木)22:00に投稿予定です。 

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


8月23日(火)のつぶやき

2016-08-24 02:25:09 | つぶやき

『除染が続く福島での悲劇』<リンゴが腐るまで ~三流官庁~> ※39回目の紹介

2016-08-23 22:37:28 | 【除染が続く福島での悲劇】

*『リンゴが腐るまで著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。39回目の紹介

『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-

著者 笹子美奈子

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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介

第3章 復興が進まないワケ

三流官庁

「国交省だったら、じゃあ何メートルにしましょうと即答する。環境省は規制官庁でこういった作業に慣れていないんでしょう。当事者意識がない。あらゆることがこんな感じだ」と不満をもらす。「国交省が除染をやったらもっと早い。なぜ、国交省が除染を担当しなかったのか。除染が遅れているおは国のせいではない。環境省のせいだ」という。

 批判は、他省庁の官僚からも噴出している。

 福島県には2013年2月、復興庁の出先機関「福島復興再生総局」が作られ、経済産業省、農林水産省、国土交通省などから霞が関の官僚が出向し、常駐している。各種の事業が環境省の担当領域で頓挫し、玉突きで仕事が進まないのだ。ある官僚は「環境省の人たちはホッチキスで書類を止めているばっかりで何もしていない」とこぼす。

 自治体の除染担当者は、「最近になってようやく国交省からの出向組が環境省内で増えてきたが、環境省の前任者がやったことを今さらひっこめられなくて困っているようだ」と明かした。

 ※次回は「第3章 復興が進まないワケ「辞める自治体」」

2016/8/24(水)22:00に投稿予定です。 

リンゴが腐るまで 原発30km圏からの報告‐記者ノートから‐ (角川新書)


8月22日(月)のつぶやき

2016-08-23 02:26:09 | つぶやき