原発問題

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1/17 12/4流出の汚染水ストロンチウム濃度やっと発表 Sr-90が1億1000万Bq/L!

2012-01-17 12:31:04 | 未分類

1/17 12/4流出の汚染水ストロンチウム濃度やっと発表 Sr-90が1億1000万Bq/L!

3.11東日本大震災後の日本 http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-551.html より転載↓↓↓

12/4に蒸発濃縮装置から海に流出した150Lの汚染水については、「12/5 放射能汚染水(蒸発濃縮装置)から水漏れ発生!ストロンチウムはどれくらいある?」でご紹介しましたが、ストロンチウムを大量に含んでいることが予想されていました。12月時点では全β核種での発表でしたが、もれた汚染水のストロンチウム濃度が1/16にやっと東京電力から発表されました。今日はその話です。

この話題についてのこれまでの解説はこちらをお読み下さい。
12/5 放射能汚染水(蒸発濃縮装置)から水漏れ発生!ストロンチウムはどれくらいある?
汚染水処理装置における蒸発濃縮装置の位置づけと汚染水中のストロンチウムなどβ核種の量についての解説

12/6 福島第一原発の蒸発濃縮装置からの汚染水漏れの続報
どこからどのように流出したのか?の解説

12/7 蒸発濃縮装置からの海へのSrの流出量は150Lで260億Bq!
汚染水が海に流出が確定したことを東京電力が認めたことを受けての解説


まずは1/16に東京電力の発表したデータをご覧下さい。

1/16Sr1
(クリックで別画面に拡大)

蒸発濃縮装置から出た汚染水中のSr-89が49,000,000Bq/L、Sr-90が110,000,000Bq/Lとなっており、合計で159,000,000Bq/Lです。150Lとすると、約240億ベクレルになります。全β核種の約64%と、これまでの汚染水における全βに対するSr濃度の30%前後よりも高くなっています。ただ、全体の量としては「12/7 蒸発濃縮装置からの海へのSrの流出量は150Lで260億Bq!」でご紹介した見積もり(260億ベクレル)とほぼ同じです。

続いて、12/5と、12/10の近海におけるSr-90とSr-89の濃度についてです。

思い出して欲しいのですが、蒸発濃縮装置からの流出は12/4です。そして、次の日の12/5には下図のように海に流出してしまいました。下の図で、1番(①)の1-4号南放水口というのは、ちょうどこの蒸発濃縮装置からの排水路を通って海へ流出していった場所の近くです。Sr-89が140Bq/L、Sr-90が400Bq/Lでした。

この図は、東京電力の発表したSrの測定予定ポイントに今回の結果を記入して私が作ったものです。

1/16Sr2

それが、5日後の12/10には下の図のように、希釈されて広がって行っています。ここで検出されているSr-89やSr-90のデータは、沿岸についてはおそらく今回の流出だけによるものと考えていいと思います。ただ、15km沖合の6番(⑥)や7番(⑦)については、コンタンさんのブログを確認すると、10/10の測定でSr-90が0.03Bq/L(福島第一沖15km)、0.023Bq/L(福島第二沖15km)なので、それとほぼ変わらないレベルです。沖合3kmの3番(③)や4番(④)までは恐らく今回の流出の影響と思いますが、沖に向かって5日間でどこまで広がったのかは、判断が難しい所です。

1/16Sr3

どれくらい広がるかということについて、東京電力の報告書を見ておきましょう。12/8の暫定報告書(添付資料9)では次のような記述があります。

『排水路への漏えい量を150Lとすると、流出速度1L/分から漏えいの継続時間は2時間30分となる。福島第一周辺海域の沿岸流速は年平均で約10cm/秒とされていることから(福島第一7、8号機環境影響評価書より)、この時間に漏えい水は900m 先まで到達することになる。漏えい水が、海水中で幅10m、深さ1m で900m 先まで広がるとすると、150Lの漏えい水は9,000m3 の海水で1/60,000 に希釈されると考えられる。』

このスピードで均一に広がるわけではないので、単純計算はできませんが、2時間半で900mも広がり得るならば5日間もあれば15km南に達するのは充分に可能だと思います。データから見ると、5日間で沖合3kmにまでは拡散したようです。

念のため、Csのデータも含めて表を載せておきます。まず、この下の表は、1-4号南放水口のデータです。

これを見て改めて気になったのは、Cs-134とCs-137のデータの動きです。今回の汚染水は、Cs-137やCs-134はほとんど含まれていません。先ほどの表でも、1/10000程度の量です。従って、12/5のCs-134やCs-137のデータがやや高いですが、これは今回の流出分を反映しているのではないと考えるのが妥当です。去年の流出した汚染水が結構しぶとく残っているのか、あるいは微量の放射能汚染水が漏れ続けているのかですね。

Sr-90も、12/5から12/10にかけて大きく減っています。12/17以降のデータはありませんが、その後の全β核種はほとんど減っていないことから、この地点では12/17や12/24でもSr-90やSr-89は12/10と同程度の濃度で残っていると考えられます。

1/16Sr4
(クリックで別画面に拡大)

下の表は、12/10の5,6号放水口北、福島第一(1F)沖15km、福島第二(2F)沖15kmのデータです。5,6号放水口北は、1月の今もCs-134とCs-137が微妙にこの程度の量は検出されていますので、これは今回の流出とは別のセシウムだと思います。

1/16Sr5
(クリックで別画面に拡大)

下の表は、同じく12/10ですが、請戸川沖合3km、1F沖合3km、2F沖合3km、1F沖合8kmのデータです。1F3km以外はSr-90以外の核種は検出されていません。

1/16Sr6
(クリックで別画面に拡大)

やっとストロンチウムの濃度が出たというところでしょうか。いつまでたっても結果が出てこないので、東京電力は測定せずに済ませようとしているのかと思いかけていたところでした。本当にストロンチウムの測定には時間がかかりますね。今後も東京電力には定期的にSrの測定もしてもらいたいものです。

1/15 NHKスペシャル 知られざる放射能汚染~海からの緊急報告~を見て

2012-01-17 12:29:04 | 未分類

1/15 NHKスペシャル 知られざる放射能汚染~海からの緊急報告~を見て

3.11東日本大震災後の日本 http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-550.htmlより転載↓↓

今夜のNHKスペシャル、「知られざる放射能汚染~海からの緊急報告~」は非常にいいものでした。見逃した方は、ぜひ再放送か、NHKオンデマンドなどで見てください。

1/16追記:再放送の予定があるそうです。見逃した方は是非今度は予約するか見てください。教えてくれた方々、ありがとうございました。
2012年1月19日(木)  午前0時15分~1時04分 総合 (18日深夜)
シリーズ原発危機 知られざる放射能汚染 ~海からの緊急報告~
初回放送 2012年1月15日(日)


今回の話は、11月のETV特集(「11/28 文科省が発表した最新の海底土のデータ+ETV特集の解説」で紹介済み)の続きのような所もありましたが、海洋汚染、湖沼の汚染、東京湾と川の汚染について3つのパートで説明していました。

簡単に内容を紹介します。取り急ぎ画面ショットを貼り付けておきますが、問題があれば画像は消すかもしれませんのでそのつもりでお願いします。なお、数値などは番組を見ながらメモしたものを元に書いていますが、一部細かい所で間違っているかもしれません。スピード重視(番組終了:21:54、ブログ更新:23:45)で書きましたので、そこはご了承下さい。


1.海洋汚染について

11月に東京海洋大学の神田教授、石丸教授と一緒に原発の20km以内の海域の調査を始めて行いました。調査願いを出して3ヶ月かかったそうです。主に海底土の汚染具合の調査を行いました。半径20kmの海域を、5kmごとに調査を行いました。

原発の港湾入口の海底土を調査した所、4520Bq/kgのセシウムが観測されました。ここの海水の15000倍もの汚染です。今はもう海水の汚染はそれほどではないのですが、海底土の汚染がどうなっているのかを調べました。

その結果、やはり原発近くが一番高く、南側に広がっていましたが、セシウムの量が高い地点はまだらに広がっていました。ここでいうセシウムはCs-137とCs-134の合計だと思うのですが、そこは確認できませんでした。

1_海底土20km

次に、福島第一原発の南東約20kmの漁場で調べた所、海底土のセシウムが304Bq/kg、海底にいるゴカイが130Bq/kg、それを食べるナメタガレイが316Bq/kgというデータが得られ、底魚では、海底土とほぼ同じ程度のセシウムで汚染されていることが今回初めてわかりました。
2_海底土ゴカイ魚

前回のETV特集でも出てきましたが、川から流れてきた水は、地球の自転とか密度差の問題から、南に流れていく性質があるそうです。従って、沿岸では海底土の汚染も南に向かっていくのではないか、と考えられました。
沿岸流

そう思って茨城県の沿岸を南にずっと調査しました。この調査には、いつもの岡野先生の開発した特殊な機械を用いています。この機械を用いると、その場で海底土の放射能濃度もだいたい測定できるのです。

その結果、高萩沖(原発から80km)の岩場の堅い地質の所では30Bq/kg前後で低かったのですが、もっと南のひたちなか市(原発から120km)では、海底に泥がたまっているため、高い(380Bq/kg)濃度の海底土のセシウムが検出されました。

また、11月のETV特集において38Bq/kgだった銚子沖では、2ヶ月後に測定した今回は112Bq//kgと3倍近くに増加していました。

茨城沿岸

2.湖沼の汚染について

群馬県赤城大沼のワカサギから、8月に640Bq/kgのセシウムが検出されました。その原因を調査していくと、この赤城大沼はまわりの山から川の流れで雨水が流れ込んでくるだけで、出て行く河川は沼尾川だけでした。そのため、赤城大沼の湖沼には、20cmの深さにまでセシウムがたまっており、950Bq/kgのセシウムが湖底の泥から検出されました。

群馬県水産試験場の鈴木さんと一緒に調べた所、プランクトンは296Bq/kgでした。このプランクトンの寿命は数週間しかありませんので、9ヶ月経ってもプランクトンに汚染が出るということは、セシウム汚染がすでに湖沼の中で循環していることを示しています。

つまり、下の図のように、まわりの山や川から流れ込んだセシウムが湖底の泥としてたまり、それをプランクトンが吸収し、プランクトンを食べるワカサギやイワナ、ウグイなどに汚染が進むということなのです。死んだ魚はまた湖底に沈み、分解されてまたセシウムの循環サイクルを続けていきます。
湖沼の汚染

おそらく、赤城大沼のように水の循環があまり多くない所では、湖底の泥にセシウムの汚染がたまってしまった以上、この泥を取り除くことをしない限り、10年の単位で汚染は続くのではないかとこれを見て考えました。

番組では、チェルノブイリの時のデータを示してくれていました。ロシアの国立放射線監視センターのデータを示してくれています。ここでは、25年にわたって、毎週淡水魚を採取し、その放射能汚染のデータを蓄積し続けている世界で唯一の場所だそうです。

それによると、当初100000Bq/kg程度あった魚のセシウム(これはCs-137です)は、5年間で1/100程度にまではさがりましたが、その後はほとんど下がらず、20年以上経ってもあまり変わらない数値になっています。おそらくもうこのあとはCs-137の半減期の30年の単位でしか減少していかないでしょう。
チェルノブイリ魚データ

このことから考えても、淡水魚の汚染は海のように循環が少ないこともあり、長く続く可能性があります。ただ、チェルノブイリのデータをみても、当初の5年間で1/100程度に低下しています。赤城大沼のワカサギも、現在が仮に1000Bq/kgであっても、数年経てばCs-137だけでも1/100として10Bq/kg程度になる可能性があります。また、Cs-134は、半減期が2年ですのでもっと早く減少するはずです。

3.東京湾の汚染と川の汚染

8月から2ヶ月かけて、近畿大学山崎教授と一緒に東京湾の海底土の調査を行いました。水深10m程度の泥を26ヶ所調査した所、多くの場所では100Bq/kg以下でしたが、驚くべきことに江戸川と荒川の河口付近が非常に高く、872Bq/kgものセシウムが検出されました。
東京湾海底

これは、江戸川や荒川から流れてきたものと考えられました。

東大の鯉渕専任講師は、江戸川の川底の泥のセシウム汚染を調査しています。鯉渕さんによると、川の下流は潮汐によって海水と混じり合うため、塩分を含んでいます。ただし、海水の方が塩分を含んでいて密度が高いために重く、完全には混じり合いません。シミュレーションを見せてくれていましたが、川の淡水に含まれて流されてきた泥は、海水と混ざり合う際に塩分の影響で「凝集」という状態になります。つまり、泥がだんごのようにくっついて小さなかたまりになって下に落ちていくのだそうです。
凝集

鯉渕さんの調査によると、河口から8kmのポイントが一番汚染が高く、1623Bq/kgもの汚染がありました。河口が872Bq/kgですから、その2倍です。
江戸川

このようなことは他の川でも起こっているはずです。

京大防災研究所の山敷研究室のシミュレーションによると、平地から川を通じて東京湾に流れてくるセシウムは、まず6ヶ月で川に移動するそうです。そして東京湾のセシウムが最大になるのは2年2ヶ月後だそうです。東京湾はかなり奥まっていて拡散しにくいので、この汚染は10年以上続くということでした。
シミュレーション1

そして東京湾のセシウムが最大になるのは2年2ヶ月後だそうです。東京湾はかなり奥まっていて拡散しにくいので、この汚染は10年以上続くということでした。
シミュレーション2

今回のまとめです。

まとめ2

1.海底土の汚染の調査の結果、泥の動きに従って海底の汚染は移動することがわかってきた。これが陸上の汚染との大きな違いである。

2.これまであまり調査されていない湖沼の汚染も進んでいる。特に水の循環のあまりない湖沼では、一度汚染されるとその汚染が長期間続く可能性が高い。

3.東京湾も、江戸川下流からくる泥によって江戸川河口付近が汚染されている。シミュレーションによると、2年後くらいが汚染のピークで、その後も10年近く汚染は続く。

いろいろと考えさせられる番組でしたが、これまで国が行ってこなかった調査を行ってくれていて、いい番組だと思いました。

12月、海へ流出の汚染水 ストロンチウム240億ベクレルなど 一部海に流出、汚染水濃度は366万倍

2012-01-17 12:08:44 | 未分類

12月、海へ流出の汚染水 ストロンチウム240億ベクレルなど 東電は環境への影響はないと説明 意味は不明

 去年12月、東京電力・福島第一原発の汚染水処理施設から海に汚染水が流出した問題で、東京電力は漏れた水の放射性物質の濃度は最も高いもので法律で定められた366万倍に上るという分析結果を発表しました。

 この問題は去年の12月4日、東京電力・福島第一原発の汚染水処理施設で水漏れが見つかり、放射性ストロンチウムを含む汚染水およそ45トンが漏れたうえ、その一部の150リットルが海に流出したものです。

 東京電力が汚染水を分析した結果、ストロンチウム90は法律で定められた濃度のおよそ366万倍の1リットルあたり1億1000万ベクレル、ストロンチウム89はおよそ16万倍の4900万ベクレル、セシウム134はおよそ200倍の1万2000ベクレルだったということです。ただ、福島第一原発の沖合15キロの地点ではほぼ検出見解値未満になっており、東京電力では環境への影響はほとんどないと説明しています。

 また、東京電力はこうした汚染水の海への流出を防ぐための「遮水壁」の設置工事を進めていて、16日、海中に沈んだがれきを撤去する作業の様子を公開しました。重機を運び込むため海に設置された防水フェンスを開けましたが、東京電力によりますと海水のモニタリング結果に大きな変動はないということです。(17日00:31)

一部海に流出、汚染水濃度は366万倍
TBSニュース 2012.1.17

http://nanohana.me/?p=11217