原発問題

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『世界が見た福島原発災害』第3章 NRC秘密報告 ※4回目の紹介 <大きなダメージが起きうる>

2015-08-25 22:12:18 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第3章 NRC秘密報告」を複数回に分け紹介します。4回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「暴露された「フクシマの真実」の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第3章 NRC秘密報告 ※3回目の紹介 <大きなダメージが起きうる>

 そして報告書は、「使用済み核燃料プール」(複数形)に、これまで想定している以上の損傷が起きているかもしれない、との不吉な判断を示してもいる。

 「炉」及び「プール」の危機的な状況を描き出した報告書は、NRCとしての日本政府に対する「勧告」も記している。勧告は2つ。

 ①格納容器内への窒素ガスの注入で、爆発を引き起こしかねない酸素と水素を追い出す、②炉心の「臨界」ー連鎖反応を抑えこむために冷却水にボロン(ホウ素。非常に大きな中性子吸収断面積を持つ)を注入する。

 この、すでに(遅くとも)3月26日時点で行われたNRCの勧告に従い、東電が最も危機的な「1号炉」に対し、窒素注入を開始したのは、4月6日夜のこと。

 これひとつとってみても、NRC秘密報告書の信憑性と、それが描く「フクシマの真実」の危機的な姿が納得できる。

 さて、このNRC秘密報告書を実際に執筆したのは日本に派遣されたNRCの「原子炉安全チーム」の専門家たちだ。報告書によれば、米エネルギー省、GE、米国の非営利団体である「電力研究所」など関係機関からの情報も参考にして、まとめたものだという。

 ここで1点、注意しておかねばならないのは、こうした関係機関の中に、「日本原子力産業協会」が含まれることだ。

 この社団法人には業界・学会のトップが名を連ねている。原産協会がNRCのチームの情報源のひとつだとすると、「フクシマの真実」を早いうちから知っていた可能性がある・・・・。

 以上が、ニューヨーク・タイムズがスクープ報道した「NRCフクシマ秘密報告書」の中身だが、内容紹介を敢えて過去形ではなく現在形で書いたのはもちろん、これが現在も進行中のことであるからだ。

 しかし、それは未来においても続いていくことである。状況がさらに悪化することも否定できない「現在」が、この先、ずっと続いていく・・・。

 ニューヨーク・タイムズは、この米原子力規制委「秘密報告書」に対する、「憂慮する科学者たち」のデイビッド・ロクバウム博士のコメントを載せている。

 日本でも使われているGE社製原発の開発にもかつて携わったことのある原子力エンジニア出身の博士は、同紙に対して、こう語っていた。

 「私はこれまで、森を抜け出てはいないが、少なくとも森の外れにはいる、と考えていた。しかし、報告書はまったく違ったことを描き出している。状況はもっと悪いことを示している。このままでは、もっと大きなかたちでダメージが起き得る」

 博士は「森」のメタファーで、現在進行中の「フクシマの危機」を語っているが、この場合の「森」は、命を育てる、緑ゆたかな恵みの森ではなく、「死の灰」という名の悪魔が潜む恐ろしい「森」のことだ。

 博士の言うように、私たちは「フクシマ」という、世界で最も危険な「核の森」の奥で、迷い続けているのだ。どこに出口があるか、いつ出口を見つけられるか判らない状態で、迷い続けているのだ。どこに出口があるか、いつ出口を見つけられるかわからない状態で、さ迷い続けているのだ。

 そして今、その「核の森」のあちこちでウラニウムが、プルトニウムが燃えている。燃えて蒸気とともに死の灰を噴き上げている。プルトニウムさえ飛ばしている。放射能の汚水を大量に垂れ流している。

 「フクシマ」という「核の森」が、いつ何時、一気に燃え上がりかねない状況の中で、私たちは生きて行かねばならないのである。

第3章 NRC秘密報告」の紹介は本日で終了します。

引き続き『被爆医師のヒロシマ』著者:肥田瞬太郎 の紹介を始めます。8/26(水)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 

被爆医師のヒロシマ―21世紀を生きる君たちに


『世界が見た福島原発災害』第3章 NRC秘密報告 ※3回目の紹介 <大きなダメージが起きうる>

2015-08-24 22:08:25 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第3章 NRC秘密報告」を複数回に分け紹介します。3回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「暴露された「フクシマの真実」の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第3章 NRC秘密報告 ※2回目の紹介 <暴露された「フクシマの真実」>

 「もっと大きなかたちでダメージが起きうる」

 報告書は、核燃料の高熱化と溶解が続けば、溶融放射性物質のかたまりが長期間にわたってなくならず、放射性物質の放出を続けることもあり得る、と警告している。

 これは「放射能雲」の発生が今後とも「長期間にわたって」続いて行くことを意味する。破砕しなくても、爆発しなくても、外部に漏出しなくても、「溶融放射性物質のかたまり」は放射性物質の放出を続けて止まないわけである。

 NRCの「福島秘密報告書」はまた、冷却システムが機能していないところで、核燃料に水を際限なく注入し続けられるものかーという新たな問題を提起している。

 専門家たちによれば、日本としては原発が安定化するまで今後、長い時間(月単位)わたって核燃料を冷やし続ける必要があるが、核燃料に水をポンプで注入し続けることは、原子力産業にとって、まったく新しい挑戦分野であり、その理解はようやくについたばかりである、とも指摘している。

 つまり、核燃料に注水し続けたらどんなことになるか、わかっていない! そう専門家が言っている!

 専門家たちは、ただ単に「わかりません」と告白しているわけではないのだ。まったく新しい、未知の領域に、いったい何が待ち受けているのか、と危ぶんでいるのだ。

 米原子力規制委の「秘密報告書」はさらに、「使用済み核燃料プール」から、核燃料の破片・粒子が「最大1マイル(1・6キロ)先まで吹き飛んだほか、2つの号機の間に降下しており、現場の作業員を被曝から防護するため、ブルドーザーで(表土を)除去しなければならない事態になっている」ことを示唆している。

 タイムズの原文によると、「使用済み核燃料プール」は複数形。ということは、3号機と4号機の「プール」の使用済み燃料が水素爆発の際、飛散した可能性が強いが、報告書は「4号機」の「使用済み燃料プール」で、「主要発生源放出」と呼ばれる、環境に大量の放射性物質が撒き散らされる現象が起きた、と推測している。

 それにしても、核燃料の破片・粒子が1・6キロ先まで、吹き飛んだというのだから恐ろしい。


 3号機と4号機は並んでいるから、「2つの号機」とは恐らく、この2つを指すはずだ、この中間地帯の地面はつまり、放射性汚染地帯と化したわけだ。

 ただし報告書は、この飛散について、ひとつの号機水素爆発に伴うものかも知れない、との見方も示している。

続き第3章 NRC秘密報告」<大きなダメージが起きうる>は、8/25(火)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第3章 NRC秘密報告 ※2回目の紹介 <暴露された「フクシマの真実」>

2015-08-21 22:23:52 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第3章 NRC秘密報告」を複数回に分け紹介します。2回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「暴露された「フクシマの真実」の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第3章 NRC秘密報告 ※1回目の紹介 <暴露された「フクシマの真実」>

  日本のメディアもワシントン特派員電で紹介していたが、ほんのさわりの部分だけで、同紙のスクープの全容が報じられることはなかった。

 「フクシマ」とは何だったか? 「NRCフクシマ秘密報告」の内容を詳しく紹介しよう。

 記事の書き出し、いわゆる本記はこうである。

 NRCがまとめた秘密の調査報告によると、危機に立つ日本を支援するために派遣された米政府のエンジニアたちは、事故を起こした原発が、今後、再限なく続きかねない、一連の新たな脅威に直面しており、そのいくつかにおいては、これまで原子炉を安定させようと採られて来た手段そのものによって脅威が増大すると見込まれるーと警告している。

 「今後、再現なく続きかねない、一連の新たな脅威に直面している状況」「(これまで東電がとって来た)安定化策が裏目に出かねない状況」ーこれが当時の、今に続く「フクシマの真実」の姿だった。

 記事の内容ー本文の部分を、最初から順に見て行くことにしよう。

 同紙が、NRC報告書の指摘する「一連の新たな脅威」のひとつとして挙げているのは、「放射性の冷却水で満たされたことで格納容器に対するストレスが増し、余震による破砕に対し、より脆弱になっている」ことである。

 「フクシマ」では炉心の溶融の進行を食い止めるため、大量の水の注入が続けられたが、これは、その注入水が余震の際、格納容器を破砕しかねない、という警告である。

 「前文」に書かれた、「安定策」が脅威を増大させかねない、とはこのことを指しているのである。

 「フクシマ」はこの時点で、こうした新たな危機の前に立っていた・・・。

 NRC報告書が指摘する、2番目の脅威もまた、注入された海水によるものだ。注入された「海水から発生した水素と酸素により、格納容器内で爆発が起きる可能性」が出てきていたのだ。炉心からの放射線によって水の分子が2つに割れ、水素を生み出している可能性が出てきているわけだ。

 同紙によれば、この水素の発生量については、少ないとする試算も出ているが、シカゴ・ノートルダム大学の物理学者、ラヴェルヌ氏は、少なくとも燃料棒の付近で水素はいま実際に生み出されている、その水素は酸素とともに反応しかねないものだー 「そうなると、燃料棒付近に爆発物の組み合わせが存在するということになる」ーと警告しているという。

 NRC報告書はさらに、注入された海水がもたらした、もうひとつの重大な脅威を指摘する。

 それは「塩」だ。注入された海水の残留塩が、半ば解した燃料棒とともに、いかに真水による炉心冷却を妨害しているか、詳しく報告している。炉心は塩と燃料棒の溶融物でグジャグジャになっており、真水の冷却水の通過を阻んでいる・・・。

続き第3章 NRC秘密報告」<もっと大きなかたちでダメージが起きうる>は、8/24(月)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第3章 NRC秘密報告 ※1回目の紹介 <暴露された「フクシマの真実」>

2015-08-20 22:01:56 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第3章 NRC秘密報告」を複数回に分け紹介します。1回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「暴露された「フクシマの真実」の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※10回目の紹介 <「いま直ちに危険性はない」と言われたら>

 第3章 NRC秘密報告

 暴露された「フクシマの真実」

 米国の「原子力規制委員会(NRC)」は1974年、連邦議会による新法に基づき生まれた「独立機関」である。委員長は大統領に任命される。米政府のいかなる部門の干渉からもまぬかれた独立機関だ。

 日本の「原子力安全・保安院」が経済産業省内の組織であるのと、好対照を描く。

 正式な発足は75年1月。「人々と環境を守る」をモットーとするNRCは、商業用の原子力発電所、及び核燃料などの規制にあたり、査察活動にあたっている。アメリカの原発規制の、いわば総本山だ。

 その米国原子力規制委(NRC)の秘密報告書を、ニューヨーク・タイムズが暴露したのは、4月5日(米国時間)のことだ。米国の原発に関する秘密報告ではなかった。「東電福島第一原子力発電所」に関する秘密報告だった。

 なぜ、アメリカの監督機関が、日本の「フクシマ」について報告書をまとめていたか? (正確に言うと、当時、まとめており、今なお、まとめ続けているか?)

 それは、恐らく、「フクシマ」の原子炉がもともと米国GE(ゼネラル・エレクトリック)社製のものであり、それが事故を起こしたということは、米国内の同じ型の炉の事故につながりかねないものであることがひとつ。

 そして、「フクシマ」の事故が、米国あるいは世界全体の原子力産業に対して大きな影響を及ぼすものであることーの2つの理由によるものだろう。

 ニューヨーク・タイムズは、その3月26日付の秘密報告書を入手し、大々的に報じた。この3月26日付のものは、4月初めの「フクシマ」の状況を基本的に映しだすもので、同紙のこのスクープにより、世界はその時点における「フクシマの真実」を知ることになった。

 なぜ、NRCは「フクシマの真実」について秘密報告書をまとめ、それを随時、更新するようなことができたか?

 それはなにより、NRCが専門家のグループを東京に派遣し、日本政府・東電の支援にあたらせていたからである。その専門家グループから報告される「インサイダー情報」をもとに、日本の原産会議など関係機関からの情報も加味して、「フクシマ」で一体、何が起きているか、いわばリアルタイムでつかんでいたのだ。

 ニューヨーク・タイムズ紙のすっぱ抜きで、それが全部、いっぺんに公になった! 日本政府・東電が蓋していたものが、一度に明るみに出た! 4月5日(米国時間=日本時間では6日未明)は、つまり世界が「フクシマの真実」を初めて知った瞬間だった。

続き第3章 NRC秘密報告」<暴露された「フクシマの真実」>は、8/21(金)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※10回目の紹介 <「いま直ちに危険性はない」と言われたら>

2015-08-19 22:00:00 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。10回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※9回目の紹介 <国民を欺くNHKの飯舘報道>

  「いま直ちに危険性はない」と言われたら・・・

 3月25日、米国のワシントンで、「チェルノブイリ」事故の際、ゴルバチョフ書記長のアドバイザーを務め、被曝者のその後について追跡調査を続けている、ロシア科学アカデミー会員のアレクセイ・ヤブロコフ氏が記者会見した。

 日本の文科省が「直ちに退避が必要なレベルではない」と言った2日後のことである。会見の内容を紹介しよう。

 ヤブロコフ氏は「チェルノブイリ」事故はすでに2世代にわたって深刻な後遺症を残しており、影響は今後、最低でも5世代(合わせて7世代)にわたって続く、と警告。

 その上で「フクシマ」について、「我々はこれまで起きたことのない何ものかを目の当たりにし続けている」「日本における人的な犠牲者の数は(チェルノブイリ)をはるかに上回るものになり得る」と語った。

 理由についてヤブロコフ氏は、「フクシマ」の場合、①(1機だけが爆発したチェルノブイリと違って)複数の炉の多重事故であり、②それもプルトニウムを燃料とする炉を含んだ多重事故であり、③200キロ圏内に3000万人が生活する人口密集地域での多重事故であるーの3点を挙げた。

 ヤブロコフ氏はさらに、「フクシマの状況について、私は楽天的になれない。特に危険なのはプルトニウムが放出され、人体が呼吸で吸い込んだ時だ。高い可能性で癌を引き起こす」と警告。

 「フクシマ」の放射性物質の放出について、その深刻さを過小評価してはならない」として次のように語った。

 「もしも『いま直ちに危険はない』(と当局者が言うの)を聞いたら、なるべく遠くに、なるべく速く逃げなさい

 これは少なくとも、3月末段階の「飯舘村」をめぐる状況ではないか?

 20~30キロ避難圏で被災者が置かれた状況ではないか?

 「いま直ちに危険はない」ーこれは日本政府がこれまで繰り返し語って来た「直ちに健康被害はありません」と同じことだ。

 会見に同席した「ビヨンド・ニュークリア」の専門家、シンディー・フォルカーズさんは、「被曝に安全な基準」はないと語っていたが、「チェルノブイリ後の25年間」が辿った、これまでの経過は、「いま直ちに危険はない」がどれほど危険なものかを明確に示すものだろう。

 ヤブロコフ氏に従えば、こうなる。

 こんど枝野長官が「直ちに健康被害はありません」と言ったら、私たちとしては一目散に、安全な場所に逃げるのが最も懸命な策になるわけだ。

 とにかく逃げろーこのヤブロコフ氏の警告は、私たちにとって、とてつもなく重い。

 ヤブロコフ氏のワシントンでの会見は、記者との質疑応答のかたちで進められた。その模様を「Cスパン」のビデオで観ていたら、日本人とおぼしき記者が英語で質問を始めた。

 頼もしいな、と思いながら聞いているうちに気付いた。その記者は日本のメディアのワシントン特派員ではなかった。韓国人の記者だった。

第2章 飯舘村」の紹介は、本日で終了します。

引き続き第3章 NRC秘密報告」の紹介を始めます。8/20(木)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※9回目の紹介 <国民を欺くNHKの飯舘報道>

2015-08-18 22:08:54 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。9回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※8回目の紹介 <国民を欺くNHKの飯舘報道>

 IAEAという原子力の専門機関がいったん正式にプレス発表した(だからロイターなど外国のメディアもウィーン発で世界に報じた)ものが、こう簡単にひっくり返るものであれば、IAEAの名が泣くというもの。IAEAの事務局長をしている、日本の外交官出身の天野之弥氏の管理者責任も問われかねないものだ。

 さて、このIAEAの1日の「発表」について、ウィーン発の共同通信は、こう伝えている。

 国際原子力機関(IAEA)当局者は1日、福島第一原発の北西約40キロにある福島県飯舘村の土壌から検出された放射性ヨウ素131の値がIAEA独自の避難基準を上回ったと指摘したことについて、複数の測定値を分析した結果、平均値は避難基準を下回ったと明らかにした。・・・


 共同通信によれば、IAEAの当局者は、「複数の測定値を分析した結果、平均値は避難基準を下回っていた」と言っていただけのこと。つまり、「避難基準」を超える地点はなかった、とは言っていないのだ。避難基準を超える地点はあったかも知れないのだ。

 ウィーン発の共同電でますますハッキリしたのは、「避難基準を下回ったのは、あくまでも平均値」であることだ。このようなトリックめいた「発表」を、「IAEAの当局者」はどうしてこの時点で行ったのか? その当局者とは一体、何者なのか? 外国のメディアがこの「発表」を報じていないのに、NHKなど日本のメディアだけがなぜ、こうした情報操作まがいの「報道」に踏み切ったのか?ー

 これは報道のモラルの問題として、果たして許されることだろうか?

 NHKの報道を視聴した人は、あのIAEAの「避難基準超え」の発表はウソだったんだ、基準を下回っていたんだーと思い込んだに違いない。

 「避難が必要なレベルではない」が「避難基準超え」に変わり、すぐさま一点して「基準を下回る」に変わり、そしてその次に、11日のあの最終的な日本政府による「計画避難区域」設定のお達し。これは責任ある政府がとるべき態度ではないだろう。

 ドイツの作家、グードルン・パウゼヴァングの作品に『みえない雲』という小説がある。この「みえない雲」は邦訳(小学館文庫、高田ゆみ子訳)の題で、原題は、ただのDie Wolke(ドイツ語で「雲」の意)だが、「フクシマ」から放出されている「放射能雲」の表現としては、「みえない雲」の方が適切である。

 放射性のヨウ素もセシウムも見えないし、臭いもしないのだ。それが透明な気団として、襲い掛かり、降り積もる。「みえない死の灰」を運んで来て降らせる。「透明な放射能雲」・・・。

 グードルン・パウゼヴァングのこの小説は、2006年に映画化され、日本でも『みえない雲』の題で公開された。

 バイエルンでの原発事故を想定したこの映画の主人公は、「ヤンナ」(ハンナ)という女子高生である。その「ヤンナ」役を演じた、女優のパウラ・カレンベルクさんは、「チェルノブイリ」原発の事故の時、胎児だった。生まれてから、心臓に穴が開いていること、片方の肺がないことが分かった。

 「みえない雲」は、それほどまでに恐ろしいものなのだ。被曝の瞬間から、まさに「いま直ちに」未来に向かって、世代を超えて続いて行く恐ろしさなのだ。

※続き第2章 飯舘村<「いま直ちに危険はない」と言われたら>は、8/19(水)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※8回目の紹介 <国民を欺くNHKの飯舘報道>

2015-08-17 22:00:00 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。8回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※7回目の紹介 <IAEA勧告を無視した政府>

 国民を欺くNHKの飯舘報道

 こうした状況にありながら、ここで実に奇妙なことが起こる。4月2日のこと。日本のメディアが突如、こんな「ニュース」を流したのだ。

 NHKの「ニュース」サイトに掲載された、「4月2日付のニュース」は、以下の通りである。全文を引用する。

 IAEA 飯舘村は基準下回る

 福島県飯舘村で、IAEA=国際原子力機関の避難勧告の基準を超える放射性物質が検出された問題で、IAEAは1日、その後の分析では、放射性物質の濃度が避難勧告の基準を下回ったと発表しました。

 この問題は、福島第一原子力発電所から北西におよそ40キロ離れた飯舘村で、日本側が測定した土壌のデータをIAEAが独自に分析したところ、IAEAが避難を勧告する基準の2倍に当たる1平方メートル当たり、2000万ベクレルの放射性ヨウ素131の値が確認されたものです。

 これについて、IAEAは1日、さらに分析を行った結果を公表しました。
 それによりますと、飯舘村で日本側が先月19日から29日の間に15回にわたって測定した土壌データを詳しく分析したところ、ヨウ素131の平均値は、1平方メートル当たり700万ベクレルで、避難勧告の基準を下回っていたということです。

 これについて、IAEAでは「放射性物質の濃度は、福島第一原発の今後の状況や、風向きや雨など気象条件によって、変化する可能性がある」として、土壌などのデータの推移を注視するよう、日本政府に対して求めています。


 前に紹介した前日、4月1日のNHKのニュースと比べていただきたい。

 1日の記事では「・・・先月30日、日本側が土壌に含まれる放射性物質を分析したところ、1平方メートル当たり2000万ベクレルの値でヨウ素131が検出されたということです」となっていた。

 ところが、一夜明けた2日のこの日のニュースでは、「・・・飯舘村で、日本側が測定した土壌のデータをIAEAが独自に分析したところ、IAEAが避難を勧告する基準の2倍に当たる1平方メートル当たり、2000万ベクレルの放射性ヨウ素131の値が確認されたものです」に変わっている。

 「日本側が分析した」が「日本側の測定したデータをIAEAが独自に分析した」にすり変わっているのだ。まるで、IAEAの分析が間違っていただけと言いたそうな・・・

 そうした上で「一夜明けた」2日のNHKのニュースは、こう高らかに宣言する。「これについて、IAEAは1日、さらに分析を行った結果を公表しました。それによりますと、飯舘村で日本側が先月19日から29日の間に15回にわたって測定した土壌データを詳しく分析したところ、ヨウ素131の平均値は、1平方メートル当たり700万ベクレルで、避難勧告の基準を下回っていたということです」

 IAEAはこれを「4月1日」に「発表」したわけだから、前回の「避難基準超え」が発表された3月30日の「わずか2日後」である。

※続き第2章 飯舘村<国民を欺くNHKの飯舘報道>は、8/18(火)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※7回目の紹介 <IAEA勧告を無視した政府>

2015-08-12 22:00:00 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。7回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※6回目の紹介 <「政府から何の連絡もない」>

 IAEA勧告を無視した政府

 さて、こうした事態の推移の中で、「イイタテ」で動こうとしない日本政府を、世界はどう見ていたのか?

 ニューヨーク・タイムズは31日付で、米国の専門家、エドウィン・ライマン博士(「憂慮する科学者たち」の原発問題担当責任者)による、こんな警告を報じていた。

 ライマン博士は放射性物質の雲が風で流れていたとしたら、大量の汚染物質が雨によって一ヵ所に集中して落下していることもあり得ると述べ、「それだけの高濃度の汚染が特定の地区に濃縮してあったとしても驚くべきこととは思わない」と語った。博士はさらに、日本政府が半径30キロに設定した避難・退避圏を拡大すべきであると述べるとともに、IAEAに対して速やかな測定データの公開を求めた。IAEAでは現地での測定を3月18日から26日までの間に済ませていることを認めている。

 IAEAは18日から26日に現地で測定し、30日の前に、すでに結果がわかっていたはずだ・・・IAEAはなぜ早く発表しなかったのか?

 日本政府は避難圏を拡大しなければならない!

 ライマン博士は権威ある専門家だから、権威あるニューヨーク・タイムズがコメントを求めたのだ。その権威あるライマン博士が、日本政府は避難圏を拡大し、飯舘村の人達を避難させねばならない、と言ったのだ。

 つまり、そ知らぬ顔を決め込み、動こうとしない日本政府を非難していたわけだ。

 英国の「スカイ・テレビ」の報道はさらに手厳しく、直裁だった。

 「日本、国連の避難圏(勧告)を無視」

 なぜ、ここで「国連」が出てくるかというと、IAEA(国際原子力機関)とは、国連の機関であるからだ。日本はもちろん加盟国。「その日本政府が国連の機関であるIAEAの勧告を無視している・・・

 そう、その通りである。「この段階で世界はこう見ていたのである。IAEAはとにもかくにも、遅ればせながら、飯舘村の測定値を見て、日本政府に避難を勧告した。しかし、日本政府が勧告を無視した、と。

 スペインの最高級紙、「エル・パイス」も31日付で、IAEAが日本政府に「イイテタ」の人々を避難させるよう勧告した、と報じていたし、とくに環境問題では世界的な権威紙である英国のガーディアン紙も、環境団体「グリーンピース」の独自の現地測定結果を紹介し、日本政府に警告を発していた。

※続き第2章 飯舘村<国民を欺くNHKの飯舘報道>は、8/17(月)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※6回目の紹介 <「政府から何の連絡もない」>

2015-08-11 21:59:56 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。6回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※5回目の紹介 <避難基準を超えているとIAEAが会見>

 「政府から何の連絡もない」

 さて、NHKが2日遅れの「ニュース」を流した(そして、菅直人首相が新年度開始の記者会見をした)その日、英国の高級紙、インディペンデントに、こんな記事が出た。

 「フクシマ」の北西40キロで高濃度の放射性物質、セシウム137が検知された問題で、IAEAの専門家がすでに飯舘村の菅野村長に測定結果などのブリーフィングを行なっている、と報じたのだ。

 村のスポークスマンは「政府の指示を待っている。動けるまで動くことはできない。村民はもちろん不安がっている」と語った。


 4月1日の記事だから、前日の31日までに取材したレポートであろう。現地で測定にあたってIAEAの専門家たちは、飯舘村の当局に対して、IAEAとしての測定結果をーそれがIAEAの避難基準を大きく超えるものであることを、きちんと伝えたはずだ。そうでなければ、村のスポークスマンが「動けるまで動くことはできない」と言うはずがない。IAEAの専門家からはブリーフィングを受けているのに、東京の日本政府から何も言って来ない・・・。

 「飯舘村」はー「イイタテ」は、この時から「宙吊り」状態にされていたのだ。「計画避難説明会」で、東京から来た官房副長官に村人が怒りをぶるける素地は、この時から出来上がっていた。

 これに関して、文科省が「直ちに避難が必要でない」と言った23日の5日後、IAEAが「危険基準超」を発表した30日の2日前ー28日付、同じインディペンデント紙の「イイタテ」発の記事を見ておこう。

 飯舘村の村長はインディペンデントに対して、村が原発災害により、強風のため最悪の放射能汚染をしたことについて、日本政府から一言もなかったことを明らかにした。

 日本政府は保有する放射能拡散解析モデルの「SPEEDI」で汚染マップもデータも持っていた。それは飯舘村が原発から40キロ離れているにもかかわらず、この村に対して3月12日以降、高濃度の放射性物質が風に乗って到着していたことを示すものだった。「政府はどうして教えてくれなかったのか?と菅野村長は言った。「(政府は教えてくれないから)新聞を読まなくちゃならなかった」


 「イイタテ」の菅野典雄村長は怒っていたのだ。「イイタテ」が「フクシマ」で事故が起きた後、強い風下にあった時、日本政府から何の連絡もなかったと怒っていた。例の「SPEEDI」で知りながら。

 菅野村長は飯舘村で「までいライフ」を合言葉に村づくりを進めてきた人だ。「までい」とは福島弁で「心をこめて」という意味。

 東京の日本政府には、飯舘の村人を思う、「までい」なところはなかったのだ。「までい」さがあれば、「SPEEDI」の情報は、速やかに菅野村長のところに届けられていたことだろう。

※続き第2章 飯舘村<IAEA勧告を無視した政府>は、8/12(水)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※5回目の紹介 <避難基準を超えているとIAEAが会見>

2015-08-10 22:00:00 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。5回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※4回目の紹介 <避難基準を超えているとIAEAが会見>

 しかし、NHKニュースの、この「本記」に続く部分は、より注目に値する。「IAEAによりますと、福島第一原子力発電所の事故で、現場から北西におよそ40キロメートル離れた福島県飯舘村で、先月30日、日本側が土壌に含まれる放射性物質を分析したところ、1平方メートル当たり2000万ベクレルの値でヨウ素131が検出されたということです」

 NHKによれば、飯舘村で土壌に含まれる放射性物質を分析したのは、IAEAではなく、「日本側」だと言うのだ。しかも、分析したのは「30日」だと。

 IAEAでは、IAEA(の測定委員)が18日から26日の間に飯舘村などで測定活動を行い、その結果をもとに、フローリー氏が「3日」にプレス発表しているのに、このNHKの「日本側が」「30日に分析」はいったいどういうことなのか?

 このNHKの「4月1日」の「ニュース」で、「避難基準超え」への言及が出て来るのは、ようやく、このあと。

 「これを基に、IAEAが人体に与える影響の度合いについて調べたところ、IAEAが避難を促す基準の2倍に当たることが分かり、日本政府に対して状況に注視するように求めました」

 「まるで日本政府が状況を見守れば、それで済むような言い方。ロイター電が報じた、フローリー氏のアドバイスは「状況を注意深く評価する」ようーつまり「評価」するよう求めたものである。IAEAの避難基準の倍ですよ、主体的に「評価」してください、「避難判断」して下さい、と求めたのだ。

※続き第2章 飯舘村<「政府から何の連絡もない」>は、8/11(火)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※4回目の紹介 <避難基準を超えているとIAEAが会見>

2015-08-07 22:09:37 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。4回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※3回目の紹介 <屋内退避は意味がないと指摘>

 避難基準を超えているとIAEAが会見

 さて、本題の「飯舘村」に対する日本政府の対応ぶりを、海外メディアの報道と照らし合わせながら検証することにしよう。

 「飯舘村」の名が「フクシマ」報道に初めて登場したのは、3月23日のことである。文科省が20日に採取した土から、「キログラム当たりヨウ素117万ベクレル、セシウムを16万3000ベクレル」という「直ちに退避が必要なレベルではない」(文科省)放射性物質を検出したーと発表したことで「イイタテ」の名が全国に、いっぺんに広がった。そして、食品衛生法の暫定基準値を大きく上回る、汚染された野菜も確認されるなど、飯舘村は「フクシマ」の「ホットスポット」としての様相を一気に強めていく。

 飯舘村が「Iitate」として世界に知れ渡ったのは、1週間後、30日のことだった。ウィーン発のニュースが全世界を駆け巡った。

 ロイター電は、こう報じた。

 IAEA(国際原子力機関)のデニス・フローリー氏は30日の記者会見で、飯舘村について「私たちの最初の評価によると、IAEAの避難基準を超えている。状況を注意深く評価するよう日本側にアドバイスした」と語った。

 IAEAは飯舘村の汚染が避難基準を超えている、と断言していたのだ。

 IAEAが飯舘村を含む福島県内複数の自治体で測定したのは、18日から26日にかけてのこと。ちょうど文科省の測定時期と重なる。その文科省は「直ちに避難が必要なレベルではない」と言い、IAEAは「避難基準を超えている」と言う・・・。IAEAの発表にはしかも、飯舘村で検出された値は1平方メートル当たり2000万ベクレルを超え「IAEA基準の2倍」に相当するとの指摘もあった。

 文科省の発表からわずか1週間で、「避難の必要なし」が「避難基準超え」になってしまったわけだ。

 このIAEAの発表は、たとえばNHKではどう伝えられたか?

 NHKのサイトの「東電福島第一原発」で確認してみると、30日放送分にも、31日放送分にも出てこない。出てきたのは、4月1日になってから。

 それも、以下のような、焦点がどこにあるのかわからない報じ方だった。

 ニュースの「本記」、書き出しの部分は、「IAEA=国際原子力機関は、先月、福島県飯舘村でIAEAの避難基準を超える放射性物質が検出されたことについて、物質は放射性の「ヨウ素131」だったことを明らかにしました」。

 つまり、30日のウィーン発ロイター電が報じた、「飯舘村でIAEAの避難基準を超える放射性物質を確認」というニュースの本記が、なぜか「避難基準を超える補射精物質は(半減期が8日と短い)ヨウ素131だった」にすり代かえられているのだ。

※続き第2章 飯舘村<避難基準を超えているとIAEAが会見>は、8/10(月)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※3回目の紹介 <屋内退避は意味がないと指摘>

2015-08-06 22:00:00 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。3回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※2回目の紹介 <報じられなかった「避難説明会」>

屋内退避は意味がないとの指摘に首相しどろもどろ

 この「フクシマ」をめぐるNHKの報道姿勢に対する疑問、あるいは批判は、事故発生当時から続いているものだ。本章の主題である、「飯舘村」に対する日本政府のとんでもない対応を見る前に、もうひとつだけ実例をあげておこう。

 事故から3週間が過ぎた4月1日、首相官邸で菅直人首相による記者会見があり、NHKが実況中継した。年度初めの会見。首相発言のあと記者とのやりとりに入り、何人目かでフリーランスの畠山理仁氏が質問に立った。「20~30キロ圏」の屋内退避に関する、以下のような、実に的確な質問だった。


 ・・・IAEA、米国環境保護庁、フランス、欧州委員会の原子力事故に対する緊急事態対策マニュアルでは、木造建築物では外部被曝の低減はほとんど期待できないとなっています。また、吸入による内部被曝を低減する屋内退避についても、許容時間は48時間程度と制限しており、それ以降は事態の収拾により退避措置が解除されるか、退避が決定されるとしています。既に3週間が経ちますが、屋内退避圏には現在も2万人の方々が残っており、退避圏内であるがゆえに思うように物資も届かず、非常に不自由な暮らしをされています。それでもなお、内部被曝の低減も期待できない屋内退避が解除されない理由をお聞かせいただければと思います。

 これに対する菅首相の「答弁」は、官邸ホームページの記録で確認していただきたいが、首相が「答弁」し終わって間もなく、まだ質疑が続いているのに、NHKは慌しく実況中継を打ち切ったのである。

 畠山氏の明確な質問に対する、しどろもどろの首相の答弁ぶりを見て、これはいけないと思い、これ以上、国民に見せてはならない、聞かせてはならないと思って打ち切ったとしたなら、何のための公共放送なのか、何のための実況中継なのか、批判されても仕方なかろう。

※続き第2章 飯舘村は、8/7(金)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※2回目の紹介 <報じられなかった「避難説明会」>

2015-08-05 22:00:00 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。2回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村の紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※1回目の紹介 <ホットスポット>

 NHK全国ニュースで報じられなかった「飯舘村計画避難説明会」

 さて、その飯舘村で4月16日、政府の「計画的避難」説明会が開かれた。地元紙の『福島民友新聞』はその模様をこう報じている。

 政府の方針で村の当局が報道陣に退席を求めた(政府説明会を取材しようと駆けつけた報道陣を、政府は村の当局に命じて会場から締め出そうとした)。

 これに反発した村人たちが「公開」を求め、報道陣はそのまま取材を続けることが出来た(飯舘村の村人たちは、「報道の自由」を守ってくれたのだ)。

 同じく福島の地元紙、『福島民報』も、こう報じている。

 「冒頭、福山副長官の説明が終わった段階で、政府方針で村が報道陣を退出させようとすると、会場から『こういうことはオープンでやれよ』『生の声を聞いてもらえ』と怒号が飛び、急遽、すべて公開されることが決まる一幕もあった」

 『民友』によれば、福山哲郎官房副長官に、村のある農民はこう宣言した。「地域を守るため、絶対避難しない」

 『民報』によれば、「最大限の努力という言葉だけではだめだ」と村人は言った。

 結局、政府の「計画避難」の方針は、飯舘村の村民から拒絶されたわけだ。

 福島の準地元紙とも言うべき東北ブロック紙の河北新報(本社・仙台)も、説明会での、こんなシーンを報じている。

 「地域を守るために避難するつもりはない。罰則はあるのか」年配の男性が語気を荒らげた。福山副長官が「ありません」と答えると、男性はその後の言葉を遮り、会場を後にした。

 しかし、考えてみれば、こうなるのも当然のことだ。飯舘村は人口6000人の農村である。

 村人は土に生きてきた。土を耕し、家畜を飼い、作物を育てて生きて来た。土地を離れて生きて行けない人達なのだ。いきなり「計画避難」と言われ、同意できるわけがない。

 それでは、飯舘村での「計画避難説明会」を、公共放送であるNHKは、どう伝えたか?

 NHKのサイトでまず、当日の全国ニュース「原発関連情報」を覗き、チェックすることにした。

 ない、見当たらない・・・飯舘村での政府説明会は、NHKの全国ニュースとして全国に報じられていなかったのだ。

 そこで、NHKの福島放送局のサイトで検索してみたが、これもない。地元のことだから、少なくともローカル・ニュースにはなっているはず、と念のため、グーグルで検索したら、福島ローカルのニュースで流れていた。

 飯舘村民が官房副長官に要請 東京電力福島第一原子力発電所の事故で「計画的避難区域」に指定される見通しの福島県飯舘村で説明会が開かれ、住民側は出席した福山官房副長官に対して村に戻れるよう国が放射性物質を土壌から取り除いてほしいと要請しました。

 「民有」「民報」の記事にあるような「村民の激しい怒り」が伝わって来ないNHKローカルの「政府に要望ニュース」だが、これがなぜ、全国ニュースにならなかったか疑問は残る。飯舘村の放射能汚染及び計画避難は、平和な山村が「死の灰」を浴び、村民がまるごと土地を捨ててて脱出しなければならないという、瑞穂の国・日本の歴史始まって以来の、深刻かつ重大な問題である。

 地元のニュースとしては地域限定で辛うじて報じられたが、公共放送=NHKの全国ニュースでは報じられなかった「飯舘村計画避難説明会」。

 これまた「中央」と「現地」の「報道落差」を示す一例と言えるだろう。

※続き第2章 飯舘村は、8/6(木)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第2章 飯舘村 ※1回目の紹介 <ホットスポット>

2015-08-04 22:00:46 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第2章 飯舘村」を複数回に分け紹介します。1回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第2章 飯舘村の紹介

 第2章 飯舘村

 ホットスポット

 飯舘村は「フクシマ」の北西40キロ前後の距離に位置する。「フクシマ」発の「みえない放射能雲」は、この村を襲い、豊かな山村を放射能で汚染していた。

 「チェルノブイリ」でも見られた「ホットスポット」が、なぜか飛び石のように、この飯舘村に出現していたのだ。

 どうして、こうした「ホットスポット」の飛び地が、原発から離れた場所に生まれたのか?

 この問題について、東大名誉教授の西村肇氏が4月8日、都内のホテルで開いたプレゼンテーションで、「大気拡散モデル」を使い、概略以下のように解説している。

 西村氏の「大気拡散モデル」を使った解析は、「3月22日」に「フクシマ」から放出された「放射能雲」の拡散状況に限ったものだが、北西へ向かう風で運ばれた気団は、最も汚染濃度の高い最下部が40キロ前後離れた地点ーすなわち飯舘村で着地したと見られるという。

 その時の「放射能雲」の大きさは「幅2キロ、高さ200メートル」で、それが毎秒2メートルの速度で村を通過した。

 いったん「フクシマ」の上空200メートルまで立ち上がった「放射能雲」は、風で拡散しながら北西へ流され、飯舘村で地上に舞い降りていたわけだ。

 つまり、北西に向かって風が吹くと、風下40キロに位置する飯舘村が「放射能雲」の直撃を受けることになる。飯舘村の「ホットスポット」はこうした大気拡散のメカニズムで起きていたわけだ。

 理論物理と化学工学を専門とする西村肇氏は、水俣病が有機水銀によるものであることを解明した人として知られるが、8日のプレゼンで、大気の拡散研究は「4日市ぜんそく」公害での研究実績があるので、日本の研究水準は世界トップだと指摘していた。

 そうした優れた学問的な蓄積を生かし、「フクシマ」の放射能雲拡散予測に使おうともしない日本政府! 本邦始まって以来最悪の「公害」とも言うべき「フクシマ」に、過去の「公害」の教訓、研究成果を活かさなかった日本政府! この点からも、日本政府の「拡散予報」に対する消極姿勢は批判されてしかるべき、と思われる。

※続き第2章 飯舘村は、8/5(水)22:00に投稿予定です。

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実

 


『世界が見た福島原発災害』第14章 ミステリー ※6回目の紹介 <なぜ発電機は故障停止したのか>

2015-08-03 22:12:53 | 【世界が見た福島原発災害】

*『世界が見た福島原発災害』著者:大沼安史

第14章 ミステリー」を複数回に分け紹介します。6回目の紹介

  福島原発災害は、東電、原子力安全・保安院など政府機関、テレビ・新聞による大本営発表、御用学者の楽観論評で、真実を隠され、国民は欺かれている。事実 上の報道管制がしかれているのだ。「いま直ちに影響はない」を信じていたら、自らのいのちと子供たちのいのち、そして未来のいのちまで危険に曝されること になってしまう。

 本書は、福島原発災害を伝える海外メディアを追い、政府・マスコミの情報操作を暴き、事故と被曝の全貌と真実に迫る。

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**『世界が見た福島原発災害』著書 「第14章 ミステリーの紹介

前回の話:『世界が見た福島原発災害』第14章 ミステリー ※5回目の紹介 <なぜ発電機は故障停止したのか>

 東電も政府も、津波で消えた「燃料タンク」に目が向くのを恐れているのだ。岸壁際、海面のすぐそばという最も津波に弱い場所に「燃料タンク」を設置していた事実に目が向くことを恐れているのだ。

 だから政府報告書の「オイルタンク流出時間」は、東電報告書のディーゼル「発電機故障停止時間」の「(4分)後」でなければならないのだ。

 「前後関係」をこう逆転しておけば、「燃料タンク」を海のそばに設置していた東電の責任と、それを承認していた政府の責任は弱まる・・・


 ところで、「非常用ディーゼル発電機」の運転確保の死活的な重要性は、米原子力規制委員会が1990年に出した報告書の中で、すでに提起されていた問題である。この報告書を、保安院も東電も「知りません」ではすまない。

 さて前述の「アレヴァ」社のブラウン博士作成の「パワーポイント資料」だが、そこに興味深いことが書いてある。


 ■午後3時41分 発電所停電

 ・全電源供給の停止

 ・バッテリーはまだ大丈夫

 ・緊急炉心冷却装置、そのうちのひとつのシステムを除いて停止


 これはあくまで、アレヴァ社のコンピュータ解析モデル「カタリ」によるものだから、「カタリ」が ”算出”した物語にすぎないが、これが仮に事実を示すものだとしたら、ここで新たにこんな可能性が浮上する。

 博士の記述は「午後3時41分時点でも辛うじて緊急炉心冷却装置のうちの1つだけはバッテリーでなお機能し続けていた」とも読める。

 ということは、ひとつの号機のものを除き、他のディーゼル発電機は(東電の報告にあるように「この3時41分」に「故障停止」したわけでなく)、もっと早い時点で(津波などの影響により)止まっていたことになる(ディーゼル発電機が止まった早い時点から使い始めていたバッテリーもあがっていたことになる)。

 逆に言えば、「3時41分」に停止したディーゼル「発電機」は、ひとつの号機に所属する1台か2台だけだったことになる。

 しかしそれでもひとつの冷却装置を動かす1台か2台かのディーゼル発電機だけは、「最後の頼みの綱」として、「3時41分」までは必死になって発電を続けていたわけだ。

 その最後の頼み綱のディーゼル発電機が、燃料タンクの流出による給油ストップで、ついに最終的に、「3時41分」において「ガス欠停止」に追い込まれたーこれが「カタリ」が示唆する、「もうひとつの可能性」である。


 しかしいずれにせよ、とにもかくにもディーゼル発電機が発電を停止した時、悔しく悲しいことに「フクシマ」の運命は定まったのだ。

 「憂慮する科学者たち」のデイビット・ロクバウム博士は3月29日、米連邦議会上院・エネルギー天然資源委員会でこう証言した。

 送電が停止し、ディーゼル発電機が止まった時、原発の運転オペレーターは「奇跡」を祈るしかない。奇跡は偉大なものだが、頼ることはできない。日本の原発事故は、その代価の大きさを示した

 3月11日午後3時41分ー「フクシマ」に奇跡は起きなかった。

第14章 ミステリー」の紹介は、本日で終わります。

引き続き第2章 飯舘村」の紹介を始めます。8/4(火)22:00に投稿予定です。

以下の順に紹介していきます。

 第2章 飯舘村

 ・ホットスポット

 ・NHK全国ニュースで報じられなかった「飯舘村計画避難説明会」

 ・屋内退避は意味がないとの指摘に首相しどろもどろ

 ・避難基準を超えているとIAEAが会見

 ・「政府から何の連絡もない」

 ・IAEA勧告を無視した政府

 ・国民を欺くNHKの飯舘報道

 ・「いま直ちに危険はない」と言われたら・・・

 

世界が見た福島原発災害─海外メディアが報じる真実