福島の汚染石、1000トン超を生コン会社に出荷 マンション放射線問題
福島県二本松市内のマンション1階の室内から、屋外より高い放射線量が測定された問題で、同県富岡町の砕石会社が、マンションの基礎部分のコンクリートを製造した生コン会社に出荷した石は約1065トンに上ることが16日、関係者への取材で分かった。
放射性物質が付着した石を使ったコンクリートがほかの建築物にも使われた可能性があり、経済産業省は、環境省や国土交通省などと流通ルートを調べている。
砕石会社は「双葉砕石工業」。同社社長によると、浪江町内の砕石場で採取した石約5280トンを昨年3月の原発事故後、同4月22日にかけ、福島県内の建設会社など19社に出荷。17社には道路の路盤や河川の護岸工事の材料など一般土木用に、残る2社には生コン用にそれぞれ出荷した。このうち問題の二本松市のマンション基礎部分のコンクリートを製造した生コン会社には、同3月25日~4月22日に、約1065トン納入した。
双葉砕石工業は生コン用は砕石場で簡易式の屋根だけの屋外に、一般土木用は野ざらしで保管。原発事故以降は新たな石は採取せず、以前に加工した石を出荷していた。
県によると、この砕石場周辺の線量は毎時20マイクロシーベルト前後あるという。
浪江町は原発事故を受け、全域が警戒区域と計画的避難区域に設定されており、砕石場は計画的避難区域にある。
社長は、これまでに自社で砕石場の石付近の放射線量を計測していたが、問題になる数値ではないと考えていた。社長は「出荷当時、放射能のことは分からず、影響が出るものとは思っていなかった」と話した。
(日本経済新聞 2012/1/16 15:30)