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情報公開・個人情報保護審査会 平成21年度(独情)答申第50号 一般小包商品単独における収支計算…

2010年03月15日 | 存否応答拒否
諮問庁 : 郵便事業株式会社
諮問日 : 平成20年 9月30日(平成20年(独情)諮問第112号)
答申日 : 平成22年 3月15日(平成21年度(独情)答申第50号)
事件名 : 一般小包商品単独における収支計算結果の分かる資料等の不開示決定(存否応答拒否)に関する件

答 申 書


第1  審査会の結論
 平成16年度から同18年度までの以下の文書1ないし文書3(以下,併せて「本件請求文書」という。)につき,その存否を明らかにしないで開示請求を拒否した決定のうち,諮問庁が文書1に該当するとして別紙1に掲げる文書(以下「本件対象文書」という。)を特定し,その全部を不開示とすべきとしていることについては,別紙2に掲げる部分を開示すべきであり,文書2及び文書3については,結論において妥当である。

文書1  一般小包(ゆうパック)商品単独における収支計算結果の分かる資料

文書2  一般小包(ゆうパック),通常郵便物,国際郵便物との間で共通的にかかっている費用の金額が分かる資料

文書3  一般小包(ゆうパック),通常郵便物,国際郵便物との間で共通的にかかっている費用の配賦割合が分かる資料

第2  異議申立人の主張の要旨
1  異議申立ての趣旨
 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく本件請求文書の開示請求に対し,平成19年8月27日付け郵郵理第3084号により日本郵政公社(以下「郵政公社」又は「処分庁」という。)が行った不開示決定(以下「原処分」という。)について,その取消しを求める。

2  異議申立ての理由
(略)


第3  諮問庁の説明の要旨
(略)


第4  調査審議の経過
 当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。

①  平成20年9月30日  諮問の受理
②  同日  諮問庁から理由説明書を収受
③  同年11月5日  異議申立人から意見書を収受
④  同年12月11日  審議
⑤  平成21年2月19日  諮問庁の職員(郵便事業株式会社財務部門経理部担当部長ほか)から口頭説明の聴取及び審議
⑥  同年7月21日  諮問庁から補充理由説明書を収受
⑦  同年8月17日  異議申立人から補充理由説明書に対する意見書を収受
⑧  同年9月10日  審議
⑨  同年11月5日  諮問庁の職員(郵便事業株式会社財務部門経理部担当部長ほか)から口頭説明の聴取,本件対象文書の見分及び審議
⑩  平成22年1月15日  審議
⑪  同年2月25日  審議
⑫  同年3月11日  審議

第5  審査会の判断の理由
1  本件請求文書について
 本件開示請求は,郵政公社に対し,平成16年度ないし同18年度分の文書1ないし文書3の開示を求めたものであり,郵政公社(処分庁)は,本件請求文書は郵政公社の管理会計情報であり,そのような文書が存在するか否かを答えるだけで法5条4号トに定める不開示情報が明らかになり,郵便事業の経営上の正当な利益を害するおそれがあるとして,法8条による存否応答拒否とする原処分を行った(平成19年8月27日付け)。
 郵政公社は,平成19年10月1日に郵政民営化法5条1項及び166条により解散し,郵便事業は同法5条2項2号により設立された郵便会社が,同法6条3項により,同法161条に基づく基本計画を定めて承継したが,郵政民営化法等に伴う関係法律の整備等に関する法律附則113条により,法の規定に基づき郵政公社がした行為及び郵政公社に対してなされた行為については,なお従前の例によるとされたことから,同月23日付けで行われた本件異議申立てについては,郵政公社から郵便事業を引き継いだ郵便会社が異議申立てを処理すべき処分庁の地位にある。
 諮問庁は,当初は原処分を妥当としていたが,その後再検討の結果,補充理由説明書において,法8条による不開示決定を妥当とする主張を撤回し,新たに,文書1に該当する文書として本件対象文書を特定した上で,当該文書は法5条4号ト及び同条2号イに該当するとして,また,文書2及び文書3については不存在により,それぞれ不開示とする旨説明している。
 したがって,本件対象文書については,当該文書の見分結果を踏まえ,その文書の特定の適否及び不開示情報該当性について,文書2及び文書3については,当該文書の保有の有無について,以下,それぞれ検討する。

2  本件対象文書の特定の適否
 諮問庁は,文書1(一般小包(ゆうパック)商品単独における収支計算結果の分かる資料)に該当する文書として,郵政公社が平成16年度ないし同18年度分として作成した本件対象文書を特定している。
 当審査会において諮問庁から口頭説明を聴取したところ,郵便事業の特性として郵便の業務と小包の業務は,同じ人,同じ建物,同じ車両等を使用してサービスを提供することにより効率的な経営を行ってきており,それぞれの業務は個別の事業(部門)として営んでいるものではないとし,そのため財務会計上も郵便と小包を区分して経理することはなく,郵便事業全体でかかった費用を各費目別に把握しており,それを取りまとめたものとして本件対象文書がある旨説明する。
 当審査会において,本件対象文書を見分したところ,商品の種類と収支に係る項目とを左端の列(以下「表側」という。)及び上端の行(以下「表頭」という。)にした一覧表に標題が付されており,当該表上,ゆうパックを含む一般小包の収支が分かるものとなっている。
 諮問庁は,本件対象文書の外には,一般小包(ゆうパック)商品単独における収支計算結果が分かるような資料は作成していないとしており,口頭説明により,郵政公社及び郵便会社における収支計算の方法及び本件対象文書の作成状況について聴取したところによれば,当該諮問庁の説明に不自然,不合理な点は認められない。
 したがって,文書1に該当する文書として,本件対象文書を特定したことは,妥当である。

3  不開示情報該当性
(1)  本件対象文書の不開示情報該当性について,諮問庁は,原処分時においては,郵政公社の経営上の正当な利益を害するおそれがあったとして法5条4号トに該当する旨主張するが,現時点においては,郵政公社は既に解散しているので,その正当な利益を害するおそれはないと認められる。
 諮問庁は,補充理由説明書において,郵便事業は郵便会社に引き継がれ,その経営手法等も引き継がれていることから,本件対象文書を開示すると,郵便会社の経営上の正当な利益を害するおそれがあるとして法5条2号イに該当する旨主張しているので,以下,同条2号イ該当性について検討する。

(2)  諮問庁は,口頭説明において,次のとおり説明する。
 本件対象文書に記載された情報は,郵便事業における原価を含む収支情報であり,経営上の観点を踏まえて一定の基準に従って加工処理した結果を取りまとめたものであって,企業として秘匿すべき重要な内部情報である。
 郵便会社の荷物業務(郵政公社の郵便小包業務)を始めとする運送業においては,製造業等と異なり,提供する商品(運送サービス)自体の競合他社との差別化は限定的なものとならざるを得ず,このためコスト面での工夫が競争上重要な要素を占めることから,原価情報の秘匿は極めて重要であり,仮にその情報が競合他社に開示されることになれば,郵政公社及び郵便会社のコスト構造を踏まえた競合他社のサービス展開が可能となり,経営上重大な危機に陥ることとなる。
 平成15年4月1日の信書便法の施行以降,同法の許可を受けた事業者は信書の送達業務に参入できることとなっており,特定信書便役務については,既に多数の事業者が参入している。また,郵便小包業務については,民間事業者の宅配便及びメール便のサービスが多数の事業者により提供されており,特に宅配便については,既に成熟市場といわれ,市場の中で顧客を奪い合っている状況である。
 このような厳しい競争環境の中で,郵政公社及び郵便会社は,元来国の事業であったこと等から郵便法により通常郵便物,小包郵便物,国際郵便等の種類別収支の公表が義務付けられており,それよりも詳細な区分での自主的な公表も行っているところであり,これ以上の詳細な情報の開示は,郵便会社の正当な利益を害することとなる。 

(3)  当審査会において,本件対象文書を見分したところ,商品の種類及び収支に係る項目を表側及び表頭にした一覧表となっており,それぞれ各項目を細分化して,具体的に詳細なデータが記載されている。

ア  表外の記載事項
 表の上部には本件対象文書の標題,作成部署と解される記載,数値の単位,取扱い上の注意に関する記載があるところ,標題は,諮問庁が補充理由説明書で実質的に明らかにしており,その余の記載とともに,法5条2号イの不開示情報に該当しないと認められるので,開示すべきである。

イ  表側及び表頭の項目名

(ア)  本件対象文書に記載された情報は,補充理由説明書において既に明らかにしているその標題から,収支に係る経費等を商品の種類及び作業工程により取りまとめられたものであることは明らかである。
 当審査会において本件対象文書を見分したところ,表側には,商品の種類に関する項目等が記載され,表頭には収入及び支出に係る項目等が作業工程を示す項目を含む区分によって記載されていることが認められる。
 諮問庁は,本件対象文書の各項目は,郵政公社が経営上の戦略立案や経営計画の策定等の判断を行う際に必要な情報として重要ととらえた単位で把握・分析できるように設定したものであり,各サービスを幾つに分割して原価計算をするかなどは,経営管理上の要請及び管理能力によって定まってくるものであって,本件対象文書の表頭及び表側に記載された商品の種類及び作業工程に係る項目名及び区分数は,郵便会社にとっても経営方針及び経営管理能力のレベルと密接に関連した重要な企業秘密であり,一部でも開示をすると,項目名を記載した欄の幅や高さによって,区分数が明らかになり,当該区分数から,おおよそどのように区分しているかを推測することが容易になることから,部分開示はできないとしている。
 確かに,企業等において原価計算を行う際に,提供しているサービスをどのような単位でとらえるか,商品の種類をどのように区分するか,経費や作業工程をどの程度まで細分化又は組み合わせ等を行って分析するかなどは,各企業等の創意工夫や経営ノウハウと密接に関連する重要な内部管理情報として秘匿されるべきものと認められ,郵便事業を営む郵便会社においても同様と言える。
(イ)  しかし,表頭及び表側の項目名について検討すると,郵便法において,通常郵便物,小包郵便物及び国際郵便の区分ごとに,その収支を公表することが義務付けられており,平成16年度ないし同18年度においては,郵政公社が,「郵便の種類別収支」として,商品の種類については「種類別」の項目の下に「通常郵便物」,「小包郵便物」,「国際郵便」及び「計」に区分し,さらに「通常郵便物」を「第一種」,「第二種」,「第三種」,「第四種」及び「特殊取扱」に区分し,それぞれの「営業収益」,「営業費用」及び「営業利益」の金額(単位:億円)を公表しており,郵便会社も「郵便事業の収支状況」として,「種類別」の項目の下に郵便物については「内国郵便」と「国際郵便」に区分し,「内国郵便」については「第一種」,「第二種」,「第三種」,「第四種」及び「特殊取扱」に区分してそれぞれの「営業収益」,「営業費用」及び「営業利益」の金額(単位:億円)を公表するとともに,(参考)として「荷物(ゆうパック等)」についての「営業収益」,「営業費用」及び「営業利益」の金額を公表していることが認められる。
 郵政公社から郵便事業を承継した郵便会社において,当該公表項目を基準として経営戦略等が立てられているであろうことは容易に推測されるところであり,そのこと自体を開示することに特段の支障があるとは認められず,現に,本件対象文書の各項目の一部は,これら公表項目に準じたものとなっているところ,当該公表項目と同じ項目名を開示しても,それにより郵便会社の創意工夫や経営ノウハウ等,ひいては経営戦略や経営管理能力等が明らかになるとは認められない。
 なお,諮問庁は,当該項目名を開示すると,開示箇所と不開示部分の大きさから項目名を記載した欄の幅や高さにより,項目数が推認されると主張するが,項目名を記載した欄の幅や高さは,その項目名の長さや注書きの有無等により一様とは限らず,区分数がある程度推認し得る可能性はあるとしても,当該推認されるものが正しいかどうかは確認できないのであって,また,区分数が明らかにならないように墨塗りすることにより,部分開示ができないものではない。
 したがって,本件対象文書の表頭及び表側として記載された項目のうち,別紙2の2(1)及び(3)に掲げるものは,これを公にしても,郵便会社における創意工夫や経営ノウハウ等が,あるいは経営戦略や経営管理能力等が明らかになるものではなく,郵便会社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められないので,法5条2号イに該当せず,開示すべきである。
(ウ)  また,通常郵便物の商品は郵便法に定められており,広く国民及び利用者に浸透しているところ,通常郵便物の細項目名をみると,その区分の仕方は,おおよそ国民及び利用者が承知している商品に準じた常識的なものであると認められ,別紙2の2(2)に掲げるこれら項目名やその区分の仕方が明らかになったとしても,それによって郵便会社における創意工夫や経営ノウハウ等が,あるいは経営戦略や経営管理能力等が明らかになるものではなく,郵便会社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められないので,法5条2号イに該当せず,開示すべきである。

(エ)  しかし,小包郵便物については,宅配便事業者との競合状態にあり,郵便法に基づき提供が義務付けられる郵便サービスとは別に任意サービスとの取扱いとされていることなどを踏まえると,当該小包郵便における商品をどのように区分し,経営分析等を行っているかは,郵便会社の創意工夫や経営ノウハウと密接に関連する重要な内部管理情報と言え,郵政公社時代の平成16年度ないし同18年度のものであっても小包郵便に係る細項目の項目名及び項目数を公にすると,郵政公社の経営管理手法を承継している郵便会社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるので,法5条2号イに該当し,不開示とすることが妥当である。

(オ)  また,国際郵便にあっては,国際通常郵便は通常郵便物と同様のサービスが行われているものも含まれるが,競合業者が存在するその他のサービスと併せて,どのような区分により把握・分析を行っているかは,必ずしもおおよそ国民及び利用者が承知しているものと同様であるかは明らかではなく,当該商品の区分の仕方(細項目名)及び区分数(細項目数)は,郵便会社の創意工夫や経営ノウハウと密接に関連する重要な内部管理情報と言え,上記同様,これらを公にすると,同社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるので,法5条2号イに該当し,不開示とすることが妥当である。

(カ)  さらに経費の内訳については,「営業収益」,「営業費用」及び「営業利益」以外の項目は,既に標題により作業工程別に管理していることを明らかにしているところ,具体的にどのような区分でどの程度詳細に分析しているかは,正に郵便会社の創意工夫や経営ノウハウと密接に関連するものと言え,上記同様,これを公にすることは,同社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるので,法5条2号イに該当し,不開示とすることが妥当である。

ウ  各欄に記載されたデータ

(ア)  郵便事業の収支状況等の経営情報については,その特殊性等から郵政公社が経営した時期も郵便会社が承継した後も,郵便法において一定の範囲での公表が義務付けられているところであり,郵便会社においては,可能な範囲において一部それよりも広い範囲で自主的に公表していることが認められる。
 本件対象文書に記載された情報は,これら公表されている情報よりも更に詳細な平成16年度ないし同18年度の商品単位の,かつ,詳細に区分した収支情報であって,これが開示された場合,競合する事業者等においてはこれを分析して競争上の対応を策定できるのに対し,郵便会社は競合する他社の同様の情報を入手することができず,現に他社との競合状況にある経営環境において,他社にのみ有利な情報を提供することになる。
 本件対象文書に記載された情報は,平成16年度ないし同18年度分の郵政公社時代のものではあるが,郵便会社は郵政公社の郵便事業を承継し,経営管理手法等も引き継がれているというのであるから,3年ないし5年程度過去の情報であっても郵便会社が承継した後の郵便事業の収支状況や経営管理手法に直結するものであり,これを公にすることにより,郵便会社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められる。
 したがって,本件対象文書に記載された情報は,下記(イ)で開示すべきとする部分を除き,法5条2号イに該当し,不開示とすることが妥当である。
(イ)  郵政公社においては,上述のとおり,郵便法に基づき,郵便の種類別収支を公表しており,本件対象文書においては,当該公表項目と同じ項目名で集計されている欄(別紙2の2(4)に掲げるもの)があり,そこには,表示の単位を異にする公表数値の基となるデータが記載されていることが認められる。
 諮問庁は,公表数値と当該数値とでは,項目名は同じであっても別の情報である旨説明するが,表示の仕方が異なるだけでその数値の意味するところは同じというべきであり,表示の単位が異なることについては,億円単位で公表されている数値に対し,億円以下の数値部分が明らかになったからといって,それをもって経営上支障が生ずるとは考えられない。
 したがって,公表数値と同じものである別紙2の2(4)に掲げるものは不開示情報に該当しないと認められるので,開示すべきである。
4  文書2及び文書3の保有の有無について
 文書2及び文書3は,「一般小包(ゆうパック),通常郵便物,国際郵便物との間で共通的にかかっている費用」の金額及びその配賦割合が分かる資料である。
 この「共通的にかかっている費用」について,諮問庁は,異議申立人との開示請求の際の補正に係る応答等を基に,個々の商品ごとに集計した経費とは別に各商品に共通した経費として集計している費用である旨異議申立人に確認し,そのような収支の算出の仕方はしておらず,該当する文書はない旨説明したが,それでも構わないとして開示請求されたものであり,したがって,そのような文書は保有していないとしている。
 当審査会において諮問庁から口頭説明を聴取したところ,上記2のとおり,同じ人,同じ建物,同じ車両を使用して郵便の業務や小包の業務を行い,それぞれの業務を個別の事業(部門)として経理せず,郵便事業全体でかかった費用を各費目別に把握しているとのことであり,個々の商品ごとの集計とは別に各商品に共通した経費を集計しているものではなく,そのような文書を作成していないとする諮問庁の説明は不自然,不合理なものではなく,首肯できる。
 なお,本件対象文書中の営業費用として本社・支社等の管理部門の費用等も計上されることは会計上当然のことであるところ,そのような経費は「共通的にかかっている費用」の一部を構成するものと考えられ,本件対象文書において当該費用を含む項目が設けられているとすれば,当該部分は,共通経費の一部を各商品に配賦したものといえ,その合計額に対する各商品に配賦された金額の割合を計算することは容易であるから,その限りでは共通経費の一部の配賦金額及び配賦割合が記載されていることになる。しかし,諮問庁の説明によれば,各作業工程別に集計された経費とその商品ごとの数値の中には,各作業工程における上記とは別の共通経費を各商品に配賦したものが含まれているが,その経費は区分されておらず,配賦割合も単純にあらかじめ定められた一定の割合ではないとのことであり,説明内容の詳細に照らせば,その説明は是認できる。
 そうすると,本件対象文書は,共通的にかかっている費用の合計額もその商品ごとの配賦金額又は配賦割合も記載されておらず,その記載に基づいてそれらが認識できるものではないから,本件対象文書を文書2及び文書3に該当するものと言うことはできない。
 外に諮問庁から収支計算やその取りまとめ方法等について口頭説明を聴取したが,文書2及び文書3に該当する資料等を作成又は保有していると認められる事情は存せず,したがって,これを郵便会社において保有しているとは認められない。

5  本件不開示決定の妥当性について
 以上のことから,本件請求文書につき,その存否を答えるだけで開示することとなる情報は法5条4号トに該当するとして,その存否を明らかにしないで開示請求を拒否した決定について,諮問庁が文書1に該当するものとしてその存否を明らかにした上で本件対象文書を特定し,その全部を同条2号イ及び4号トに該当するとして不開示とすべきとしていることについては,別紙に掲げる部分は同条2号イ及び4号トに該当せず,開示すべきであるが,その余の部分は同条2号イに該当すると認められるので妥当であり,文書2及び文書3に該当する文書は保有していないとして不開示とすべきとしていることは,郵便会社において該当する文書を保有しているとは認められないので,結論において妥当であると判断した。

(第4部会)
 委員 西田美昭,委員 園 マリ,委員 藤原静雄

別紙1
 本件対象文書:
  平成16年度ないし同18年度の各「種類別・作業工程別(中プロセス別)原価(総原価)」

別紙2
1  表外の各記載部分
2  表中,以下が記載されている部分
(1)  左端の列(表側)における大区分(表頭を含む。)の各項目名

(2)  (1)の表頭を除く1番目の大区分に係る中区分及び小区分の各項目名

(3)  上端の行(表頭)における大区分(表側を含む。)の各項目名(左端区分は,(1)の最上端区分と同じ。)

(4)  (3)の表側を除く1番目,2番目及び最右端の各項目名の下の列における,(1)のうち表頭を除く各大区分の項目名の右の各行及び(2)のうち中区分の項目名の右の各行に係る各欄内の数値


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