幻聴が言った

幻聴が言った、イメージとともに

おまえの親はもうろくしたな

おまえをひとかどの人間にするって

言っていたけど

おまえは普通では体験できないことを

体験し

普通では乗り越えられないことを

乗り越えてきているのに

なにがひとかどの人間なんだ

幻聴はイメージとともに

つぶやいた

あと少しとか

もう少し苦労したらとか

全部親が考えていることらしい

苦労とか苦しみとか

そういうものは

普通ではない体験を通して

普通ではないほど体験しているらしいのだ

おいらの親であるために味わった苦しみもあろう

しかし当の本人の苦しみはわかるまい

言わないことが多いのだ

あったことは言っているが

心象風景までは話していない

どう感じてどうなったか

どう感じてどうしたか

そんなことまで言っていない

だからわかるまい

知るまい

注意しているときがつくかもしれない

五界の王とか出てきてる

悟りとか言っている

地獄の体験だとか言っている

馬鹿な話にするならそれで終わり

体験していることだと知れば

こんな単語に意味がある

まぁいい

理解はできまい