「狩りりんぐ！」 森月朝文

「テンション上げて突っ込めば大抵のことはなんとかなるものです」
　鳥獣義科の担任、望月冬実の教え。

　この数年で野生動物が異常に増えたのに対してハンターの数は減少傾向で、害獣による農業被害は年間200億円超。
　そんな状況下、なぜかお嬢様学校に日本初の狩猟専門課程が設立され、男子生徒の受け入れも始まったのだが……。

　猟師をめざすということは生き物を殺すことであり、今まで無自覚に肉や魚を食べていたことに気づかされることなのだということを、きちんと正面から描いた作品。タイトルや表紙あるいは「モンハンやってて猟師になろうと思いました」という主人公の動機から受けるイメージに反して、語られている内容は真っ当でまっすぐで真面目。『ぼくは猟師になった』に続けて読んでも違和感なし。
　自分の弱さやイヤな部分に気づいたときに、逃げ出すのではなく進めるかどうかは別として、一歩一歩でも前進しようとする意志が大事だということとが語られるからこそ、「俺は、勇者になりたいんだよ」という主人公の悲痛な叫びや、最後の「いただきます」のひとことが活きてきます。
　熊の神さまとかも出てくる学園コメディだけれど、根本がしっかりしているから、じっくり愉しめたのだと思います。
　キャラクター的には雪島さん押し。

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