付け焼き刃の覚え書き

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「言霊使いはガールズトークがしたい」 白洲梓

2022-12-18 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「私は不協和音を奏でる邪魔な蠅です」
 弦楽オーケストラ部に入った宇内一葉は、言語だったら英語フランス語中国語スペイン語とあれこれ叩き込まれていたが、楽譜はまともに読むことすら出来ないのだ。

 宇内家の末裔、宇内一葉は今では数少なくなった言霊使いの女性である。俗世から隔離されて育った一葉には「普通の学校生活」にあこがれがあり、18歳で家業を継ぐことを条件に高校入学を許されたのだが、小学校でさえまともに通っていなかった一葉は、あらゆる意味で普通が分からない。
 それでも「目立たない、平均平凡、でも楽しむ」をモットーに高校生活に臨むのだが、まず友だち作りのハードルが高かった……。

 特殊な能力で密かに国内外に覇を唱えている一族の重荷を背負わされ、不憫な少女が明るく前向きに頑張る話かと思っていたし、実際そういう話ではあるのだけれど、単に人に言われるまま抑圧されていて可哀想……ではないことが分かってくるのがポイント。旧家の因習による抑圧という面もあるけれど、主な理由は彼女自身があまりに危険物過ぎて取扱注意だから……というあたりが笑いのポイントにもなるし、扱い次第ではサイコホラーにも寄ってしまうという微妙な舵取り。続きでどちらに舵が切られるでしょうか、気になります。

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