「君は初恋の人、の娘」 機村械人

　釘山一悟は大型雑貨店の店長を務める28歳。店の業績はトップクラスで会社からの評価は高い。そんな彼が仕事帰りに酔っぱらいから助けた少女は、15年前に彼の前から消えた初恋の人、朔良と瓜二つだった。
　姫須原女学院附属高等学校１年、星神ルナの父はまだ幼い頃に亡くなり、母もまた他界しているという……。

「もしかして……“イッチ”……あ、釘山一悟さん、ですか？」
　星神ルナもまた彼の事を知っていた。

　初恋の人にそっくりな女子高生に出会った仕事人間が陥る二度目の初恋。
　子供の頃に憧れていた近所のお姉さん。中学卒業と同時に政略結婚で海外に転居。そんな彼女と瓜二つで、しかも自分のことを母親から思い出話で聞かされていて「憧れの人」みたいに思われていて、こちらは独身で、それなりに社会的地位も金もそれなりにあるとなったら何も出来なかった子供の頃とは違うわけで、そんなところに「私を恋人にしてくれませんか? 」と相手から言われて懸命に耐える男の心意気。
　そんなことに悩めるというのも男の夢みたいなものです。

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