付け焼き刃の覚え書き

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「ひとつ屋根の下、亡兄の婚約者と恋をした。」 柚本悠斗

2024-05-18 | その他フィクション
「男は何歳になっても女子高生の制服にロマンを感じるもんさ」
 七瀬健は生前そう語っていた。

 七瀬稔の兄が死んだ。突然のことだった。
 膵臓癌と診断されても、手遅れだからと治療もせず、ただ高校生の弟のために最後まで働き続けていたのだ。最後の最後まで病気のことを知らされていなかった稔は、ただ呆然とするばかり。早くに両親を喪い、兄弟2人の生活だったのだ。
 すっかり荒れ果ててしまった家に、若い女性が引っ越しに持つと共に押しかけてきた。兄の婚約者だった女性、美留街志穂だ。志穂は生前の兄に弟のことを任されたのだと、なかば強引に居座ると家の片付けを始めてしまう。
 こうして、家族とも他人とも呼べない微妙な距離感の中、2人は一つ屋根の下で暮らすことになるのだが……。

 同じ痛みを知る者同士が互いに助け合い、支え合うことで喪失の苦しみから逃れられるようになるまでの物語。
 膵臓はあっという間だと聞きます。腰が痛いなあと思っていたら既に手遅れという話とか。そんな状況で、ただただ弟と婚約者のためにできる限りの手を打っていた兄の想いを感じずにはいられません。「ハッピーエンドが約束された」とありますが、確かに他の作品なら何かトラブルの種になって人間関係がこじれそうなイベントも真正面からたたき伏せていきます。ここにこんなトラブルはいらないよなーと思って読んでいると、スゴい勢いで回避していきます。用意周到な兄と自己評価が低すぎず目標を逸れない弟、弱すぎず真っ直ぐな婚約者の物語です。

【ひとつ屋根の下、亡兄の婚約者と恋をした。】【柚本悠斗】【木なこ】【GA文庫】【ハッピーエンドが約束された純愛物語】【いつか二人の哀が愛に変わる物語】【兄の婚約者に恋した高校生と、婚約者の弟に愛した人の面影を重ねてしまう女性が、やがて幸せに至るまでの日々を綴った純愛物語。 】【猫カフェ】【珈琲ゼリー】【保護猫】
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