付け焼き刃の覚え書き

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「ルーフワールド」 クリストファー・ファウラー

2007-09-13 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 世間の暮らしに馴染めない、既存の枠組みに収まりたくない人々はどうするのでしょうか。夜毎に盗んだバイクで走り回ったり、地下街や公園で野宿をしたりするのでしょうか。
 どうせなら地べたを這いずり回るより、風を感じて空に舞いたい……『ルーフワールド』はそういう話です。

 ボストンのように古い大都会は、何百メートルという高層ビルはないけれど、数十メートルクラスのビルディングが建ち並んでいます。そんな街の頭上を自由自在に飛び回っている一団がいました。普通の社会で生きていけなくなった若者たちです。ビルとビルの間に細いワイヤーを張り巡らし、身につけたフック1つで自在に行き来する天上の民となったのです。地下街や公園に居座る者を世間は排斥しようとしますが、頭上を飛び回り、誰も行かない屋上の一角に目を配る者はいません。もちろん、高層ビルの屋上で作業する工事業者や施錠された屋上を見て回るガードマンがいますが、そういう人たちは天上を飛べなくなった民の、いわばOBなので秘密はこれまで保たれていました。けれども、そんな屋上世界の勢力図を塗り替え、安定を乱そうとする動きが現れます。その首謀者は魔術のような力を使うというのですが……。


 見渡す限り田畑で、7階建て以上の建物を結ぼうと思うといったい何Kmワイヤーを張らないといけないんだ?という田舎の人間には、ちょっとピンとこない異世界のお話です。
 そう、異世界のお話。異世界はタンスの向こうにあることもあれば、顔を上に上げたら見つかったりするものなのです。

「ルーフワールド」★★★

【ビル街】【悪魔】【チンピラ】

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