付け焼き刃の覚え書き

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「GOSICKs~春来たる死神」 桜庭一樹

2007-10-11 | ミステリー・推理小説
 今や直木賞候補に挙がるまでとなり、吉川英治文学新人賞や日本推理作家協会賞を受賞するまでとなった桜庭一樹の作品と出会ったのは、なぜか2005年のSF大会でのことでした。
 ディーラーズルームに出店していた本屋が売っていたので、帰りの車中で読むために1冊買い求めたのでした。
 条件は、まだ未読で、かつ片手で持てるくらいの薄い本。それが『GOSICKs~春来たる死神』でした。

 1924年、ヨーロッパの小国に留学した日本人少年が出会った不思議な少女と謎が幾つか。納骨堂で発見された騎士の死体、首無しライダー、倉庫の幽霊、そんな謎を図書館塔上の温室で、いつも1人でパイプをくゆらせている美少女が鮮やかに解決する。
「この世の混沌から受け取った欠片たちを、"知恵の泉"が退屈しのぎに玩ぶのだよ」

 ん……萌え要素を投入した安楽椅子探偵ものですか。富士見ミステリー文庫。雑誌掲載分をまとめた連作短編集……って、SFでもなんでもねーよ!? まあ、SF好きが好きと言い張るモノなら鉄道模型でも酒でも容認するのがSF大会ですから。
 謎解きそのものには特筆すべき点はないけれど、キャラクターとミステリーとストーリーのバランスがほどよくとれている感じ。既刊の長編シリーズの方に手を出してもいいかなと思わせるものでした。可憐な容姿と不釣り合いなしわがれ声が印象的な灰色狼ヴィクトリカもいいけれど、生まれながらの冒険少女アブリル・ブラッドリーもなかなか気になる存在……というか、すごく応援したくなるか鬱陶しくてたまらなくなるかボードーライン上なのだな。
 中1のときに長男に読ませたけれど「面白い」といってたから、ミステリー作品への誘導役としては十分な力量があるんでしょう。
 さてさて、今年はどんなモノに出会えるのでしょう? 明日から3日間だけですがワールドコンへ行ってきます。

【GOSICKs~春来たる死神】【桜庭一樹】【アンティーク・ドール】【煙管】【日本男児】【ドリル】

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