付け焼き刃の覚え書き

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「顔の美醜について-ドキュメンタリー」 テッド・チャン

2007-08-25 | その他SF(スコシフシギとかも)
 昔、何百人もの顔のデータを平均化すると、いわゆる「器量のいい顔」になるという記事を読みました。『ナショナル・ジオグラフィック』だったと思います。テレビでもそんな特集を組んだことがあったかな。
 それが正しいかどうかは分からないけれど、結局、人間も本能で生きているんだと考えれば納得しちゃいます。「身体が要求する栄養を含んでいる」から「美味しい」という信号を脳が発信するわけだし、色彩工学でも「青い色は食欲を減退させる」という話を聞きましたが、だいたい青い実は熟していないことが多いですよね。性欲・食欲・睡眠欲というのは、ヒトが生き物として生存していくために必要だからこそ気持ちいいのです。ですから「食事はシリアルとビタミン錠で」という人は、既に生物としてダメダメなわけです(読子さんも生物としてダメダメですね)。
 同じ事で、人間が美しいとか格好良いとか感じるのは、相手が繁殖の相手として望ましい条件を満たしているという判断を言葉に置き換えているだけなのです。
 そういう視点では、テッド・チャンの『顔の美醜について-ドキュメンタリー』というのは、マスコミ戦略とか美術への貢献とかの問題ではなく、人間が生き物としてやってはいけないことではなかろうか……って、ナノマシンで全部いじくるから反応による取捨選択は不要ですか、そうですか。

「顔の美醜について-ドキュメンタリー」★★★

【美】

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