付け焼き刃の覚え書き

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「砂の上の1DK」 枯野瑛

2024-06-11 | その他SF(スコシフシギとかも)
「先手必勝は、全世界共通の安全標語ですので」

 谷津野中央環境研究棟で事故が起きた。表向きはガス爆発だが、その真相は社内政争が波及した破壊工作(サボタージユ)、ここで行われている極秘研究を頓挫させるためのものだ。
 産業スパイの青年、江間宗史は事故に巻き込まれた女子大生、真倉沙希未を救い出すが既に彼女は瀕死だった。しかし、その致命傷かと思われた傷がほとんど何もしないうちに回復していくのだが、意識を取り戻した彼女はかつて彼を「江間先生」と呼んだ少女ではなかった。秘密裏に研究されていた出所不明の肉片"コル=ウアダエ(幽霊の心臓)"が寄生し、沙希未の肉体の修復を行っているのだ。
 ネズミに植えつけて試験されていた未知の細胞はアルジャーノンと名づけられていたが、それは沙希未の記憶を読み込み、言葉を覚え、人間とは何かを学んでいくのだが、サンプルを狙う包囲網が狭まりつつあった……。

 人に宿った怪物と人を信じられない青年の、5日間の逃亡生活の顛末。
 表紙イラストから、よくある中年男性と若い少女の同居ものかなと思って手に取ってみれば、どちらかというとサスペンスSF寄りの作品でした。ファーストコンタクト的な要素もありますが、作中で登場人物が「マクガフィンだ」と言い切っていましたが、確かにコル=ウアダエが何だったのかというあたりはほとんど追求されません。ストライプ・ザ・パンツァーみたいなのでなくて良かったですね。

【砂の上の1DK】【枯野瑛】【みすみ】【角川スニーカー文庫】【終わりを受け入れ、それでも人らしい日常を送る“幸せ”を望んだ、とある生命の五日間。 】【アルジャーノンに花束を】【マクガフィン】
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