付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ホラー女優が天才子役に転生しました3」 鉄箱

2024-03-17 | アイドル・声優・芸能
「私は、私の信念を穢すモノを許さない」
 ホラー女優としての自分に誇りを持つ桐王鶫は、四条玲貴に対してそう宣言した。

 夭折したホラー女優が、転生して役者として覚醒する転生演劇もの。2巻発売から3年近く音沙汰なく、ウェブの更新も途切れていたので諦めていたのだけれど、ついに完結! ちなみに厚さは前作の1.5倍。具体的には背表紙の「GAGAGA」が「GAGAGAGAGA」になるくらい。

 貧乏育ちの実力派ホラー女優の鶫が自動車事故で即死。時を経て今度はお金持ちの家に碧眼ハーフの超美少女の空星つぐみとして転生し、「今度こそハリウッドを目指します」と誓ってもう5歳。同じく子役として頭角を現している美少女、凛、珠里阿、美海の3人とも幼い友情を育みながらも競い合う関係だ。
 だが、人気作となったテレビドラマ『妖精の匣』のクランクアップが近付く頃、ホラー映画『紗椰』のリメイクが決まり、その子役オーディションがおこなわれることになった。
 そこで凛と対決することになり、演劇系の有名校である鴨浜学園の舞台で勝負をすることになったのだが……。

 冷静に状況を整理してみれば、一般には無名のまま死んでしまった鶫だけれど、公私ともに映画業界での評価はむちゃくちゃ高かった女優。転生して後の世に生まれ返ってみれば、彼女の死が周囲にトラウマやらなにやら与えまくって、みんな性格やら演劇のスキルやらスキームやらがねじ曲がってました。「怖くても、苦しくても、誰かが踏み出す一歩を支えられる人間になりたい」と言っていた人間が、どうしてあんな風になってしまったのか。
 言っちゃ悪いけど、主人公もその子役仲間もみんな5歳平均なのに、そんな少女にもならない幼女たちが歪みまくった大人のせいで精神的に虐待を受けておかしくなりつつあったのを、演技を通じて片っ端から性根を根本からたたき直していく話ですね。親から虐待を受けた子供は、親になったら今度は自分の子供を虐待する……みたいな話もあるけれど、なにはともあれ子供を踏みにじるモノは許されない。大人は子供を無条件で助けるものなのだ。
 5歳の子役時代で終わってしまうのは残念だけれど、テーマ的には適切で、作品的には適量。

【ホラー女優が天才子役に転生しました3~今度こそハリウッドを目指します!~】【鉄箱】【きのこ姫】【ガガガ文庫】【未来転生型サクセスストーリー】【小説家になろう】【視線誘導】【体幹の技術】
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「キモオタモブ傭兵は、身の... | トップ | 「異世界のすみっこで快適も... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

アイドル・声優・芸能」カテゴリの最新記事