付け焼き刃の覚え書き

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「坂の上の雲(1)」 司馬遼太郎

2014-05-21 | 戦記・戦史・軍事
「一個の丈夫が金というものでひとの厄介になれば、そのぶんだけ気が縮んで生涯しわができる」
 秋山好古は弟・真之に対して、相手が誰であろうと金で借りを作るなと命じた。

 明治維新後の日本は近代国家の仲間入りをしたものの、未だ二等国であることは自分たちがいちばんよく知っていた。だから試行錯誤しながらも学校制度を整えて師弟を教育し、外国から人を招いたり留学しては世界最先端技術を学ぼうとしていた。
 四国松山で生まれ育った秋山好古は、師範学校から士官学校へ進み、騎兵を志した。
 それは教育が無ければ家族を養うための職を得られないからであり、師範学校と士官学校のどちらも官費で教育が受けられる数少ない教育機関であるからで、騎兵を選んだのは教育期間が短いからであった。
 すべて秋山にとっては必然だったが、日本という国にとっては重要な選択だった……。

 後に日本の騎兵制度を作り上げ、日露戦争でコサック騎兵を打ち破ることになる秋山好古、その弟で日本海海戦の作戦立案をすることになる秋山真之、真之の友人で日本の文学界に大きな足跡を残すことになる正岡子規の3人を中心に、明治維新後の日本が日清戦争を経て日露戦争に勝つまでの時代を綴った群像小説。
 この巻は主に日本の教育制度と軍制が整うまでの話で、ドイツから来たメッケル少佐が頑張って日本陸軍の基礎を作ってます。やはり教育は大事です。広く国民に教育が行き渡ってないと国力はなんともならないと、昨今の他国の例を見ても思います。
 司馬遼太郎全集はあるのだけれど、ハードカバーなものだからなかなか読む機会が無くて積ん読状態。結局、NHKドラマに合わせて書店にまた並びだした文庫版を買い直し。やっぱり面白いんですよね。ぐいぐい読める。読まされる。大河ドラマ版もたまたま入院している時期で、病院のベッドでこれまた愉しみにしてました。

【坂の上の雲1】【司馬遼太郎】【文春文庫】【ドイツ騎兵】【参謀旅行】【メッケル】【鎮台】【師団】

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