
「喩えもよくわからないし、衝撃を受けた理由もわからないのだけれど」
裏染天馬が謎解きを始めるが、集められた面々は今ひとつ彼の言葉が理解できない。
風ヶ丘高校の旧体育館の舞台袖で殺人事件が起き、女子卓球部の部長である佐川奈緒が容疑者になる。彼女が犯人でなければ、殺人現場は誰も出入りできない密室状態だったのだ。
部長の濡れ衣を晴らそうとする柚乃が頼ることになったのは、部室棟の一室に棲みついているという、引きこもりのアニメオタクの駄目人間だった……。
自分が初めて読んだ大人向けの本格ミステリは、エラリー・クイーンの『フランス白粉の謎』でした。それから国名シリーズを網羅して、他の本格ミステリに手を広げていったのだけれど、今となると読み返すのが辛いのですね。
この作品も「クイーンの論理展開」と評されるくらい、読者に対してフェアであるんだろうけれど、そして旧訳の国名シリーズよりは遙かに読みやすいのだけれど、容疑者となる教師や生徒が自分の行動を分刻みで覚えていて、どの時計も狂っていないというのにはちょっとした違和感がありました。パズル小説的な側面もあるから仕方がないのだけれど、そう納得してみると今度はオチの犯行に至る過程の偶然に頼りすぎなところが気になります。
そしてもう1つ。
本家のクイーンは何かというとラテン語からの引用などを口にしてディレッタントぶりを遺憾なく発揮していましたが、この作品の探偵である裏染もことあるごとに誰にも理解されないアニメネタのウンチクを披露しては一人納得していて、こいつらどちらも目の前にいたらウザくて仕方がないだろうなとイヤな共通点を発見してしまいました……。
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