付け焼き刃の覚え書き

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「アイの歌声を聴かせて」 監督:吉浦康裕

2021-11-08 | バイオシップ・人工知能
「今日も元気にがんばるぞっ!おーっ!」

 景部市は星間エレクトロニクスの企業城下町でありAI実験都市だ。家庭のセキュリティやホーム管理システムから公共交通機関まで街全体にAIによるサポートが行き渡っている。
 その景部市の高等学校に転入してきたシオンを見てサトミは動転した。シオンはサトミが母のデータで見かけた機密データそのもの、門外不出の実験用AIの躯体だったのだ。彼女がロボットだと知れたら実験は失敗、母親も飛ばされてしまう。
 ところが、そのシオンはサトミを見るなり近寄ってきて、「サトミ、しあわせ!?」と問いかけると、ミュージカルさながらに歌い出してしまう……。

 R田中一郎の美少女版にして、歩くミュージカル。実験はその初っぱなから失敗していたと思います。
 よくもこんなAIで実証実験をしようと思ったなと感心しましたが、どうも最後まで見ているとどこかでデータが上書きされたふしがあります。

 『君の名は。』以来、現代のティーンエイジャーを主役にした、ちょっとSFとかファンタジーのテイストを入れた劇場映画が多く、多すぎてもうどれも最初から観に行く気がなくなっちゃってたわけですが、この『アイの歌声を聴かせて』はSNSでの評判が妙に良く、しかもよくある公開直前にアニメ関係者が一斉に褒め始めるステマ臭いところもなかったので、慌てて日曜早朝の上映にお出かけです。
 孤独だった少女が最後には友達と手を繋いで笑えるようになるまでの物語で、AIの叛乱で、ディズニー映画。
 108分が長くなかったし、AIの「私がしあわせにしてあげる!」以下の不可解な言動とか、突然ミュージカル始める理由とか、きちんと伏線回収し、メインキャラのそれぞれの物語にちゃんと決着をつけているところが好き。なんでもAIとロボット……はいいけれど、専用機で用が足りるはずの農作業までロボットなのは汎用機のノウハウ蓄積実験かな。それだけなんでもロボットなのに、警備系はすべて人間というあたり会社としてのAI不信が感じられるとか、会社としての歪さも垣間見えました。

「秘密はね、最後に明かされるんだよ?」

 結論、うだつが上がらないのには、上がらないなりの理由がある。

【アイの歌声を聴かせて】【吉浦康裕】【J.C.STAFF】【ちょっぴりポンコツなAIとクラスメイトが織りなす、ハートフルエンターテイメント】【紀伊カンナ】【島村秀一】【明貴美加】【土屋太鳳】【福原遥】【工藤阿須加】【興津和幸】【小松未可子】【日野聡】【大原さやか】【咲妃みゆ】【カズレーザー】
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